古い民家の怪奇現象
2話目です。よろしくお願いします。
ボクは捨て猫だった。
捨てられてボクは絶望したんだ。最初は、もしかしたら迎えにくるかもしれないと思った。でも来なかった。本当に絶望した。
でも優しい人がボクを拾ってくれたんだ。
家まで行くと、そこにはもう1人優しい人がいた。
ボクは優しい人たちと家族になったんだ。
ボクは嬉しかった。
ご飯はおいしいし、いっぱい遊んでくれた。
孫っていう人も遊びに来てくれる。どんな人かなって思ったけど、その人も優しかった。
楽しいな。孫って人も一緒に遊んでくれるし、頭も撫でてくれる。
猫の近所付き合いもできた。 猫仲間ができた。
いろんな話が聞ける。
ボクは猫、家族は人間、言葉が伝わらないのは仕方がない。
ボクも人間の言葉が話せたら良いな。
昨日も今日も楽しい1日だった。
それが明日も明後日も続くと良いな。
ずっと・・・
某県、某市の学校にて2人の生徒が会話をしている。
「優、なんか変わった事とか知らないか?」
「ニュースでも見ればいいんじゃない」
はっきり言って神様や妖怪に出会ったことは十分に変わったことである。
「いや、そういうんじゃなくてさ、怪奇現象的な?」
「ん?そういうのに興味あるのかい?」
「まあね。だから聞いてみた。」
(ニャンコとのバイトだって言ったらどう思うかな)
とりあえず、「何言ってんだ」と言われるだろう。
ニャンコとバイトなんて。しかも妖怪ですか。
「そうだね・・・」
怪奇現象について話そうとしたとき、横から声をかけられた。
それはよく知っている声だ。
「そこのお2人さん。なーに話してるの」
「んあ? 何だ爛じゃん。 おはー」
「おはよう。爛」
「おはよーさん」
さらに後ろからヒョコリ。
「ワタシもいるよ。 オハヨウ」
「ティア、おはよう」
あいさつをすませた。ので、この2人について簡単に話そうではないか。
まずは犬坂 爛。
猫柳と蛇津の幼馴染である。小、中、高校と一緒だ。
姉御的な性格の友達だ。
猫柳に対して負けず嫌いな一面もある。でも仲は良い。
次に兎妃 ティアレイン。
彼女は帰国子女である。
祖母はフランス人であり、兎妃 ティアレインはそのクォーターだ。
彼ら3人とは中学時代に出会い、友達となった。
ティアレインという名前は少し長いということでティアと呼ばれている。本人は嫌ではなく、むしろ気に入っている。
海外で過ごしていたので日本に来たときは上手く話せなくて友達ができないかと思ってた矢先、蛇津とのちょっとした会話からコミュニケーションをとることができ上手く友達もできた。
日本のアニメに感銘を受け、すっかりオタク女子になってたりする。
言葉はまだ少しカタコトみたいだが、実はキャラ作りらしい。
「で、何の話してたの?」
「ああ。ギンが怪奇現象について教えて欲しいということで、今から話そうとしてた」
「カイキゲンショウ?」
ティアレインが首を傾ける。
「なんていうか、何もない場所で光が漂ったり、物が勝手に動いたりとかそんな感じかな」
「アア。魔法ミタイなモノ?」
「何か違う気がするけど、それでいいや」
怪奇現象の内容は様々なので魔法と言われても否定はできない。
何より説明がめんどくさい。
いくつ怪奇現象があることやら。
「でさ、何があるんだ? HRが始まるぞ」
「なんか面白そうだから私も聞こうっと」
「ワタシも聞く」
「じゃあ話しますか」
隣町に古い民家が建っている。
その古い民家で怪奇現象が起こるらしい。
怪奇現象が起こる条件はその古い民家を建て壊そうとすると、そこの責任者や業者、近くにいた人たちが原因不明で体調を崩している。
そして、その古い民家で黒い大きな物体が現れると噂されている。
「怪奇現象ってそういうのあるよな」
うんうんと猫柳が頷く。
「しかし、黒くて大きな物体ねえ」
「確証はないけど、それを見たという人がいるらしい。 まあ、噂だけどね」
「案外妖怪の仕業だったりして」
「なに? 銀一は妖怪とか信じてるの?」
「いるんじゃないか? 日本の怪だろ」
(実際のところ最近、妖怪に出会ったからなぁ・・・ニャンコだけど)
「確かに否定できないな」
「ヨウカイ・・・妖怪。 西洋風だとモンスター?」
「そうだね。 アニメとこかでもよく出てるんじゃないかな」
「オオ、あのモンスターが!」
「あのモンスターかどうかは知らんけど、その古い民家には出ないと思うよ」
「ナンダァ」
ちょっとガックシしてる。
アニメのモンスターまで出たら大変だ。
でも、妖怪や神様も存在するのだからアニメのモンスターも存在するかもしれない。
「噂の怪奇現象だから本当かどうかは分からないけど」
朝のHRが始まる。
ここは日常。
しかし、ちょっとしたキッカケで日常から非日常へと変化してしまう。
キッカケは向こうから来る時もあれば、こっちから近づく時もある。
そのキッカケを選択をするのは自分だということを忘れてはいけない。
現在、猫柳宅。 猫柳は自分の部屋にて目の前の猫に学校で聞いた怪奇現象について話した。
お互い茶菓子を食いながら。
今日の茶菓子はイチゴ大福。
「という話があったんだ銀陽」
「ふむ。興味深いな・・・・」
「でさ、銀陽はこの怪奇現象はやっぱり妖怪の仕業だと思うか?」
「その怪奇現象だが、実際にその古い民家を見に行かないと分からんな」
「だよなあ」
「この私が近づけば妖怪ならば妖気で分かるのだ」
「当たり前だけど現場に行ってみないとわかんねえか」
「どんな事件も現場で起こってるのだろう。 テレビでやってたぞ」
猫もテレビを見る時代になったようだ。
「どこでテレビなんか見てんだ?」
「留守中の家とか。 最近はお前の家とかだ」
「不法侵入だろそれ」
「別に猫だし妖怪だし~」
やっぱり言っても無駄だった。
猫だし。
「俺の家なら良いか。いつのまにか俺の家族が銀陽を迎え入れてるし」
本当にさも当たり前のようにいた。
本人に直接聞いてみたら、ちょっとした催眠みたいなもので昔から銀陽を飼っていたという錯覚を家族に植え付けたらしい。
家族になんてことするんだ。
「じゃあ今週の土曜日に隣町に行ってみますか」
奇妙なバイトが始まる。
土曜日、隣町に到着。
「銀陽が暴れるから注意されたじゃないか」
「違う。あれは電車が止まった時にお前がしっかり私を抑えてなかったから転がり落ちたのだ」
実は電車の中でちょっとした一騒動があった。
それは猫柳が電車に乗る時、さすがに猫を外に出したまま乗るわけにはいかなかったのでリュックの中に入ってもらうことにしたのだ。
妖怪だから狭いリュックの中でも平気だろうということで。
しかし、ちょっとしたはずみで銀陽がリュックから出てしまい、車両の中を転がり回ってしまったのだ。
当たり前だが注意された。
「とりあえずその古い民家とやらに行ってみるぞ」
猫柳の頭に乗っかりながら指示を出している。
少し重いがそれほど気にしない。
「出発するか」
ボクはまた1人だけになってしまった。
さびしいよ。楽しかった日々が懐かしく、取り戻したい。
みんなどこに行ってしまったの?でも、いつか帰ってくるよね。
だからボクはこの家を守らなくてはいけないんだ。
ゼッタイに・・・・・。
古い民家に到着。
「着いたな」
「うむ」
古い民家。
確かになにかいそうな雰囲気がある。
「どうだ?銀陽、なんか感じる?」
「むう。お前の言うとうり、この古い民家になんかいるな」
なにかいる。銀陽ははっきりと言った。
かもではない。いると言った。
「そっか。じゃあ気を引き締めて行くか」
猫柳が気を引き締めて古い民家に突入しようとした時、横から聞き覚えのある声をかけられた。
「あれ?ギンじゃないか。何してんの」
「え?優。なんでこんな所に?」
「それはこっちのセリフなんだけど・・・ていうか頭の猫は一体?」
そんな会話をしていると優のカバンから白いなにかがシュルッと出てきた。
「優、カバンから何か出てきたような・・・」
「え?何かって?」
それは白蛇だった。
しかも少し大きい。
「優!?ちょ・・おま・・・!?」
「あ・・・」
さすがに驚く。
友達のカバンから白蛇が出てくれば。しかし、次に以外な驚きがあった。
「やっぱり、あなたは食い逃げ猫!!」
「むむ!お前はあの白蛇か!?」
「猫が・・・」
「蛇が・・・」
「「しゃべった!?」」
友達がしゃべる白蛇と一緒にいた。
読んでくださってありがとうございます。