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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
10章:七害祭
70/150

特専

新章突入!!

猫柳たちは新たな物語に会うのか!?

特別専門広義。

これは神耀学園のカリキュラムに組み込まれている授業である。学生たちは略して特専と呼んでいる。学園がある筋のエキスパートたちを呼び、学生たちに専門知識を教えるのだ。これにより、様々な事を知る事で将来の道をいくつも考え、進んで欲しいというわけだ。

実際にこの特別専門広義のおかげて将来が決まる学生が出ており、OBとして教えにくる先輩もいる。

様々なエキスパートたちが来るため、人気の授業である。これのおかげか年々、入学者も増えている事も事実である。

内容はある大手企業の社長の話や人気漫画家、歌手、世界を回る冒険家、怪しいオカルトなど数えたらきりがない。中には怪しいものも混じっているが、学園が熟考して呼んでいるため、危険では無いはず。

そして今、猫柳たちが受けている内容は環境のエキスパートが教える環境問題についてだった。



(環境問題か。問題だ問題だって言ってるけど、解決してんのかな? 全員ってわけじゃないが、無関心の人の方が多い気がする)



皆が環境問題に積極的ならば今頃、良い結果が出ているだろう。もちろん改善に進んでいるのだろうが、世界中に響き渡るような環境問題改善があったのか。



(ある・・・と思う。でも俺は知らないな。俺も環境問題に向き合わないといけないか?)



一部の人間は環境問題に熱心に取り組んでいるが、半分以上が我関せずの可能性がある。イタンビューをすると皆が環境問題に取り組んでいると答えるが本当かと疑問に思う。もちろん本当に取り組んでいる人間もいるので、確定は出来ない。確定したら、その人たちに不快な思いをさせてしまう。

環境問題に取り組むのは難しい。これをやれば良い、あれをやれば良いと方法は有るようだが、それは環境問題を知っていてこそ出来る。知らなければ実践するのは難しいのだ。

まず環境問題の対策云々よりも皆に環境に対して知る必要があるのだ。



(確かに環境問題って言ってるけど、全然知らないよな。地球温暖化だかなんだかの言葉を知ってるくらいで、詳しくは分からない)



今、聞いているのは環境問題の典型七公害。大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、悪臭、騒音、振動、地盤沈下の7つを指す言葉である。

これらが如何に危険かを熱心に教えてくれる環境のエキスパート。典型七公害は身近にある事を忘れないようにと話し、広義は終わった。



「環境問題について本気で考えないといけないか・・・。でも今は昼飯だな」



育ち盛りの猫柳にとって、今は環境問題よりも食事の方が大事のようだ。



「ギン、今日はどこで昼飯にする?」


「今日は屋上で昼飯にしようぜ。1回屋上で食ってみたかったしな」


「よく学園ものにはあるシチュエーションだよね」


「ワタシもソレに賛成だヨ♪ 早く行こウ♪」



わいわいと屋上に向かう猫柳たちであった。

広がる晴天、心地の良い風。昼飯を食べるには最適な場所であった。

その場に座り込み、自分の持つ弁当の蓋を開け食事を始める。



「むぐむぐ。今日の特専は環境問題に向き合わなきゃって思う広義だったわね。あたしも考えが少し変わっちゃったわ」


「オレもそうだね。気をつけないとって思うよ。少しでも環境に目を向ければ何か変わるかもね。モグモグ」


「それもそうだけど、何をすれば良いんだろうな? いくつか対策があるみたいだが、それを全部実践すれば良いのか?」


「出来るならそれが良いけど、実際はしてない・・・だからね」


「蛇津君の言う通りですね。広義の時、先生が言ってました。世の中、環境問題に無関心と言うか危機感が無いと」



広義の時に専門家から羊島が言った言葉を聞いた時に猫柳だけでなく、クラスのほとんどがドキリとしただろう。

日本だけでなく、世界中の人々もそうだろう。テレビなどのニュースで環境問題について見て、自分も何かしなければと思うが行動できるかはそれぞれだ。行動出来たとしても続くかも分からない。

なぜか、それは生活環境が少なからず変化するからだ。人間はそう簡単に生活環境を変える事が出来ない。出来ても、また元の普段通りの生活に戻ろうとする。今までの生活が染み付いているからだ。



「まずは環境問題を知る必要があるってか。そうかもな。いきなり対策しても続くか分からないし、三日坊主のオチになるだろうな。・・・むしゃむしゃ」


「それはあるかもね。ギンは尚更、三日坊主になりそう」


「ほう。優も言うじゃないか」


「だって前に知恵の輪を挑戦した時、1分もしないのに諦めたし。他にもパズルゲームだって・・・」


「それはややこしいからだ。そしてつまらんかったから」


「器用なのにね」


「器用でも、自分がそれにのめり込めなきゃ意味が無いんだよ」


「でも猫柳君が器用なのは本当ですよね。前に裁縫を教えたら、すぐに手慣れた手つきで出来てました」


「そうなのよね。あたしも前に走り方を教えたら、すぐに綺麗なフォームで走ってたし。器用ってレベルなの?って感じ」



環境問題の話から猫柳の器用についての話になった。話が脱線するのは学生にとって日常茶飯だろう。小さなネタからいくつも広げられるのだから。



「ソウソウ。ワタシもイラストの描き方ヲ教えたヨ。そしたらビックリの上手いイラストだっタ!!」


「ふふん!!」



猫柳の鼻が天狗になっていく。ドンドン伸びていく。



「デモ勉強は器用じゃナイよネ」



バキッ!!

天狗になっていた鼻が根元から折れた音が聞こえた・・・気がした。



「勉強に器用もクソ無い!!」


「勉強デキナイのは事実でショー」


「くそう。否定出来ないのが歯がゆい!!」



猫柳たちだけの勉強の序列。

1位蛇津。2位羊島。3位兎姫。4位犬坂。5位猫柳。6位馬城。

反論出来ないのが現実であった。



「何か、おれも少し落ち込んできた」


「テルテルはビリだかラ?」


「ぐふぅ!? 力仕事なら誰にも負けない自信はあるのにな・・・」



男2人にちょっぴりダメージ。



「この前テストは大丈夫だったの?」


「「赤点は無いから安心しろ」」



補習は勘弁だと言わんばかりの気持ちの2人だった。



「ネエネエ、ユウユウ」


「何だいティア?」


「そのタマゴ焼き交換しヨ♪」



弁当のオカズ交換。

何人かがしたはずのコミュニケーション。



「いいよ。はいどうぞ」



卵焼きの入った弁当を兎姫の方に渡そうとしたが。



「アーン♪」



口を開き、両目を閉じて待機している。

これは男女が1度は憧れるシチュエーションだ。



「・・・仕方ないな。はいアーン」



少し恥ずかしそうに蛇津は兎姫の口に卵焼きをいれる。



「アーン♪ ムグムグ。美味しイー♪」


「アチアチの事で。・・・ていうか羨ましすぎる!!」


(さ、さすがティア・・・大胆!! か、間接キス)


(私もティアさんを見習わないと!!)


「それにしてもティアは美味しいそうに食べるな。そんなに美味いのか?」


「モチロン!! 3ツ星満点でス!!」


「ほお、そこまで言うか。おれにもくれ」


「 うん。・・・アーンする?」


「するかアホ。罰ゲームでもねえのに」



蛇津の弁当から普通に卵焼きを箸で掴む。そして口に放り込もうとしたら、肩をトントンと叩かれる。



「んあ、何だ?」



肩を叩かれた方に振り向くと猫柳が口を開けて待機していた。



「アーン」


「気色悪いだろうが!!」



卵焼きではなく、馬城の鶏の唐揚げを勢いよく猫柳の口に放り込む。



「もぐもぐ。何だよ、俺も優の卵焼きが欲しかったのに」


「これはおれのだ。猫柳は犬坂と羊島からアーンをしてもらえ!!」



この言葉に反応する女子2人。自分の弁当からオカズを箸で掴み、猫柳の口元に近づける。



「 仕方ないわね。ほら口開けてギン」


「 あう。ね、猫柳君。あ、アーン」


「お、マジで? アーン」



2人が同時に猫柳の口にオカズを入れる。もぐもぐと食べながら感想を言う。



「うん。トロリとした濃厚な甘味にさっぱり酸味が口に広がり、肉のジューシーさがしっかりしていて、中からとろけるチーズがさらに口を蹂躙していく。もう何が何だか・・・ごくん。・・・何だこれ」



猫柳の顔が少し青くなる。



「ギンニャンに何を食べさせてたノ?」


「あたしはチーズハンバーグ」


「私は練乳苺です」


「単品ナラ確実に美味しいケド、混ざるとビミョウな組合セ・・・」



飲み込んだは良いが口の中は微妙な味付けになっている。美味しいはずなのに、これでは台無しだ。



「はい、お茶」


「ありがとう優。んぐんぐ・・・ぷはっ」


「あははは、ごめんギン」


「猫柳君、ごめんなさい」


「ん? 気にすんな。また今度食べさせてくれよ」


「羨ましいのか、そうでないのか。いや、羨ましいだな。・・・まあ、まずは蛇津の作った卵焼きの試食だ」



パクっと卵焼きを一口で食べるとふんわり優しい味が口の中に広がる。味付けはシンプルに塩だろう。噛めば噛むほど食欲が増す。これは白米が欲しくなる卵焼きであった。



「お、美味い!! こいつは驚いたぜ。ティアの3つ星ってのも頷ける」


「ティアも馬城も3つ星は大げさだって」


「そんな事ないって。今度この卵焼きの作り方教えてくれよ。おれん家の弁当の質が上がるってもんだ」


「ハハハ。良いよ」



皆で美味しく弁当を食べていると。

ミーンミーンミーン。

夏の風物詩である虫の鳴き声が聞こえてくる。蝉である。この鳴き声を聞くだけで、もう夏だと認識してしまう。



「蝉か。って事はもう夏になるんだね」


「そうだね。いつのまにか7月だし」


「もうすぐ夏休みだ!!」



彼等はまだ知らない。

皆が待ち望む夏休み前に大きな怪奇事件に捲き込まれる事を。

読んでくれてありがとうございます。

感想など待っています!!


どの物語にもあるであろう学園屋上での昼飯。

私も1度やってみたいものですなあ・・・。

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