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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
4章:月下の美男子事件
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不完全な結末、穢れの謎

骨の墓場が消え去り、元の場所に戻る。

周りを見渡すと胸を抑えながら地面に座っている蛇津と涙をポロポロと流している数多目がいる。

2人の状況を見ると争いは終わっているようだ。



「無事かギン」


「ああ。厳しかったがな」



スクッと立ち上がる。



「切子は?」


「あっちで気絶してる霧骨を叩き起こしてる」



パァンパァン!!



「起きろ!!」



頬を叩く音が響く。



「だーめー」


「安心しろ殺しはしない」



銀陽は、なぜか縮んだがしゃどくろの上に座り込んでいる。

そのせいで、がしゃどくろはジタバタしている。



「霧骨は平気かい?」



数多目が仲間の霧骨の心配をする。



「ああ。切子に叩かれてるが大丈夫だ」


「結構、頬が腫れてるけど」


「平気ならいいよ」



バシバシ!!

さっきよりも強い音で叩かれているが安心しているようだ。



「助けろ数多目!!」



何度も頬を叩かれていれば、さすがに目を覚ます。



「やっと起きたわね。話してもらうわよ」



まだ叩く。



「いつまでも叩いてんじゃねえ!!」


「キャッ」


「だめだよ霧骨。女性は優しくしないと」


「こいつは妖怪だ・・・何泣いてんだ?」



涙をポロポロ流しながら注意してくる仲間にポカンとする。



「彼に泣かされたんだ」



指を指す方向には蛇津がいる。



「俺より容赦ねえな。お前の仲間」


「友達ながら容赦ないからな」


「誤解だよ。それに君たちさっきまで争ってたのに仲よくなってない?」



シュルリ。

白い尻尾が2人の背後から首を絞める。

ミシミシと洒落にならない音が聞こえた気がする。


「ぐええ」


「ぐがががが」


「優君の虐めはだめよ」


「白蛇。お前過保護っぽくなってないか?」


「気のせいでしょ」



首絞めから開放してもらい、2人は咳き込む。

少し脱線したが切子が早く話せという威圧が来たため、切子の仲間を襲った話していく。



「嘘は言わねえ。信じるかはてめえ次第だぜ」


「・・・・・・」


「まず結論から言うと、てめえの仲間を襲ったのは間違いなく俺だ」


「やっぱり・・・」


「だが、好きで襲ったわけじゃない。俺だって相手くらい選ぶ」



切子の仲間を襲ったのは目の前に霧骨で間違いない。

しかし、言い方が引っかかる。それは自分の意思ではないと言っているようなものだ。

途切れ途切れで説明しているため理解に時間が掛かる。

どうやら説明が苦手のようだ。



「ここからは僕が話すよ。霧骨も覚えていない部分もあるからね」



ハンカチで涙を拭きながら立ち上がる数多目。

どうやら涙は収まったようだ。



「霧骨が君の仲間を襲ったの事実だ。でも彼も被害者という事を理解してほしい」


「どういう事?」



鎌鼬の仲間が襲われる前。

霧骨たちはバイトをこなしていた。そして順調だったが、急に黒い靄のようなもの落ちてきた。

見た瞬間それは穢れだと分かる程邪悪だった。



「それを霧骨は全身に被ってしまった」



がしゃどくろと妖怪憑きの状態の時に穢れを被った場合、霧骨は一緒に穢れを影響した。

理性を失い、凶暴化した。それは怪物と同じであった。



「その時、運悪く狙われたのが君の仲間の鎌鼬だったんだ」


「何よそれ・・・事故だったって事」



切子の敵討ち。なぜ仲間を襲ったのか、それは以外な事実であった。

しかし、納得がいかないようだ。事故だったからすぐに気持ちをグルリと変えて心変わりできる事はできない。誰だってそうだろう。仕方ないの一言で済まされない。



「襲ったのは事実だ。許さなくてもいいぜ。俺も謝る気がないからな」


「く・・・う。じゃあ行き場のない拳はどこに・・・」


「霧骨の腹に」


「分かったわ」



ズドン!!

いい突きが腹部にめり込む。



「ごぉぉう・・・」


「少しはスッキリしたかい?」


「少しね」


「てめえら、しかも数多目・・・」


「これくらい清算しなきゃ」



敵討ちは何とも不完全な結末であった。

いつまでも許さない気持ちと謝る気のない気持ち。お互いとも引かない試合なので決着がつかない。



「難しいが心の切り替えも必要だ」



切子の頭を優しく撫でる猫柳。



「な・・撫でるな!!」



顔を赤くしながら腕をバタバタ振るう。



(あれ、ギンいつのまに切子を・・・)



蛇津は何かを気付く。



「しかし、凶暴化した霧骨をよく元に戻したよな」



本人と戦った猫柳だからこそ分かる。

霧骨は強かった。凶暴化したら手などつけられないと考える。



「その時近くに禊の霊水があったからね。そこに落としただけ」


「その時は助かったぜ。風邪引きそうだったが」


「ねえ数多目君。ちょっといいかしら?」



今まで黙っていた白羅が口を開く。

穢れについて聞きたいの事だ。穢れはどこから落ちてきたのか。

空から穢れが落ちてくるなどありえない事だ。



「落ちてきた、というより堕されたのが正確ですね」



穢れが落ちてきた真上を見ると何か黒い存在が見えた。

視力の良い数多目ですら、それが何か理解できなかった。



「僕たちはその黒い存在を探している」



霧骨を抱え、その場から歩き始める。



「いろいろと迷惑をかけたね。次会えたら協力しよう」


「じゃあな」



突然の乱入から戦闘になり、決着が着いたらアッサリと消える。

何ともいきなりな2人だったが、悪い奴等には思えない。



「切子はこれからどうする?」


「仲間に報告しに行くわ。あと、あんたたちはまだバイト中でしょ?」


「そうだぞ。さっさと行くぞ銀一郎」



銀陽が走り出す。



「待てって、たく。・・・またな切子」



まだまだバイトは終わらない。

早く犬坂たちの元に向かわなければならない。



読んでくれてありがとうございました。

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