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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
16章:風神の申し子
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竜巻消失

短いですが少しずつ投稿です。

クイクイッと毛糸が引っ張られるの確認した羊島姫音は合図がやっと来たと言わんばかりに毛糸を強く引っ張った。この毛糸の先につながっているのは猫柳銀一郎である。

何故、毛糸の先に彼がつながっているかと言われれば命綱のようなもの。場所や相手の力を事前に知っているための処置である。もしかしたら意味はないかもしれないが無いよりマシだ。


「毛糸が切れないように補強します!!」


猫柳銀一郎の状態は竜巻に巻き込まれている。特別な毛糸とはいえ、何重にも巻いて補強していく。


「んんんん!!」


まるで綱引きの要領で引っ張る。小柄な身体であるが愛夢のおかげで力が上がっている。


『引っ張りますよ~』


愛夢の気の抜けた声が頭に響いて一瞬だけ力が抜けそうになるをこらえる。


「んんうう!!」


引っ張った感覚から「すぽーーん!!」という感じに抜けたような気がした。





すぽーーん、と言う感じに竜巻から抜けた猫柳銀一郎。


「釣られた魚の気分だ。でも助かった」


無事であることを教えるために毛糸をクイクイと引っ張って合図を送る。


「さて、どうやってあの竜巻を消すかだな」

『術者を殴ればいい』

「それは分かっている。問題は竜巻だ。このまま突っ込んでもアウトだぞ。…なあ銀陽、竜巻を掴んで逆回転すれば消えるか?」

『竜巻の回転力に勝てるのかお前?』

「今の提案なし」


一瞬だけ良い案かと思えば無策すぎた。如何に妖怪の力を借りているとはいえ無理だろう。


「何か案はないのか」


風や竜巻を攻略する糸口を叩き出すために足りない頭を総動員させる。何でも掴める力といえど大きな竜巻はどうにもできない。

考えろ、何でも良いから考えるのだ。何も自分だけでどうにかする必要はない。猫柳銀一郎は1人ではなくて仲間がいるのだから。

懐から携帯電話を取り出す。


「もしもし竜之宮先輩!?」

『どうした猫柳?』

「こっちどんな状況か分かりますか!?」

『また竜巻に巻き込まれそうになっている』

「正解です」


「また」という部分で既に竜巻に巻き込まれたことを予想している先輩であった。


「この竜巻を何とかできますか?」


先輩だからと言って何でも頼れるとは限らない。そもそも竜巻を何とかしてくれと言って何とかしてくれる先輩なんているのか。


『いいぞ』


何とかしてくれる先輩であった。最もどうにかできると思って連絡したのだが。

彼女と一緒にいる神である天緋は天目一箇神。嵐を司る神なのだ。ならば竜巻をどうにかできるはずである。


『ようやくこちらも出番がきたということだな。任せろ』


電話が切れる。


「あとは竜巻が消えれば勝負だ」





竜巻は今だに大きくなる。急速に大きくなるわけではないがこのままではマズイ。

だがここで頼りになる先輩からの援護が到着する。


「これまた風の神とは珍しい」


天緋が竜巻に手を翳すと新たな竜巻が生まれてぶつかり合う。まさか町に竜巻が2つも発生したとなれば大ニュースだ。

だが今はそんなことは後回し。竜巻は正転と逆転でぶつかり合うと相殺する。すると竜巻があった中心に人影が見える。


「よしきた!!」


人影が見えた瞬間に猫柳銀一郎はすぐさま飛びつく。


「どうして竜巻が消えた!?」

『向こうにも天候を司る神がいるようだ』

「そっちにも神がいるのか」

『…気をつけろ飛三郎』

「え、何が?」


扇橋飛三郎が何かと思った瞬間に腹部に重い衝撃がが走った。原因はすぐさま分かり、目の前には見事な蹴りを決めた猫柳銀一郎がいるのだから。

彼の蹴りは見事に入り、扇橋飛三郎を転がり飛ばす。


『そのまま畳みかけろ銀一郎!!』

「分かっている!!」


立ち上がる前に走りぬき、蹴り上げる。そして最後の一撃のつもりで拳を突き出した。


「ぐがっ!?」


殴られた扇橋飛三郎の服から一通の手紙がヒラリと落ちる。その手紙は戯遊楽から貰った手紙と同じであった。


「その手紙は…」

『やっと手元から離れたか』


今の声はシナツヒコ。鎌鼬が発生して落ちた手紙を細切れにした。


『感謝するぞ。彼は先ほどの手紙を持ってからおかしくなった』


シナツヒコが言うには、その手紙を持ってから扇橋飛三郎が変わったという。まるで目的のために一直線になった。周囲の言うことを聞かなくなった子供のようにだ。

おかげでシナツヒコには敬意を払っている割には目的には頑なに自分の案を通す。雨女は取り込まれ、雷神は折れる。

だが恐れるは穢れを汚染されていることだ。手紙に穢れが入っているなんて危険すぎる。

シナツヒコが気になるのは謎で危険すぎる手紙は誰から受け取ったのか、誰から送られてきたのか分からないのだ。


『だが、お前たちは知っているな。銀色の猫に人よ』

「…ああ、知っている。それはーー」


猫柳銀一郎が話そうとした時にシナツヒコが細切れにした手紙が光る。そして光が収まったその場には戯遊楽がいた。


「まだまだ遊び足りないよ」

読んでくれてありがとうございます。

次回も気長にお待ちください

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