表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
16章:風神の申し子
146/150

台風過ぎ去れば快晴

その後の話をしよう。猫柳銀一郎と扇橋飛三郎が戯遊楽をビルから落とした後の話だ。

ビルから落としたところで彼女は生きていそうだと思って確かめに行ってみると誰もいなかったのだ。逃げたのか、それとも消滅したのか分からない。

そもそも『望』のメンバーたちは分からない。風神であるシナツヒコは『望』の戯遊楽を見て人間でも妖怪でも神でもないと言った。

ならば一体何だと言うのか、全くもって分からない。だからこそ捕獲して問いただしたかった。


「逃げたならしょうがない。倒したなら大金星と考えよ」

「そうだな。あーあ、雨女を回収しにいくか。雷神様は怒ってないかなぁ…」

「何を言ってんだ。たぶんお前はこれから事情聴取だぞ…俺と一緒に」

「は?」

「だって謎の存在『望』の奴と接触しただろ。ならこれから竜之宮先輩にいろいろと聞かれるだろ」

「…それはちょっと休憩してからが良いな」

「まあな。でもその前に聞きたいことがあるんだが今直撃している台風って大丈夫なのか」

「ああ大丈夫だ」


扇橋飛三郎たちが神耀町に溜まった穢れを祓うために台風を利用した儀式をしようとしていた。だから台風自体にも何か仕込んでいるかと思っていたがそうでもないらしい。

台風の目が神耀町の中心に到達した時に儀式が開始されるようだったが、猫柳銀一郎たちと戯遊楽との邪魔で開始できなかったのだ。

まるで猫柳銀一郎たちが意図的に邪魔したかのように思われるが、全ては戯遊楽がいろいろと仕掛けていたのを止めるためだったのだ。

結局、彼女は扇橋飛三郎の行おうとした儀式でどう利用しようとしたかは分からなかった。だがきっと碌でもないことだろう。


「結局のところこの町に残った穢れは?」

「残ったままだ。早めにどうにかしないと何かしら怪奇が起こるぞ」

「どんな?」

「さあな。だが穢れが多いと厄介だぞ。穢れが多ければ怪奇の規模は大きい」

「…分かった」

「竜之宮家も怪奇を調伏する家系だ。何かしら方法は知っているさ」


そう言って扇橋飛三郎はその場を去ろうとした。


「いや待て。事情聴取があるんだよ」

「えー、メンドイ」


ガッシリと彼の手を握って仲間の居る場所まで引きずるのであった。


「俺は男と手を握る趣味はない!!」

「俺も好きで男の手を握るか!?」


ヤイヤイワイワイしながら台風の中を歩く野郎2人であった。





視点は変わる。人間から妖怪と神へ。


「おい風神」

「なんだ猫」

「お前は本当にあいつを…『望』とか言う戯遊楽の正体が分からないのか?」

「ああ。分からない。神として生きていて、あんなものは見たことが無い」


風神であるシナツヒコが戯遊楽を「あんなもの」と例えるくらい謎の存在だ。

人間でも神でも妖怪でもない。ならば一体何だというのか。宇宙人とでもいうのだろうか。


「現在の人界、神界、妖界はおかしくなっている」

「おかしい?」

「妖怪のくせに気付かないか。現在の人の世に神や妖怪はこびるのを」

「…確かにそうだが、それは穢れをばらまいている奴と『バイト』の影響じゃないか」


最初の始まりは世に怪奇事件が数多に発生したから、調伏するために人と妖怪や神が手を組んだのだ。

だから人の世に普通では有りえない数の妖怪や神が現れて、現界している。だがその事実自体がおかしいのだ。まるで日本が昔のように神妖が近くにいた時代。まるで神代のように。


「穢れをばらまいている奴に関してはだいたい予想がつく。そいつに関してはいずれ対処にいく。だが『バイト』とやらを広めたのはどこのどいつだ?」

「…それは私も知らん」

「そこだよ。『バイト』なんて粗末な言葉で片づけているがやっているのは怪奇の調伏だ。まさに怪異殺しや神殺しに近い。そんなことをやらせるように『バイト』を広めた奴は誰だ?」


今も日本で当たり前のように怪奇事件を解決する『バイト』を発案したのは誰か。


「私の知り合いの神たちに聞いても誰もが知らないと言う。普通にやっているが『バイト』に関しては気をつけろ。どこのどいつが発案したのか知らないからな」

「……いろいろと調べることが出てきたな」

「気をつけろ。今じゃ得体のしれない奴らが何かしら好き勝手に動いているからな」


それは『望』という奴らを含めて他にもいるということ。実際に『悪』なんていう奴らもいるらしいからだ。


「今一度、『バイト』に関して調べた方が良いな…」




台風は過ぎ去った。台風が過ぎ去った後というのはどうしようもなく快晴だ。とても気持ち良い青空で理由も無く心が晴れ渡る気分になる。

こんな日は上を向いて散歩するのも乙なものだろう。台風が直撃している日はとても恐ろしいというのに過ぎ去った後はこうも正反対に気持ちの良いものなんだから不思議なものだ。

だがそれでもこの神耀町に穢れが溜まってきているというのだから不思議なものだ。見た感じそうでもないが専門家たちには分かるらしい。

きっと神耀町は見る人によっては危険なんだろう。


「この町に溜まってきているという穢れは竜之宮とやらが対策するんだろう?」

「ああ。先輩がそう言っていた。準備が出来次第に俺らも手伝うことになっている」

「そうか。では私たちはそれまで何か怪奇事件が起これば解決しつつ、『望』などの勢力の調査だな」

「だな」

「それともう1つ。『バイト』に関しても調べるぞ」

「え、何でだ?」

「私たちはどうやらよく『バイト』に関して知らないからな」

「…そっか。調べることがいっぱいだな」

「やることはたくさんあるぞ」

「じゃあ、身体を動かす前に何か食っていくか」

「ラーメン!!」

「猫は店に入れません」


台風直撃週間にいろいろとあった。それはもう頭が混乱して整理がつかないほどに。

竜之宮先輩たちと出会い、怪奇事件解決チームを組んだり。謎の組織である『望』や『悪』、『ネガイゴト』なんて訳の分からない奴らも知った。

扇橋飛三郎という陰陽師に出会って神耀町に穢れが溜まっていることを知った。夜中に件の『望』である戯遊楽と遭遇した。そして台風直撃日に扇橋飛三郎と戦い、戯遊楽と遊んだ。

最後に今まで気にも留めなかったっことも浮上してきたのだから混乱するのは当然である。

これからやることはたくさんありそうだ。時期的にはもう秋になる。

季節の変わり目には同時に何か新しいことが起こる前触れだ。猫柳銀一郎にまた何か起こるであろう。

それでも上を見上げれば青空は変わらない。


読んでくれてありがとうございました。

長すぎましたがこの話でこの章は終了です。次回から新章です。


なんだが物語がごちゃごちゃしてきたので整理する必要がありますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ