表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
3章:偶然、呪いの辻道
17/150

犬神

仲間が増えますよ。

・・・・・挿絵頑張んないと

目の前に禍々しい妖気を放つ犬神が現れる。

噂の言う通り、姿は犬の首だ。しかし、異様に大きい。

口からは犬歯をギラリと見せつけ、涎をボタボタ垂れ流している。



「グガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ」


「目がイッチャてる」


「会話は無理そうね」



相手を見た瞬間、会話が不可能と思うのはこんな場面かもしれない。

犬神を探し続けて、やっと向こうから出てきた。



「グルゥアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



「来るぞ!!」



銀陽は猫柳に妖怪憑きを、白羅は蛇津に神憑きをする。



「「いくぞ!!」」



ハモったかけ声とともに犬神の元へ走り出す。



「グルゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」



犬神の口から何かが一直線に吐き出される。



「「あぶなぁ!?」」



一直線に吐き出された何かを2人は左右にかわした。



「犬神が何か吐いた!?」



何か吐いたものを見ると、それはネトネトした粘度のある液体であった。



『よだれの塊ね』



粘度の高そうな涎が身体に付着したら身動きが出来ない。

犬神が吐き出した涎は獲物を捕らえる技かもしれない。

さらに衛生的にもよろしくないだろう。猫柳たちは背筋がゾッとした。



『絶対くらうなよ銀一郎。私は嫌だ』


「俺も嫌だ」



次の涎玉が吐き出される。

涎玉はかわす度に次から次へと吐き出される。

衛生的に涎玉に当たりたくないとはいえ、かわし続けるわけにはいかない。

このままでは決着がつかない。



「どうするか、掴む力を使うか・・・」



掴む力を使えば涎玉をどうにかできる。

しかし、掴むということはあの涎玉に手を突っ込むということになる。

猫柳はその事実に考えこんでいる。



「正直嫌だが、躊躇って場合じゃねえ」



ネトネトの涎玉に手を突っ込むという勇気を出し、掴もうとした時に蛇津の声が聞こえた。



蒼蛇あおへび



水で形成された大蛇が現れる。



「行け!」



蛇津の声とともに蒼蛇が曲線を描きながら犬神を元へ向かう。

涎玉を吐き出される口を締め付け、塞ぐ。



「ブゥグググググググググ」


「抑えた!!今だギン」



涎玉を掴むことは無くなったようだ。

蛇津に感謝しつつ、両手をその場でかき回し空気を掴む。

その掴みとった空気を腕に纏った。



風籠手かぜごて



犬神に向けて拳を殴りつける。



「オラァ!!」



風籠手の拳が犬神に殴りつけた瞬間に纏った空気が突き出した方向へと爆発した。



「ブゥググググッググ!?」



犬神が吹き飛ばされ、猫柳は追撃をかけ、もう片方の風籠手も殴りつける。



「さすがギンだね。こっちだって」



蛇津が腕を下に振るう。

それに呼応したかのように蒼蛇が犬神を地面にへと叩き付ける。



「グバァ!?」


「やったか?」


「グガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!」



犬神はすぐに起き上がり、隣の十字路へと急いで逃げ込んだ。



「しまった、隣へ逃げたぞ」


『また動きまわられたら探すのが面倒だぞ。追いかけるぞ!』



猫柳たちが犬神が逃げ込んだ隣の十字路に駆け込もうとした時、背後から殺気を感じた。

後ろを振り向くと、さっきの犬神がこちらに向かって突っ込んできている。



「うわっ!?」



急なことでかわせず、2人は犬神に轢かれた。



(痛って・・・まさか後ろから出てくるなんて。とりあえず上手く着地しねえと)



妖怪憑きのおかげで轢かれても重症とまではいってない。

しかし、痛いものは痛い。蛇津は無事かと隣を見ていると猫柳と同じく既に体勢を整えている。



『油断したな』


「予想外だっただけだ」



自分の進行方向に逃げた犬神がいきなり背後から襲ってくる。

相当な武人じゃなければ、かわせないのだろうか。

猫柳たちは特別な力を手に入れても学生だ。突然の対処は難しいだろう。

次は油断しないと思っていると、さらに予想外な事が起きた。



「ギン、優ぅ無事!?」


「「爛!?」」



大切な友達が黒い大きな犬に乗ってこっちに向かってきた。

そのまま猫柳と蛇津が回収された。

2人はお礼を言い、なぜここに犬坂がいるのかを聞き出した。



「あんたたちが言ったじゃない。この空間に入るには条件がいるって」


「まさか・・・」



犬坂は今乗っている黒い大きい犬とパートナーとなり、バイトに参加した。

危険だから関わって欲しくなかったが、もう遅い。



「もう何言っても無駄だからね」


「はいはい」


「たっくよお」



2人とも苦笑いしながら納得した。



「ところであれが妖怪・・・初めて見たわ」


「ああ、あれは犬神だ。偶然に生まれてしまった妖怪だがな」



黒い大きな犬が犬神について話し始める。

犬神は犬霊の憑き物である。犬神とは呪術によって生まれる存在だ。

犬神をどうやって作るかはいくつか方法がある。

飢餓状態の犬の首を打ちおとし、それを辻道に埋め、人々が頭上を往来することで怨念の増した霊を呪物として使う方法や犬を頭部のみを出して生き埋めにし、目の前に食物を置き、餓死しようとする時に首を切るという方法もある。

だが、この方法だと誰かが行わなければならない。

そもそも呪いなのだから、普通の犬が首を切りたがることはない。


「偶然?」



犬神の作り方の方法はいくつかあるが、その通りにやれば絶対に出来るとは限らない。

しかし、条件が整っていれば可能かもしれない。

条件は場所、時間、状態、動作等が上手く成り立てば出来るかもしれないのだ。

人の手がなくともその条件が偶然合えが出来るという可能性があるのだ。



「まさか」


「そのまさかだ」



目の前にいる犬神は誰かによって作られたのではない。

偶然に条件が合ってしまい、偶然にも生まれた存在なのだ。



『なるほどな。だからさっきからこいつを作った奴を探していたが感じないのか』


「そこの小僧。妖怪憑きか」


『私もよ。情報ありがとう。黒犬さん』


「2人から違う声でしゃべっている・・・もしかしてさっきの銀猫と白蛇?」


「ああ、そうだ。今みたいに身体の所有権も変われるんだ」



突然の予想外が続き、驚きだが猫柳たちは一旦落ち着くことができた。



「さて俺様たちも参戦するぞ犬坂!!」


「もちろん、行くよクロ!!」



犬坂とクロの神憑きにより変身する。

仲間が増え、今度こそ犬神との決着をつけようと意気込む。

読んでくれてありがとうございます。

やっとヒロイン出せたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ