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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
15章:異形の目
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生徒会

生徒会室。部屋には合計4人。蛇津優と竜之宮夕乃の他に2人はもちろん生徒会員だ。

その役職は副会長と書記だ。自己紹介を始める。



「では自己紹介を始めてくれ。まずは此方からだ」



2人の男女がいる。まずは男子学生が自己紹介を始めた。



「こんにちわ。僕は亀梨塞丈かめなしさいじょうだ。副会長をしている。君が新しく入った蛇津君だね。これからよろしく」


「こ、こんにちわ。私は羽鳥弥生はねどりやよいです。よ、よろしくお願いします」


「こんにちわ。オレは蛇津優です。会計になりました。これからよろしくお願いします」



お互いに自己紹介を簡単に済ませる。自己紹介は大事だが本題を話す。

彼らもまた怪奇の世界を知る者たちだ。妖怪などについて気兼ねなく話せるものだ。



「君の優秀さなら会長から聞いているよ。そして今回の怪奇解決の試練もね。分からない事があれば聞いてくれ。僕も助力をしよう」



羽鳥弥生も首をコクコクと頷いている。どうやら実力試しの怪奇事件解決の事を知っているようだ。

蛇津優は純粋に彼らに好意を抱く。礼儀正しく、怪奇解決の助力をしてくれる。この上ない頼りになる先輩と同級生である。



「亀梨先輩。助力はよろしいですがあまり助力し過ぎるのはいけませんよ」


「分かっているよ会長。これも試練だから助力をするのは少しだけだ」



また羽鳥弥生が首を縦にコクコクと振る。話すのが苦手なのか話すタイミングを逃しているのかは分からない。だが見ていて思った最初の感想は気弱で大人しい女学生だ。

逆に亀梨塞丈は頼りになる優しい先輩と言ったところだ。背も高く、180センチくらいはあるだろう。デカイの一言。



「さて、さっそく実力を見たいし助力もしてあげたいけど、今は生徒会としての仕事をしてもらいたい」



早速、ある資料を渡される。今の時間帯は学生の本分の時間だ。怪奇事件よりも学生らしくしろとのことだ。



「いきなり難しい仕事はさせないよ。蛇津君には雑務をしてもらうからさ」



渡されたある資料には『神耀祭じんようさい』と書かれている。皆が楽しみたい学園祭だ。

秋に開催される一大イベントを取り仕切るのは確かに生徒会の仕事だ。資料を見ながら説明を受ける。その他にもイベントはあるが『神耀祭』が大目玉である。

開催は11月。開催期間は2日間だ。それまで生徒会は大忙しだろう。二束のわらじを履くことになる。



「これまた大変になりそうだ」


「では早速雑用をしようか」


「はい」



生徒会としての仕事が始まる。








                   ☆








「どうすっかなー。どうしようか優?」


「オレに言われてもね。決めるのはギン自身だからさ」



帰宅途中にて喫茶店に入り猫柳銀一朗から相談もとい雑談をされる。コーヒーを一口飲む。隣に置いてあるモンブランを食べながら一息。

悩んだ友達に相談されたら相談されよう。相談内容は何か部活やサークルに所属したいとのことだ。



「そんな事言わずに何かアドバイスをプリーズ」


「そうだね。もし2つ選択するなら?」


「陸上か裁縫」


「へえ。なら外と内どっち派?」


「どっちかつーと外。アウトドアだな」


「じゃあ陸上じゃないか」


「尋問誘導されたか」


「何でだよ?」



誘導尋問では無い。しかし2つのサークル名を聞いて一瞬ニヤニヤしてしまうのであった。



「他にもアドバイスプリーズ」


「えー・・・そう言えば怪奇伝承研究会はどうなったの?」



自分自身である意味で薦めたサークルのことを聞く。2重の意味でだ。猫柳銀一朗が気付いているかはどうかとして。



「ああ、見学しに行ったけど面白かったぜ。部長の牛妻先輩はメッチャ美人だしな。それに怪奇伝承の話を興味を引くものばかりだった」


「へえ、そうなんだ。オレも今度話してみたいね。あと、その怪奇伝承研究会にまた何人も入部したみたいだよ」


「え、そうなのか?」


「うん。これでサークルを存続させられるメンバーが増えたわけだよ。これで止めなければ良いんだけどね」



生徒会に所属しているのでサークルや部活の情報はある程度得られるのだ。



「そう言えば怪奇伝承研究会はメンバーが入部したり辞めたりってあったな。ふむ。怪奇伝承研究会か・・・気にはなるんだよな」


「その怪奇伝承研究会も候補の1つだね。そう言えば前にスリーオブカードって話したよね」


「ああ、話したな。気になってたところだ」


「1人は生徒会長の竜之宮先輩。で、もう1人が実は怪奇伝承研究会の部長の牛妻先輩なんだ」


「マジか。でもどこが他の生徒と比べて圧倒的に何かの部分で秀でている・・・あ」



何かに気付いたようだ。噂で知ったある情報を思い浮かべる。実際に見たことは無いが猫柳銀一朗の反応で何となく分かるのであった。



「まあ、ギンが思いついた事で正解だよ。でも神耀学園の美人ランクでトップでもあるんだ」


「確かに美人だ。それに可愛い寄りの美人だと思う。あと怪奇についての知識も相当だったぜ」


「オカルト系巨乳美女だね。そしてスリーオブカード最後の1人は神耀学園のある意味有名人の・・・」



プルルルルルルルル。

携帯電話が鳴る。出所は蛇津優のポケットからだ。電話相手はどうやら先ほどまで話題に出た生徒会長の竜之宮夕乃だ。

内容を確認すると呼び出しのようだ。



『ああ、蛇津。今大丈夫か?」


「はい。大丈夫ですよ。どうしました?」


『実は話がある。電話越しではなく、直接話したいのだが良いか?』


「構いませんよ。では今から向います」


『すまないな帰宅中だと言うのに。では頼む』


「はい分かりました。ではこれから向います。お茶菓子は和菓子と洋菓子どちらが良いですか?」


『む、良いのか?』


「はい大丈夫ですよ。茶菓子くらい」


『では、駄菓子・・・と言う菓子を食べたいのだが良いだろうか』



駄菓子と聞いて懐かしい記憶が蘇る。小さい頃によく友達と食べていた菓子だ。安くて面白く、美味しい菓子だ。たまに変な菓子もあるが、それは愛嬌と言うものだ。

リクエストならば買おう。しかし駄菓子も様々な種類がある。蛇津優は無難な駄菓子から面白い駄菓子もいくつか買って行こうを思うのであった。



「ゴメン、会長から話があるからそろそろ戻るよ」


「おう。またな」



会計を済ませ喫茶店を出て行く。まず向うは駄菓子屋である。

駄菓子屋には昔ながらのお菓子が揃っている。面白いお菓子からよく分からないお菓子まで幅広い。蛇津優はとりあえず、あるだけ駄菓子を買う。

値段は学生の懐にはとても有りがたいのでいくらでも帰る。ついカゴの中は様々な駄菓子だらけだ。バイトをしているため、お金は持っている。駄菓子くらいでは痛くも痒くもない。



「こんなものでいっか。量が多すぎても食べきれないからね」


「食べきれないのなら少し分けてくれませんか。その駄菓子は好物でボクも食べたいのです」


「え?」



後ろから話しかけられた。そこには黒い服に赤いマフラー、白い髪に青い眼の青年がいた。見た瞬間、青年からはどこか幸福そうと感じられる。



「ボクは幸多福人さちたふくと。キミがさっき手にした駄菓子はボクの好物で最後の1個だったんだ。食べきれないならボクに譲ってくれないだろうか」



さっき手にした最後の1個の駄菓子はヨーグルトのような駄菓子だ。この駄菓子は確かに美味い。まったりとした味わいだが癖になる味付けだ。駄菓子の中では上位になる人気だろう。

目の前にいる青年。幸多福人が好物と言うのは納得できる。



「はいどうぞ」



譲ってくれと言われたのなら譲る。どうしても渡せない駄菓子では無いため簡単に譲れる。



「ありがとう。じゃあキミに幸があらんことを」



少し不思議な出会いをした。ただそれだけを思った蛇津優であった。










                        ☆








「ただいま戻りました竜之宮会長」


「ああ蛇津。戻って来てくれてありがとう。実は君が解決しようとする怪奇についての情報が新しく手に入ったんだ」



新しい情報を手に入れるのが早い。さすがに大きな組織ならば情報をかき集められるのだろう。

多対一ではやはり差はある。だが気にはせず、新しい情報を聞くのに徹する。

「昨日の夜だがまた件の怪人が現れた。出現場所はこの町と隣町の境目付近だ」

また町のギリギリのところで出現したようだ。狐の力を貸してもらって捜索していたがまさか町境に出現したとは予想外と思っていた。次からは町境も目を光らせるべきだろう。

出現した場所聞き、地図に目印を付ける。地図にある目印を見てもまだ関連性は分からない。出現場所は全てバラバラである。



(バラバラだ。でも、もしかしたら出現付近に何かあるのかもしれない。それも踏まえて今度見に行ってみよう)


「今回の被害だが前々から同じで怪人に出会い、人が襲われた。軽傷であるのが唯一救いかもしれないな。



被害者は我々の専属病院で治療中と事情聴取中だ。そして聞いた話によるとやはり異形の目を見たと言う」



「そうですか。異形の目・・・今まで被害に遭った人は何か呪いとかにかかったりしたのですか?」


「いや、それは無い。被害者全員が皆軽傷だ。そしてその後も特に何か呪いのような事は起こっていない。皆無事だ」



襲われただけである。ただそれだけ。大きな事件にはなっていない。軽傷とは言え、武器類を使われている時点で危ないと思われるが蛇津優はこの怪奇事件はまるでただのイタズラ事件のようだと思う。

町に現れ、人を驚かすように剣などの無数の武器を振り落とす。やっていることの意味が分からない。目的も分からない。



「目的が分かりませんね」


「怪人が起こす事件は意味など無いと言いたいが怪人と言っても人間だ。でも妖怪と同じように理由無く面白がって起こしているはずの可能性もある」


「まあ確かにその可能性はありますね。それに妖怪は好き勝手に世の中を存在してますから」



今まで出遭った妖怪たちを思い出す。ほとんどが好き勝手にしていた。



「今回は妖怪でなく怪人だがな。人が力を得た怪なる存在だ。そこらの妖怪と違って何をしでかすか分からん。今はまだマシかもしれないが今後は危険の可能性はある」


「今回の犯人は妖怪でなく人間ですか」


「そうだ。しかも女性。なぜこんなことをするか分からないが危険だから捕まえる」


「はい。任せてください。その役目はオレが達成してみせます」


「ああ、頼む。君には期待しているよ・・・・・ところでその袋の中に入っているのが?」


「ああ、駄菓子ですよ。イロイロあるので食べましょう」



机の上に駄菓子をぶちまける。種類は様々である。竜之宮竜乃の顔を見るとキラキラしているというか珍しい物を見るように直視している。

お嬢様にとって駄菓子とは珍しい菓子なのかもしれない。よくお嬢様キャラは一般の住む世界を知らないと決まっているがまさにそうなのかもしれない。

おずおずと1つの駄菓子を手に取る。キリリとした容姿端麗な女性である竜之宮夕乃はまるで子供がオモチャを貰ったかのような雰囲気を出している。



「う、うむ。いただこう。これはどうやって食べるんだ?」


「これはこうやって食べるんですよ」



食べ方を教える。意外にも駄菓子には食べ方がある。それも駄菓子を食べる楽しみとして工夫されたのだろう。

子供の頃は楽しみながら駄菓子を食べたことを思い出す。



「なるほど。こう食べるのか!!」



美味しかったたり楽しかったりで良いのだが、たまに自分の口に合わないの変なものあるがそれも愛嬌である。



「うむ。世の中にはこんな菓子があるのか・・・驚きだ」



モクモクと食べる竜之宮夕乃。それを見て蛇津優はポツリと呟く。その呟きが聞こえていたのか、竜之宮夕乃の顔が少し赤くなっている。



「な、何を言っているんだ蛇津」


「何って思わずポツリと出ただけですよ。可愛いですねって」



ニコニコと本心を言う。嘘を言っても仕方ない。蛇津優は嘘を言わない。



「・・・・・蛇津。あまり女性をからかうものじゃないぞ」


「本心なんですが」



駄菓子を食べながら報告を聞くのであった。


読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに!!

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