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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
5章:超雑食の妖怪花
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植物園へ行こう

第5章に入ります。

猫柳は今度、どんな妖怪に会うのか?

日曜日。それは誰もが待ち焦がれる休みの日である。

その休みをどう過ごすかは人それぞれである。外に遊びに行くのも良し、家でゆったりするのも良し。



「そろそろだな」



猫柳が呟く。目の前には緑が溢れ、透明な建物が見えてくる。

それは植物園であった。その植物園の名は翡翠植物園ひすいしょくぶつえん

世界のあらゆる植物が集まる場所である。四季によって色鮮やかな花が咲き、緑が溢れる。

心のケアには良い場所の1つだろう。家族や恋人たちらしき人たちも集まってきている。



「植物園キター!!」


「元気です」



兎姫が背負っているバックから卯月が顔をヒョイと出す。



「初めての植物園だモン♪」



ウキウキのテンションで走り回る。



「転ばないでよ」



後ろから蛇津が追いつき、注意する。

さらにその後ろには猫柳や犬坂も来る。



「ハイテンションすぎでしょ」


「だってだっテ、ダブルデートだヨ!!」


「違うから!!」



顔を真っ赤にさせる犬坂。

でも口元は微妙ににやけている。



「ダブルデート」



ニヤニヤ。



「ニヤニヤするな優」


「俺はそれでいい!!」


「こらギン!! 今日はバイトでしょ!!」



彼らが植物園でダブルデートもどきをしているわけではない。

翡翠植物園に危険な妖怪がいるため、来たのだ。遊びで来たわけではない。

実は前日に猫柳の家にてある出来事があった。





                     ☆





暖かな陽気。ぽかぽかして、昼寝には最適な気候である。

窓を開けると心地の良い風まで吹いてくる。

猫柳は大福を口に放り込みながら、ゆったりとする土曜日の昼時。

隣には銀陽がスヤスヤと昼寝をしている。気持ち良さそうに寝ているので、こっちまで眠くなってしまう。1日をゆったりと過ごすのも悪くない。

心地の良い風がまた吹いてくる。猫柳は心地の良い風が吹いてくる窓を見る。

すると、丸くてフヨフヨした物体が窓から部屋に入ってくる。大きさはバスケットボール位はある。



「ん?」



丸くてフヨフヨした物体に注目する。よく見ると、大きい目が1つに葉のようなものが生えている。



「銀陽。これ何だ?」



ユサユサと揺さぶり、起こす。



「んお?」


「これ」



丸くてフヨフヨした物体に指を指す。



「ミューミュー」


「しゃべった!?」


「こいつはばなの種子ではないか。おいおい、こんな所まで飛んで来たのか?」


「嚙み花?」


「食人花、悪食花、雑食花と呼んでもいい」



嚙み花は花の妖怪である。名前の通り、何でも噛みつき、何でも食べてしまう花だ。

噛み花の存在理由は花と同じように美しく咲き、自分の種を残す事。

だが普通の花と違い、動物的な知性を持っている。

その厄介な知性のせいで妖怪まで餌食になっている。



「妖怪までも餌食になってんのか?」


「ああ。何でも食べて栄養にするからな。人間も餌としてしか見ていない」


「危険じゃないか」



噛み花は人間の世界で言う所の危険生物、植物みたいなものようだ。

妖怪の世界でも厄介な花となっている。

噛み花は動物的な知性を持っていても、餌を如何に捕獲するかの知性しか持っていない。

動物は自分より強い存在にあった場合、逃げる事を考える。

しかし植物には逃げるという事は考えない。噛み花も同じで逃げるという考えを持たない。

そのため、どんな妖怪でも餌として狙うわけなのである。



「ミューミュー」



この丸いフヨフヨした物体は噛み花の種子。

種子はタンポポのわた毛の原理で各地に飛ばしている。

そして猫柳の家まで流れ着いたようだ。



「種子の状態は無害だが、花になったら有害だ。種子を飛ばした花を引っこ抜きに行くぞ」


「おう!! 蛇津たちにも電話する」


「ミューミュー」



仲間たちに連絡するため電話を掛けようとした時。

カシュリ。

背後からりんごを齧るような音が聞こえた。

カシュカシュカシュカシュリ。

恐る恐る後ろを振り向くと、頬袋いっぱいにした銀陽だけがいる。

さっきまでフヨフヨしていた噛み花の種子が消えている。



「ゴクン・・・。酸っぱいりんご味みたいだ」



種子だが果肉はあったようだ。



「旨いのか?」


「つまみ・・にもならん」


「そうか」



ピポパピポパ。

電話をするために番号を打ち込む。

蛇津たちに噛み花について連絡をする。

皆、すぐに噛み花について調べ始める。



「連絡したぞ」


「うむ。噛み花の生息場所を探さねば」



生息場所は根さえ生える事ができれば、どこでも良い。

なので生息場所は全国である。



「広すぎる・・・」


「風任せとはいえ、種子を飛ばすのも限界がある。それほど遠くないはずだ」


「それでも広い」



どこから探すかを考えている猫柳。

正直、たんぽぽのわた毛がどこから飛んで来たのかを探すようなものだ。

途方も無い話だが噛み花を無視する事はできない。

そんな時、窓の外から声が聞こえた。



「ちょっと、噛み花の種子が飛んでるわよ」


「ミューミュー」



鎌鼬の切子であった。

両脇には噛み花の種子を抱えている。

種子はやはり1個だけではなかった。



「おかえり」


「ただいま」


「良い所に来た」


「何が?」


「噛み花の生息場所を探せ。しなければ啜る」


「いきなり何よ。恐いこと言わないで」



噛み花の種子を銀陽に向けて投げる。



「ミューミュー」


「おかわりが来た」



切子も噛み花の事を知っているようなので説明するのは簡単だった。

噛み花を探そうとしても生息場所が広すぎて困っていると話した。



「アタシは知ってるわよ。そもそも教えに来たんだからね」


「本当か切子!! 助かる!!」



ガバッと抱きつき、背中をパンパンっと叩く。

すると切子は顔を真っ赤にしながら固まる。



「・・・ちょ、ちょっと!! いきなり抱きつかないでよ」


「あ、ゴメン」



すぐに離す。

なぜか名残り惜しそうな顔を一瞬していた。



「顔が赤いぞ。どうした切子?」


「な・・何でもないわ」



おかわりの噛み花の種子をたいらげた銀陽。

それでも物足りないのか、猫柳の大福まで食べている。



「俺の大福が」


「アタシもいただこうっと」



切子にも食われた。

仕方ないのでお茶も入れた。大福を食いながら、生息場所を聞く。

場所はある植物園。植物が育つには最適な場所である。

何でも食べる噛み花にとって周りの植物も餌である。これまた良い環境である。



「その植物園の名前は確か・・翡翠植物園だったわ」


「聞いたことあるな。結構人気のある植物園だ」


「行くか」


「種子はどうすんの? まだそこらに飛んでるかもよ」


「任せたぞ鎌鼬」



噛み花の種子はまだ外に飛んでいる様だ。

そのまま地面に根をはったら大変である。



「嫌。って言いたいけど、噛み花はもっと嫌だからね。仲間たちと種子を回収するわ」


「仲間たちはもう平気なのか?」


「ええ。もう元気よ」



仲間たちはもう元気になったようだ。顔も前よりか明るくなった気がする。

噛み花の種子は切子たちに任せ、猫柳は噛み花を引っこ抜きに植物園に行く。

読んでくれてありがとうございます。

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