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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
16章:風神の申し子
139/150

充満

新キャラ登場!!

今回の物語の主要人物ですね。彼の魅力が分かるようにしたいです。

「おっとすいません」


「いや、こちらこそ不注意で」



背中に誰かがぶつかった。声からして男性だ。どんな男性かと思い、後ろを振り返る女性を2人はべらしたチャラそうなイケメンがいた。

雑誌モデルにでも載っていてもおかしくない程だ。



「・・・もしかして君たちは」



イケメンの彼が含みのある言い方をした瞬間に悲鳴が聞こえてくる。その悲鳴から引ったくりの事件だと聞こえてきた。書店から抜け出して引ったくり犯を追いかける。

目の前には引ったくり犯と犬坂爛、イケメンがいた。



「あたしに任せて!!」



走りの速さを上げて引ったくり犯に足をかけて転ばせる。そして猫柳銀一朗はそのまま跳びかかる。



「御用だ!!」



引ったくり犯の手にはナイフが握られている。それくらいは予想していた。凶器を持っている可能性は味噌汁に豆腐を入れるくらいの確立である。



「ナイフくらい蹴飛ばしてやる。妖怪に比べれば恐く無い」



ナイフの持っている手を狙って蹴りを入れる。

パキン。

ナイフの刃が折れた。まだ足は届いていない。蹴り飛ばす前にナイフの刃が折れたのだ。その理由は目で捉えていた。

イケメンが手を横に振った瞬間に風の刃がナイフを切ったのだ。折れたのではなく切れたのだ。



(あのイケメン野郎は何者だ?)



蹴りが引ったくり犯に着弾した。







捕まえた引ったくり犯は警察に任せて猫柳銀一朗たちはさっさと帰る。事情聴取を受けたが「捕まえただけだ」と謙遜しながら話した。

喫茶店に入ってゆっくりするつもりがちょっとした事件が起きた事で疲れが倍増したのだ。

家に帰ろうと思っていたら肩をトントンと叩かれた。



「実は話がしたいんだけど良いかな?」



今夜の24時に神耀公園にて集合。大事な話がある。

そい言われたならば応じる。猫柳銀一朗も聞きたいことがあるのだ。風の刃についてだ。



「くああ・・さすがに24時になると眠いな」



キコキコとブランコに乗りながらイケメンを待つ。

時刻は23時28分。早く到着しすぎたのかもしれない。もう15分くらいは遅く出発しても良かっただろう。



「しっかし何者なのかねあのイケメンは?」


「あら。イケメンが何だって?」


「え、何で猿蔵先輩が!?」



公園のベンチに猿蔵信吾がいつの間にかコーヒーを飲みながら座っていた。

イケメンでなくオネェが来た。



「深夜の散歩をしていたらギンちゃんが1人寂しくここに居たからアタァシが抱擁してあげようかと」


「大丈夫なんで遠慮します」


「あら残念」



1人寂しくブランコを漕いでいたわけではない猫柳銀一朗。もし、抱擁を受けていたらどうなっていたか分からない。



「一応言っておくけど変なことはしないわよ。全てのオネェを変な目で見るのはダメよん」



正論を言われては何も言い返せない。確かに人を見た目で判断するのは愚かなことだ。そんな自分を反省する。



「アタァシならお尻を少し撫でるくらいよ」



猿蔵信吾に関しては少し考えを変えたほうが良いようだ。



(もう猿蔵先輩には背後は見せられないかもな)



23時45分。公園にイケメンが来た。さすがに女性は侍らしていない。

それでもチャラそうな雰囲気はあるのであった。



「やあ、早いね。待たせちゃったかな?」


「そうでもないさ。でも遅刻したら俺の尻が危険だったな」


「は?」



尻を抑えながらベンチに座っている猿蔵信吾を見る。手をフリフリと振っている。



「振り返しとくか」



フリフリ。



「彼は誰?」


「俺の先輩で同じ関係者だ」


「ふーん。じゃあいっか・・自己紹介をしよう」



扇橋飛三郎おうぎばしひさぶろう

彼もまた怪奇に関わる人間だ。その証拠に指をタクトように振るうと風が吹く。「どう?」と言わんばかりの顔をしている。



「猫柳銀一朗って言うのか。そっちは?」


「アタァシは猿蔵信吾よ。ブルーローズって呼んでね」



毎回自分の名前を変えているのだろう。前と違う名前であっても呼び名は猿蔵先輩と言う猫柳銀一朗であった。



「ブルーローズね。オレの方も好きに呼んで構わないよ」


「俺も好きなように呼んでくれ」


「そうするよ銀一朗」



自己紹介は終了。本題へと入る。



「まずはオレから・・実は陰陽師みたいなものなんだ」



陰陽師。簡単に言うならば妖や怪奇をどうにかるす存在である。

実際に歴史にも刻まれており、現在にも実在する職業だ。



「もうちょっと正確に言うと怪奇の専門家かな」


「専門家ねえ。バイトの人達とは違うのかしら?」



竜之宮夕乃を思い浮かべる。彼女の家系は妖怪の起こす怪奇を解決していると言っていた。

ならば扇橋飛三郎も同じなのだろう。



「君らはバイトの人達なのかな?」


「そうだぜ」


「ふーん。じゃあさ、この町に良くないもの・・・穢れ少しずつ充満しているのは気付いている?」



それが今回の本題である。



「え、それは知らん」



まさかの事実。猫柳銀一朗の住む町に穢れが充満している。それは見過ごせない問題だ。詳しく聞かなければならない。



「え、そうなの。バイトをこの町でしているからてっきり知っているかと思ったよ。じゃあブルーローズは?」


「アタァシは感ずいていたわよ。ここ一ヶ月それについて調べていたのよね」



話を聞くと神耀町に少しずつ穢れが充満しているとのことだ。

理由として穢れを纏った妖怪が町に集まり怪奇を起こしているからだ。そして穢れが少しずつ周囲に広がっている。

猫柳銀一朗は思い出す。自分が怪奇を解決してきた中で神耀町で起こったのが多いことを。



「穢れがこのまま町に充満してしまうと大きな怪奇が起こるから危険なんだ」


「穢れの怪奇」


「そう。それに妖怪が集まるだけでも次の怪奇が起こりやすくなるんだ」



怪奇が起これば連鎖的に次の怪奇が起こるらしい。



「まあ穢れは要素・・・妖素みたいなもんかな」



穢れはそのままだとして、妖素は妖怪が自然と出している怪奇の元となる要素を略したものだ。



「んで、オレはその穢れを含めた良くないものを吹き飛ばすのが仕事なんだ」



それが彼にとっての専門家としての仕事である。



「それまた凄い仕事で」


「まあね。なんたってオレは特別だから」



特別だから。そんなセリフを聞いた。

そのセリフを言う人に初めて出会った。堂々と言うのは羨ましくもあり、恐れ多い。



「で、注意事項がある」


「なんだ?」


「今日から一週間後に台風がこの町に上陸する。その時にオレは穢れを吹き飛ばす儀式を行うんだよ」



穢れを吹き飛ばす儀式。それは台風の力を利用して穢れを吹き飛ばすと言う。

彼が言いたいのはこうだ。儀式の邪魔をするなと。

それなら邪魔をする必要は無い。穢れを祓うなら祓ってくれと文句は無い。



「ああ分かった。それに台風が来るなら家から出ない」


「そうね。台風の日は家で実験か開発するのが一般的よねん」


「それは先輩だけだ」


「ま、だから気をつけてくれ。その日に出歩いて間違って吹き飛ばすのも悪いし。そうだメアドと携帯番号を教えとくよ」


「グイグイくるな」



扇橋飛三郎のメアドと携帯番号を手に入れる。猫柳銀一朗はグイグイくるコミュニケーション力に若干押されるのであった。



「じゃあね」



扇橋飛三郎は風と共に消えるのであった。




                     ☆




夜の公園に残った猫柳銀一朗と猿蔵信吾。特に何もすることは無かったので帰宅する。

猫柳銀一朗は絶対に猿蔵信吾に背後を見せない。



「やあねえ。アタァシも毎回撫でないわよ」


「全てのオネェが男の尻を触るなんて偏見は持たないが猿蔵信吾は信じられない」


「そんなことしないわよ。アタァシを信じて」


「・・・・・・・」


「なんならアタァシの家に泊まる?」



先輩だから尊敬はしているが、警戒レベルを上げるのであった。



「ん?」



ちょうど外套の下に誰かが倒れていた。

読んでくれてありがとうございます。

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