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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
3章:偶然、呪いの辻道
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好きな動物、昔の思い出

日常パートみたいなもんです。

オナカ、スイタ・・・

ナニカナイノカ・・・

ナニもクッテナイ・・・ノンデナイ

アアアアア・・・ア?

メノマエにナニカアル・・・クイモノ?



ある動物が目の前にある物に近づく。食べ物か分からない。

その動物は気づいていない。今歩いているのは車が通る十字路だということを、そして近づいてくる車も。

・・・・・・・・・・。

イヤな音が聞こえた。その音は普通は聞きたくはない音だ。誰もがその音を聞けば不快になると感じるかもしれない。



「あーあ、やっちまった。何か動物を轢いてしまった」



車の運転手は動物を轢いてしまったことに対して罪悪感が滲み出る。

しかし、こちらも大きな事故が起きた可能性もあったかもしれない。運転手は仕方がないという気持ちだった。運転手はそのまま走り出す。



「スマンな。成仏してくれ犬ッコロ」



轢いてしまった動物は犬のようだ。

この後、悲惨なものを見る人は少なからずいるだろう。

首の無い死体を見るなんて。

・・・この日から怪奇が始まった。











いつもの学校。休み時間。



「ねえ、皆はどんな動物が好き?」


「突然だな」


「いいじゃん」



この話題は必ず出るわりとマイナーな会話の切り口だ。そこから会話だ盛り上がってくるものだ。



「あたしは犬」


「俺は猫」


「ワタシはウサギ」



両手を頭に上げ、兎のポーズをとりピョンピョン跳ねる。



「そういえばウサギって1匹だと死んじゃうって言われてるけど。どうなノ?」


「確かによく聞くね」


「「そこんとこどうなの、優?」」


「何でも知ってると思うなよ」


「頭いいじゃん」


「頭が良いからって何でも知ってるわけでもないよ」


「えーー」


「・・・兎は群れを作るだとか、そんな感じかな?」


「ちゃんと答えてくれる」


「優しい」


「で、優の好きな動物は?」


「オレは白蛇」


「「「ヘビはないナー」」」


「そんな事は無いよ」



好きな動物と聞かれて蛇と答えるのは珍しい。



「蛇は蛇でも白蛇だからね。白蛇は縁起が良いんだよ」


「フーン」


「ユウはラッキー的なモノが好きだよネ」


「うん。大好き」



良い笑顔。



「しっかし、キレイに分かれたね」



好きなのは人それぞれというわけだ。

そこに蛇津が急に思い出したように話し出す。



「犬といえば爛にはエピソードがあったよね」


「ちょっ!そのエピソードは!」


「あぁ。あれかぁ」


「何々ソレ?」



猫柳と蛇津はニヤニヤする。犬坂はアワアワ、兎姫は首をクリッと傾ける。



「ティアは知らなかったか」


「小さい時だからティアとはまだ友達になる前の話だ」


「フーン。聞きたーイ」


「恥ずかしいからやめてよ」


「そこまで恥ずかしい話じゃないよ」


「あたしは恥ずかしいの」



他の人にとって恥ずかしくないと思っても、自分にとって恥ずかしいというのはある。

犬坂はまさにその状態である。



「あれはね・・・」


「わあ!ダメ!」


「させるか!」



猫柳が犬坂を後ろから押さえつける。



「離してっ!」


(・・・犬坂の髪から甘い香りがする)



猫柳のも男なのでこういうのには反応する。

思春期ということだ。いろいろと甘酸っぱい時期だと思う。



「どんなエピソード?」


「そんなにすごいっていうエピソードじゃないんだけど」



蛇津が淡々と昔のエピソードを話す。

内容は猫柳、蛇津、犬坂が小学生だった頃で遠くに遊びに行った時、犬坂が迷子になった。

迷子も馬鹿にならない。親も大騒ぎだ。誘拐に事故等、不安は大きくなる。

大事になるかと思ったがそうでもなかった。すぐに犬坂が見つかったからだ。なぜか黒い犬に連れられて。その時の犬坂の顔は涙やらなにやらでビショビショだった。猫柳はすぐに犬坂の元に駆け付け、犬坂も駆け寄る。

そのまま感動の再会みたいに抱き合う。安心したのかピンと張っていた糸が切れたみたいで、ワンワン泣き出す。その後、犬坂はずっと猫柳に抱き着いたままであった。食事の時も、お風呂の時も、寝る時も。



「へぇ、そんなことガ。ンフフフフ。小っちゃい時とはいえ本当にずっと抱き着いていたノ?」



兎姫が犬坂を見ながらニヤニヤする。

小さい頃とはいえ、友達の甘酸っぱそうな話には敏感に反応する。



「うん。ずっと抱き着いていたね」



蛇津も良い笑顔で犬坂を見る。



「わわわわわわわっ!わーわーわーわー!」


「うるさいぞ。」


「いいから離して!」



犬坂はさっきよりも顔を赤くし、猫柳はジタバタする犬坂を押さえつけている。



「ずっと抱き着いてたカ。ンフフフフフフ」


「そうなんだよ。ギンにずっと抱き着いてて」


「もしかして、トイレとかモ?」


「どうだったかな?」



ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ。

蛇津は顔をニヤけて、質問を答える。



「もしかしテ」


「うーわー!!」



猫柳を突き放し、蛇津の腹にボディブロー。



「ふぐぅっ!?」


「ワッ!?ユウユウ大丈夫?」


「ティアも余計な質問しない!」



兎姫の頭にチョップ。



「イテッ!」


「この話は・・・もう終わりに・・・」


「あと・・・」


「まだ話すか!」


「うん」



蛇津の良い笑顔。2発目のボディブロー、そして膝をつく。



「んぐぉぉ・・・」


「今のボディブローはきれいに入ったな」


「んぐぐ・・・じゃあ、あの時ギンが爛に言ったカッコいいセリフのことを」


「ソイヤッサア!!」



蛇津に3度目のボディブローで完全に蹲る。



「ナニナニ?カッコいいセリフってテ?」


「何のことやら」


「優、話してやれ!!」



今度は犬坂が猫柳を後ろから押さえつける。一瞬、カキンと固まったがすぐに拘束から逃れようとする。



「離せ!」


(背中に柔らかい物が・・・まさかここまでとは・・・)


「離すか!あたしだけ恥ずかしい思いをしてたまるか!」


「バッカ!あのセリフは俺もお前も恥ずかしい!」


「え・・・あ!!やっぱ言わなくていい!!」


「エー、聞きたーイ」


「「だめ」」



兎姫に対して2人は腕を交差させ、バツを作る。



「うう・・なんとも良いボディブロー」



ボディブローのダメージが回復したのかスッと立ち上がる。それでも腹部をまだ擦っている。

同じ部分に3発もボディブローが入れば正直キツイ。



「話をちょっと戻すけど、あの時の犬はどこの犬だったんだろうね」


「ん?爛を引っ張って来た犬か」


「うん」


「・・・・・・・・・・」


「ランチャン。ボーッとしてどうしたノ?」


「あの時の犬は確か黒犬だったなあって」



大変だった過去であったが今では話のネタになっている。恥ずかしいが皆で笑ってられる話だ。

トラウマにならないで良かっただろう。子供時代の記憶だが人間、嫌なことや怖かったことは案外覚えているものだ。



(あの時のアタシって小さかった・・・野良犬が怖くなかったのかな?)



小さい子供なら野良犬は恐怖の対象ではないだろうか。

犬が好きという人はいるが、自分が思う犬と野良犬は全く別だろう。



(子供の勘でも働いたのかな。この犬は大丈夫だとか)



昔を思い出しながら話が進み、休み時間を終えるチャイムが鳴り響く。

読んでくれてありがとうございます!!

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