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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
4章:月下の美男子事件
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作戦会議 身代り男子?

身代り男子って何?

勝手に考えた新しい男性です。

朝飯。それは1日の始まりを起こすために必要な事だ。

味噌汁の湯気を見ながら納豆をカチャカチャとかき混ぜる。

足元には銀陽が猫飯をガッついている。意外にも猫飯おかわり2杯目である。

父親はお茶を飲みながらテレビで放映しているニュースを見ており、母親は白米をよそってくれる。

妹は隣で同じく納豆をかき混ぜている。兄妹仲良く納豆をかき混ぜているようだ。



「このニュース、学校の女子たちが騒いでたな。」



猫柳が見ているニュースは学校で、主に女子の間で騒がれてる月下の美男子事件である。

最初はネットの掲示板だけの噂にすぎなかったものがテレビで放映されるまで発展した。

内容は犬坂の言っていた話と同じであった。月明かりの輝く深夜に美男子が現れ、出会った者は意識を失い、いつの間にか病院のベットに寝ていた。

被害にあった人は全て女性であり、命に別状は無いそうだ。

被害が様々な地域で立て続けに起き、被害者は10数人も及ぶ。現段階では深夜にて1人でいることは注意が必要だ。さらに被害者が出るようなら警察も動くかもしれない。頭の片隅に残しておくべきニュースだ。



「男は被害ゼロみたいだな」



カチャカチャとかき混ぜた納豆を白米の上にかける。



「父さんと銀一郎は平気そうだな。母さんたちは気をつけろよ」



父親が母親と妹に注意を促す。大切な家族なのだから気をつけてほしい。

母親と妹は深夜に外には出ないと言って、笑う。

味噌汁を1口啜り、納豆ご飯をかきこむ。眠気は食事で顎を動かすことで目が覚める。



(これも怪奇の類じゃねえよな・・・)



納豆ご飯をペロリとたいらげ、学校に登校する準備をする。

今日も1日が始まる。

学校に登校し、教室に入ると月下の美男子事件について話がされていた。主に女子が。

男子たちは全く興味がなさそうである。男子として女子がイケメンにキャーキャー騒いでいたら面白くもないだろう。

女子は噂話でテンションが上がり、男子はしらける。そんな雰囲気の中に担任の先生が入り込み、朝のHRが始まる。

朝のHRは案の定、月下の美男子事件について話された。男子、女子とも暗い夜に出歩く事はしないようにと注意を促された。

事件の被害地域はバラバラであったが、猫柳たちの地域に近づいているようなので危ないのだ。もしかしたら、ということがあるかもしれない。

先生たちは放課後や夜の見回りをするとも言っていた。今日から余計な寄り道が出来なくなり、少し残念になる生徒たちがあらわれる。



「月下の美男子事件とやらがここまで大きくなるとはな」


「以外だよね」


「うーん」



猫柳、蛇津、犬坂はこの事件が実は怪奇の1つなのではないかと考えている。

しかし、これが怪奇だという判断材料が少ないので決め付けるのは早い。



「今度さ、集まって月下の美男子事件について調べてみない?」


「いいね。菓子とか買っておこう」


「よし。蛇津ん家に集合!」


「オレの家!?・・・いいよ」



月下の美男子事件についての作戦会議が予定された。

仲間と集まって怪奇について話すなんてワクワクするというか、楽しそうな気がする。



「そういえばティアは?」


「いないね」



休み時間になったら基本、集まってくる兎姫がいない。

犬坂が言うには休み時間が始まった瞬間に廊下に飛び出したらしい。

最初の休み時間も飛び出したらしい。犬坂が聞いてみると月下の美男子事件について学校の女子たちに聞きまわっているようだ。



「ティアもティアで事件を追っているのかな?」



蛇津が話していると後ろから目を隠された。



「あれ?」


「だーれダ?」



このカタコトの話し方は猫柳たちの知り合いではただ1人しかいない。



「ティアでしょ」


「ユウユウのセイカーイ」



パッと手を離し、今度は後ろからガバッと抱きつく。



「ヘイヘーイ。ワタシの噂?」



兎姫はいつもと変わらずのマイペースだ。

そんなマイペースの彼女に聞いてみた。なぜ月下の美男子事件を調べているのか。

でももしかしたら、ただの興味本位だけかもしれない。



「んうーン?」



普通に何かを誤魔化すような顔している。

しかし、気になるが無理に聞くのはよくない。言ってくれるのを待つしかない。

話をガラリと変え、テレビで放送されていたスイーツの話で盛り上がる。

友達が何か秘密で動いていると、とても気になる。

しかし今回のもっと気になるのは月下の美男子事件だ。

蛇津の家にて作戦会議が始まる。


作戦会議。

麦茶にみたらし団子のおやつが目の前に出される。

そして銀陽が間髪いれずに出されたみたらし団子を口に運ぶ。



「あぐあぐあぐ・・ゴクン。では第1回、妖怪作戦会議を始める!!」



みたらし団子の串をポイっと捨てる。



「銀猫さん?ここはあなたの部屋じゃないわよ」



ここは銀陽の部屋ではない。ここは蛇津の部屋だ。

人の部屋にごみを捨てるのはよくないことだ。反省しながら、しぶしぶ拾う。



「偉いぞ」


「さっさと始めようぜ」



クロもみたらし団子を食いながら話を進めようとする。

月下の美男子事件の犯人は妖怪だと考える。相手は女性ばかり狙い、病院送りにさせている。

外傷は無いが酷く疲労が現れる。



「その妖怪は女性に何してんだろうね」



同じ女性として犬坂が気になる事を指摘した。

女性ばかり狙う妖怪となると自分の身も危ないのではないかと。



「たぶん精気でも吸ってるのかもしれないわね」


「精気?」



精気は人間の生命力のエネルギーであり、活動するために必要だ。



「精気を吸う妖怪か。だから外傷が無く、酷い疲労が現れるのですね」


「その通りよ優君。だから爛ちゃんは気をつけてね」


「はい、気をつけます」


「まあ、危なかったらそこのクロを盾にしなさい」


「そうですね」


「何だと!?」


「いいじゃんクロ。身代わり男子って事で」


「身代わり男子!?」



身代わり男子とは女性のために身を捧げる自己犠牲精神が高い男子の事である。

自己犠牲は高貴な行動であると見なされやすいため、素晴らしい事でもある。



「と思うわよ」


「思うだけかよ!!」


「でも危なかったら俺や優も身代わりにしな」


「ありがとうギン、さっすが男子」


「おおよ!!」


「じゃあまず、誰から身代わりになる?」


「クロ、俺、優、銀陽の順番で」



月下の美男子事件を解決するための作戦会議なのだが、いつのまにか身代わりの話になってしまった。

どんな作戦会議でも話し合いでも、全く違う話になる事は稀ではない。

分かりやすく例えるなら、勉強会をしていたら遊んでいた。学生なら誰もが通る道ではなかろうか。

本当に真面目な人以外は。



「白羅さんも神様とはいえ、女性なんだからオレも身代わりになりますよ」


「優君・・・」



白羅は頬を赤くさせ、目を潤ませる。

身体をプルプルさせたかと思ったら、いきなり蛇津を押し倒した。



「ちょっ白羅っさん!?」


「はぁぁ・・巻きついてチロチロしたいわ」



チロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロ



「もう・・してますね」



チロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロチロ



「さて、作戦会議だが・・・」


「助けてよ」



完全に話が脱線したので、一旦落ち着く。

お茶を飲んで落ち着くのが一番だ。



「今度こそ作戦会議を始めるぞ」



今回、事件の正体は妖怪と考える。相手は女性ばかり狙うイケメンだ。女性の精気を吸い取り、病院送りにしている。

しかも猫柳たちの住む町に近づいていので、知り合いに被害が出るかもしれない。これを機に退治の意見を出す。



「まずどうやって誘い出すんだ?」


「1番は女をエサに誘き出すことだぜ」



猫柳の質問にクロが答えを言う。

確かにクロの言った方法が事件の妖怪を誘き出すのに確立が1番高い。

もし、その案を活用するならば犬坂か白羅が囮となる。いや、白羅は神様なので事件の妖怪は気付くかもしれない。

そうなると犬坂となってしまう。さっきまで身代わり男子だか何だか話していたのに。



「うむむ」


「あたしは構わないけど」



特に気にせず了承した。確立が1番高いのならば、それを選ぶ。それほど変な事ではない。



「じゃあ、その作戦でいくぞ!! モグモグ」



ポイっとみたらし団子の串を捨てる。



「あのね、だからね、ここはね、あなたの部屋じゃなのよ」



また反省しながらごみ箱へ捨てる。



「さて、銀猫に反省させた所で作戦をさらに詳しくしていきましょ」



囮作戦という大本を考え、そこから作戦をさらに具体的にしていく。

あーだこーだと考え、案が飛び交い、作戦が完全に決まっていく。



「やっと決まった」



犬坂を囮に事件の黒幕である妖怪を誘き出す。

誘き出せたらすぐに退治するために犬坂の後ろに近すぎず、遠すぎずの距離で尾行していく。

なんだかんだでシンプルな作戦になった。



「長く考えた割にシンプルだな」


「ギンの言うとおりね」



決行は明後日。その日は満月になる。

読んでくれてありがとうございます。

感想待ってます。

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