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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
10章:七害祭
72/150

環境展に参加しよう

アジア最大級の環境展であるエコライフが東京ビックサイトにて開催。

環境との共生を無視しては人間は存続すら危ぶまれる時代になるかもしれない。その中で廃棄物処理、資源枯渇、水・大気・土壌汚染などの生活環境問題や地球温暖化問題の解決は避けて通れない課題となっているのだ。

エコライフでは様々な企業やボランティア団体が事業系一廃の処理リサイクルについてやバイオマス、家電製品などを環境に対する事についてセミナーを開いている。

様々なエコに関する情報などを教えてくれたり、環境問題の怖さまでも疑似体験も出来る。

環境がいかに大切かを理解し、環境問題に親身になって向き合って欲しいために行われるイベントである。



「へえ、こんなイベントが毎年あったのか。知らなかったな」



猫柳たちは兔姫が持ってきたパソコンを覗き込んでいる。



「ジンヨウ学園ノ専用ホームページには様々なイベントの情報ガあるからネ♪」



兔姫の言う通り、神耀学園のホームページには様々な情報が載っている。それは学園が多くの企業団体と繋がっているのが理由の1つだ。特別専門広義のように様々な事を知ってもらいたいために、イベントを学生全体に情報を提供している。そして興味のあるイベントに参加し、見聞を広めていくわけだ。

学園で授業がある日でも学生が参加したいイベントがあれば申請書にイベント名と参加したい理由を記載し、通れば行く事が出来る。しかし、土日祝日を除く日はそれでも授業が出れないのが痛いので特別課題がでる。学生はその特別課題とイベントに参加した結果のレポートを書く事になる。しかし、学園を休んでまでイベントに参加するのは大きな収穫があるだろう。



「このイベント、エコライフは前ニ広義ヲ受ケタ環境ノ特専ノ先生ガ提供してくれた情報だヨ」


「ああ、環境のエキスパートの」


「熱心に説明してくれたよね。おかげで分かりやすかった広義だよ」


「 なあ、優にティア。このエコライフに参加してみないか? 面白そうだし」


「ギンの事だから、言うと思った。良いよ。オレも興味あるし」


「ワタシもイイヨ♪」


「賛成してくれると思ったぜ。開催日はいつだ?」


「エート・・・今週ノ金土日だネ♪」


「金曜か土曜だな。学園をサボって行くか、それとも休みに行くか」


「金曜日に行くなら申請書を書かないとね」


「何て書くか。環境のエキスパートの広義を受けて興味を持ったから・・・で大丈夫か」


「イインジャナイ? 基本的にイベントに参加すル理由ハ興味があるカ、好きだからノ2択でショ?」



何かのイベントに参加する理由は大体が興味があるからになるだろう。どんな項目を並べても人間が行動に移すの初めの動機というのは好奇心である。あれが知りたい、試したいと繋げるには、やはり興味があるからだ。



「金曜日カ、特別課題とかデル・・・」


「それは仕方ないね。でも、もうすぐ夏休みだし、範囲はあまり進まないと思うよ。レポートだって感想みたいなものだし、すぐ終わるよ。後は金曜日に行く理由を考えないといけないね」



学園側はイベントに参加させたい気持ちはあるが、学生のために授業を受けさせたい気持ちもある。土日祝日もあるイベントなら、授業がある月曜日から金曜日にはイベントに参加は難しい。申請書を出しても休みの日に行けるよね?と返されてしまうからだ。

この日に絶対に参加したい理由がなければ申請書は通らない。



「何かこの金曜日にあるイベント企画があれば理由として申請書に書けるのだけど。何かある?」


「エート・・・コレ?」



環境展のホームページを見ると金曜日にしかない企画の説明がある。

これを見た猫柳たちは、この企画を理由に金曜日のエコライフに参加する事を決めた。

猫柳はここにいる蛇津と兎姫だけでなく、犬坂たちも誘おうと考える。



「よし。じゃあ爛たちも誘ってみるか。今メールで・・・」


「ギンニャン、貸しテ♪」



猫柳がメールを打とうとした時、兔姫に素早く奪われ、代わりにメールを打たれ送信された。



「何か嫌な予感がする・・・。おいティア、何て打ったんだ?」


「ハイ」



画面を見ると。

今週の金曜日にデートしようぜ!!とストレートに打たれていた。



「おいぃぃぃぃティアあああ!?」


「ダイジョウブ。チャント3人に一斉送信したかラ♪」


「もっとマズイだろ!?」



何て事をしてくれたんだ!?と頭を抱える猫柳。まさかの兔姫の行動に驚いてしまったが、そんな場合ではない。



「優、誤解を一緒に解いてくれ!!」


「ギン。大丈夫だよ」


「その優しい目は何だ」



蛇津が何故か優しい目で見てくる。そして面白そうという考えが読める。



「おい猫柳。何だこのメールは?」



馬城がいつの間にか猫柳たちの処に来ていた。誤解のメールを見せ付けながら。



「猫柳。誘ってくれるのは嬉しいが、おれにそんな趣味はねえぞ」


「俺だって無えよ!!」


「馬城、そのメールを下にスクロールしてみて」



蛇津の言う通りメール画面を下にスクロールするとByティアと打たれていた。

それを見て全て納得した馬城。



「ギンニャン×テルテル。テルテル×ギンニャン。イイカモ」


「ティア待つんだ。それは駄目な気がする」


「ユウユウも 組合せてみるのもイイ」


「 あ、こっちにも飛び火が来た」



兔姫の脳内で謎のカップリングが構成され、猫柳たちを精神的に攻撃している。



「おい猫柳。とりあえず誤解ってのは分かった。そもそも悪ふざけって思ってたが。犬坂と羊島の方をどうにかしないとマズイんじゃねえか? あいつら本気にするだろ」


「確かに。でも一斉送信だから、それで悪ふざけって分かるかもしれな・・・」


「ギン!!」


「猫柳君!!」


「「デートって本当(ですか)!?」」


「え?」



犬坂と羊島が同時に猫柳に駆け寄り、同時に問い詰めて来た。

どう誤解を解くか考える暇の無かった猫柳は冷や汗タラリ。そして2人の反応を見るに自分自身にし送られたメールだと思っている。結局、同時に来たせいでそうじゃないと理解したようだが。

さて、ここからが問題だ。好きな人からデートを誘われた少女は嬉しいと思うだろう。しかし、メールの送信先に自分とは別の女性のアドレスがあるとどう思うか。それは人それぞれである。

犬坂と羊島の場合は。



「ギン。言い残す事は?」


「猫柳君。酷いです」


「まずは俺の話を聞いて欲しい」



猫柳を問答無用で正座させ、犬坂が15㎝の定規を振り上げていた。定規で猫柳の頭を斬ろうとしているのだ。普通は斬れるはずもないのだが、斬られると錯覚してしまう猫柳であった。



「ネエネエ、ピンチだネ」


「さすがに助け船を出すかな。おーいお2人さん」



犬坂が猫柳を介錯する前に止める蛇津。

馬城と同様にメール画面の下にスクロールしてくれと言う。その結果、犬坂と羊島は全てを理解した。ため息を吐きながら兔姫を睨み付ける少女2人。睨み付けられた兔姫本人は舌を出し、知らんぷり。



「うう、わりとマジにヤバかった気がする。でも、ありがとう優。流石は親友」



蛇津に抱き付く猫柳。



「ギンニャン×ユウユウ。ユウユウ×ギンニャン」


「違うからな」


「・・・アハハハ。所で、爛と羊島さんは全然気付かなかったんだね」



乾いた笑いと共に犬坂と羊島に質問する。



「メールを良く見ればティアの悪ふざけだったのに。送信先には馬城のもあったんだ。分かると思ったんだけど、余程にギンからのデートが嬉しかったのかな?」



ニヤニヤとからかうような顔をする蛇津。後ろにいる兔姫もまたニヤニヤしていた。



「こ、こら優!!」


「蛇津君!!」


「恋ハ盲目って言うよネ」


「アハハ、ゴメンゴメン。・・・ギン、今度2人を何処かに連れってあげたら? 悪ふざけに付き合わせた謝罪として」


「え? そもそもティアのせいじゃ・・・」


「細かイ事ハ気にシナーイ♪」


「すごく納得いかないが・・・ま、いっか」



蛇津が犬坂と羊島に向けてピースした。

そして小声で後は頑張ってと言う。



「本当にデートの約束させたから一緒に行くか、別々で行くかは任せたよ」



頬を赤くし、少しにやけている犬坂と羊島を見ながらニヤニヤする蛇津であった。



「で、何か用事があったの? まさか、あたしたちに悪ふざけメールを送っただけなの?」


「違う違う。実はな爛、今週の金曜に・・・」


「ギンニャンとテルテルがデキてルってハ・ナ・シ」



誤解爆弾2発目を投下。



「え!?」


「猫柳君。女の子よりも男の子を選ぶんですか・・・」


「違うからな!!」


「メールの送信先に馬城のがあったわね・・・」


「そういえば・・・そんな、馬城君に負けるなんて」


「だから違うからな!!」



猫柳の話を聞いてくれない少女2人。早く何とかしないと誤解されたままになり、学園中に広まってしまう。



「こんな時こそ優に助け船を頼むしか!!」


「え? 優まで手を出してるの!? そうよね、昔からの親友だし」


「待て爛。どこまで妄想してるんだ!?」


「猫柳君が両手に花状態です」


「羊島。君はそんな子じゃないはずだ」



なぜか2人が顔を赤くする。

何を考えているかは想像したくない。



「ランチャン、ヒメ。コレ読んで♪」



兔姫が何かの漫画を渡そうとしている。表紙にはイケメン2人が絡んでいる。



「待つんだティア。爛と羊島を巻き込むな」


「ティア。2人にその世界はまだ早いよ。せめて慣れさせないと」


「ソッカ♪」


「優も勧めるような事を言うな。精神的に痛い目に合うのは俺たちだぞ」


「そうなんだよね。でもオレに関係さえ無ければ大丈夫・・・」


「ヤッパリ、・・・ギンニャン×ユウユウとユウユウ×ギンニャンが王道かナ?」


「・・・・・・オレの方も時すでに遅しか」



話がどんどんと関係無い方向性へと進んでいく。

その様子を蚊帳の外で見ていた馬城が仕方なく軌道修正をする。



「だから話って何だ?」


「テルテル×ユウユウ。ユウユウ×テルテル」


「ティア。やめてくれ。おれの精神まで削るな」


「 エー」


「そもそも呼んだ理由はって聞いてんだが」


「ああ、そうだった。実はな、今週の金曜に東京ビックサイトでエコライフって環境展が開かれるんだ。そこへ一緒に行こうぜって話さ」


「いいぜ!! 授業サボれる」


「そう言ってくれると思ったぜ」



猫柳と馬城が硬く握手をする。

それを見たティアがまたブツブツ言っているが無視した方が猫柳たちにとっては得策だろう。



「面白そうだから、あたしも行く!!」


「私も勿論行きます。環境展、良い勉強になりそうです」


「決まりだね。今から申請書を貰ってくるよ」


「それは俺が行く。誘ったのは俺自身だからな」



颯爽と申請書を取りに行く猫柳。



「じゃあオレ達は申請書が通るように良い理由を考えようか」


「その前に質問だ」


「何だい馬城?」


「このエコライフってよ、入力料いくらだ?」


「それなら無料の入場券が貰えるから大丈夫。今、兔姫が開いてるホームページに前回来た環境の先生がエコライフに行く人には入場券をプレゼントしますって記載してあるからね」


「よっしゃ!!」


「でも、流石に開催地である東京ビックサイトまでは自腹だけどね」


「そこは仕方ないでしょ。さあ早く申請書を通すための良い理由を考えよ」



猫柳が申請書を貰って来る。そしてエコライフに行くための良い理由を書き始めた。

読んでくれてありがとうございます

感想など待っています!!


環境展に参加するために申請書を書く猫柳たち。

申請書は通るのか!?

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