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銀色神妖記  作者: ヒカリショウ
12章:阿波妖闘試合
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凶悪な妖怪 牛鬼

お待たせしました!!

化け狸たちが合戦を始める。化かし合いがそこらで起こり、剣や槍が弾け合う。怒号や悲鳴が大きすぎる。耳がキーンとするくらいだ。

戦う化け狸と逃げる化け狸が大狸祭で蠢く。この状況は手に負えない。



「何だ何だ!?」


「千住太郎の野朗がぁ!!」



試合会場は混沌としている。この状況で冷静になるのは難しい。その中で異様な空間がある。

それは紫衛門と千住太郎がいる場所だ。そこだけが他の化け狸たちが避けている。



「よくも阿波狸合戦を再戦させてくれたな・・千住太郎ぉ!!!」


「そう怒るな紫衛門。実はお前も嬉しいのではないか?」



紫衛門の口元が少しだけ歪み、ニヤけている。理性では阿波狸合戦を良しとしないが、無意識では千住太郎との決着を付けられると嬉しいと思っているのだ。



「千住太郎。・・・確かに私の心の中でどこかお前と決着をつけられると嬉しい気持ちが湧き上がった。不謹慎かもしれない」


「良い事ではないか」


「だが、不謹慎だ。・・・だから早くお前を倒して合戦を止める!!」


「そうだ。合戦を止めるにはどちらか一方が倒れるしかないのだ」


「お前の息の根を止める!!」


「殺してくれよう!!」



試合会場から2人が跳び出し、戦いながら何処かへ消えていく。

その様子を見ていた猫柳たち。それと同時に走り出す猫柳と太三郎。



「玉麗はどっかに隠れてろ!! この混乱は兄貴である俺が止める。付いて来いギン」


「言われなくても足が勝手に動いてるよ!!」


「ちょっとアンタら!!」



目の前で暴れている化け狸を薙ぎ払いながら紫衛門たちを追う。この合戦を止めるにはどうすれば良いか。それは簡単だ。組織の頭をどうにかすれば良い。

この阿波狸合戦を止めるには互いの頭である紫衛門と千住太郎の争いを止めるのが1番なのだ。

猫柳たちは阿波狸合戦を止める方法をすぐに理解できた。そしたら勝手に身体が動いていた。



「手伝えギン。そして先に行っているぞ!!」


「そのつもりだ。おら邪魔だ化け狸!!」



化け狸たちは合戦で頭がいっぱいな為、猫柳たちには気付かない。そのおかげで無駄な戦いをせずに紫衛門たちの元へ走り抜ける。

ちぎっては投げ、ちぎっては投げながら進む。



『面倒な事に巻き込まれたな銀一朗。狸の合戦など勝手にやらせておけ』


「もう巻き込まれたから遅いだろ。それに穢れの奴がいただろ? バイトの時間だ」


『ふん。仕方がないな』



本当に面倒そうだが、バイトはバイト。力を貸してくれる。



(それにしても予想は的中だな。依頼は千住太郎を止めれば依頼達成だ。ところで霧骨はどこいったんだ?)



先程までいた霧骨がいない。彼も動いているはずだ。だが、近くにいないとなると別行動の可能性がある。

考え事をしながら化け狸を投げ進んでいると前方から黒い触手のようなものが襲い掛かってくる。よく見ると黒い触手は髪の毛であった。先端は針のように鋭くなっている。



「これはもしかしなくても・・千乃か!!」



目の前には髪女の千乃がいる。








                                 ☆











大狸祭は超が付く程に大混乱状態。化け狸たちは争い、逃げる。化け狸たちだけでなく、他の妖怪たちも大騒ぎだ。その混乱の中で怪しく不気味な妖怪が忍び寄る。

その身体からは穢れを滲み出し、ある人物へと近づいている。口元はペロリと舌を出している。



「くくく。千住太郎はついに合戦を再戦させたようだ。これで互いに目的を達成できる。まあ、奴が合戦に勝利できるかどうかは知らんがな」



ある人物へとさらに近づく。

桃色の髪に、頭には大きなリボンを付けている小柄な少女へとだ。少女は混乱に巻き込まれてもみくちゃになっている。この状況で小柄な身体は不利なものだ。上手くバランスを取れずに流されている。



「周りの妖怪どもが邪魔だな。引き裂いても構わないのだが、必要でもある」



さらに近づき、手が届きそうな距離となる。いつでも襲え、目をギラつかせる。

腕を伸ばし、握り潰す感覚で掴もうとする。



「やっと久しぶり食える。人間をな」



ニヤリと笑う。手が少女の頭スレスレまで届いた瞬間に腕から嫌な音が聞こえ、ありえない方向に曲がっていた。



「左腕貰ったぁ!! てか、羊島さんに手を出すんじゃないわよ!!」


「犬坂さん!!」



スタッと着地する犬坂。すぐに羊島を襲おうとした妖怪を見る。



「もう1人の獲物が来てくれるとはな。探す手間が省けた」



折れた左腕を無関心のように見ている。自分の腕が折れるのは普通に無関心ではいられないはずなのだが、目の前の妖怪は気に止めない。痛みすら感じて無いようだ。



『本当に牛鬼か。危険すぎる妖怪だぜ。気を付けろよ犬坂。油断してると頭から喰われるぞ』


「恐いこと言わないでよクロ。でも油断はしないよ」



黒靴を表面を膝まで伸ばす。両足に力を込めて、羊島の腕を掴んで大きく跳んだ。



「逃がすつもりはない」



牛鬼も同じく大きく跳んだ。追いかける為にだ。



「やっぱり追いかけて来ましたね。牛鬼は私達を逃がすつもりは無いようです」


『濡れ女もぉ~捕まえようと必死でしたねぇ~』


「濡れ女は片付けたのか?」


『片付けましたよぉ~。残るは牛鬼ぃだけですよぉ~』


「はい倒しました。相手の目的はやはり私達を食べるようです・・・」


「うげ・・・」



内容を聞いてウンザリする。誰だって食われるのは良しと思いはしない。しかも犬坂たちは食われてしまうかもしれない対象となっている。ウンザリしてしまうのは当然だろう。



「食われるつもりは1ミリも無いけどね!!」



犬坂たちはただ逃げているだけではない。全力で戦える場所まで移動しているのだ。

周りの化け狸や妖怪たちを巻き込むわけにはいかないと思う配慮の行動である。

試合会場から離れた広い場所まで跳ぶ。



「追いかけっこはもう終わりか?」


『ああ、終わりだぜ。ここからはお前を退治するだけだからな』


行くよ羊島さん!!


はい犬坂さん!!



牛鬼の左腕方面に走り出す。今、牛鬼の左腕は折れている。よって、左半身の動きは鈍い。



『作戦はぁ~簡単ですぅ~。私達ぃが牛鬼ぃを拘束しますぅ~。犬坂様ぁとクロ様ぁが蹴りで決着ですぅ~』


「はい。分かりました愛夢」



キリリリリリリリリリリ。

毛糸を伸ばし、周りに毛糸の結界を張る。



「まさか自分たちから逃げ場を無くすとは」


「違います。貴方を逃がさない為です」



毛糸を編む。


「編物語・羽毛槍うもうそう



毛糸で編まれた複数の小さな槍が羽毛のように舞う。

指をクイッと動かし、舞う槍が一斉に突き刺さる。



「ふん。こんな柔な槍避けるまでもない・・・いや、避けるべきか」



複数の毛糸の槍は急所を外し、牛鬼の身体にかすり傷程度しか与えられなかった。



「この程度痛くもない」


「じゃあ、これはどう!!」



蹴りを牛鬼の左側から叩き込む。



「我は牛鬼。人間など食料だ。人間の小細工は効かぬ」



蹴りを打ち込んだ部分は犬坂が予定した部分では無かった。その部分は大きな蜘蛛の足であった。



「蜘蛛の足!?」



牛鬼の背中から蜘蛛の足が8本生えてくる。

クキャクキャと動いている。その蜘蛛の足に蹴りを防がれたのだ。



『牛鬼は名前の通りに牛と鬼が混じった妖怪じゃないぜ。どっちかっつーと、牛と蜘蛛の方が合っているぜ』



牛鬼の伝承ではいくつかある。その中で姿を説明する文ではよく牛と蜘蛛の混じった姿とあるのだ。

目の前にいる牛鬼は角の生えた人間の姿になっている。妖怪らしさは角と背中に生えた蜘蛛の足くらいだ。



「この足は獲物を貫き捕獲するのにある」



8本の蜘蛛の足が気持ち悪い動きで襲いかかる。



「うわっ!?・・・っとと」


「大丈夫ですか犬坂さん!?」


「大丈夫大丈夫。全部避けたから」



すぐに牛鬼の左腕側に位置する。



「ふん。意味の無い事をする。我には8本の足が追加された」


「手数だけが全てじゃないだろ。狙いはてめぇの吐き出す猛毒だろ」



猛毒と聞き、後退する。

猛毒という言葉は生物にとって危険のシグナルを伝わるのだ。足が勝手に後退するのは本能的な動きである。



「猛毒ですか?」


「ああ、牛鬼は猛毒を吐くぜ。俺様には分かる。奴から吐かれる臭え猛毒がな」



羊島は自分と犬坂の口に毛糸で編まれたマスクを装着した。ただのマスクではない。特別な毛糸で編まれたマスクなのだ。そこらの市販で売っているようなマスクではない。



「相手もただの猛毒ではないですけど、マスクをしないよりはマシです」


「ありがとう羊島さん。これはもう短気決戦しかないわ」


「はい」



猛毒が吐かれ、周りが危険地帯となった。長居はできない。早めに決着をつけなければ猛毒で身体が侵され死んでしまう。



「くくく。猛毒で殺しはしない。身動きを止めるだけだ。生きが良くなくては旨くないからな」


『人間を食う事ばっかりだな。てめぇは銀猫か。あいつは人間を食わないがな』


「銀猫など知らぬが久しぶりに人間が食えるのでな。少々気分が高揚している。せっかくここまでの舞台を創り上げるのに手伝ったのだからな。その分で我の気分が高揚している」


「舞台を作り上げた?」



気になる事を言った牛鬼。それに聞き返してしまう。



「そうだ。今この森が大混乱になっているだろう? それは我も一枚噛んでいる」


「それも全て人間を食べる為なのですか?」


「そうだ。現代の日本ではもう簡単に人間を食えない。だから何かしら案でも考えて食わないといけないのだ」



牛鬼は大狸祭に人間を食う為だけに参加したのだ。本当にただ人間を食う為にだ。そしてこの阿波狸合戦の混乱に乗じて人間を襲い食うのが目的となっている。

大混乱の中で人の目は周りに向けられていない。自分の事しか考えられない状況になっているのが通常だ。その隙を狙うという。

その隙を作る為だけに千住太郎と手を組んだ。お互いの利害が一致したかのように。



「我は千住太郎に穢れの力を与え、千住太郎は我に人間を食う機会を与えてくれた」


『ケッ。どんな利害だか理解できないぜ』



牛鬼が目的の為にこの混乱を起こした妖怪だと分かった。



「でもちょっと待って。気になる事があるんだけど・・何でこの祭りにあたしたち人間がいるって分かってんの?」



大狸祭は妖怪の祭り。ならば妖怪の祭りに人間がいるなど考えられない。なのに人間である犬坂たちがいると分かっただろうか。



「それは教えてもらったからな」


「教えてもらった?」


「そうだ。最初は嘘かと思ったがな。だが信憑性のある情報であったから信じた。そしたら目の前に人間がいる。森に入れてもらった甲斐があると言うものだ」


『森に入れてもらっただと?』


『ゆっくりとぉ~お話をしている場合じゃぁないですよぉ~』


「確かにゆっくり話してる時間は無いわね。毒が濃くなるし」


「我はゆっくり話しをしても構わないがな」


「お断り!!」



蹴りを一蹴。



「威勢の良い人間は嫌いではないぞ。威勢の良い人間は美味いからな」


「それ褒め言葉!?」



蹴りを連打。だが牛鬼の背中に生えてる8本の蜘蛛の足で防がれる。初めに左腕を折ったのだが手数の代わりはいくらでもあるようだ。



「でりゃりゃりゃりゃりゃ!!」


「援護します!!」



キリリリリリリリリリリリリリ。

毛糸を伸ばし、蜘蛛の足に絡みつかせる。そのまま周りの樹に絡みつかせていく。8本の蜘蛛の足は完全に動きが止まる。



「こざかしい糸だ」



牛鬼を中心に猛毒が発生する。今度は猛毒が見える。それは見ただけで危険だって分かってしまう色の付いた猛毒であった。その色は紫色。紫色の煙が牛鬼の周りを纏わり付いている。



毒天紫煙どくてんしえん



猛毒の紫煙が毛糸の拘束を溶かす。毛糸を溶かす程の猛毒は近づく事ができないと示している。

毛糸を溶かすだけでなく周りの木々まで影響を及ぼしている。



「この毒は身体を蝕むだけでなく、直接触れれば溶ける。できれば使いたくないが絶対に逃がしたくないのでな。両足を溶かして終わりだ」



猛毒の紫煙に包まれた牛鬼がゆらりと近づく。



「私はそろそろ空腹だ!!」



襲い掛かる牛鬼。猛毒の紫煙は犬坂たちを追うように纏わり付いてくる。まるで生きているようで、狙いは足だ。

これはヤバイと思った犬坂は羊島を抱かかえて猛毒の紫煙から離れる。だが、逃げれる範囲も限られている。

毛糸の結界のせいだからだ。牛鬼を逃がさない為と張った結界だが逆に利用されているのだ。



『チッ、足ばっかり狙ってきやがって。だがよ、狙ってくるのは足だけだぜ』



その事に関しては分かっている。食いたいという気持ちを持っているのなら身体全体を猛毒の紫煙で包んで来る事はないはずだ。

今できるのは猛毒の紫煙から逃げながら解決案を考えるしかない。



(それは分かっているわ。でも・・どう近づくかが問題)


(私の毛糸も溶けてしまいます。強度を上げればどうにかなるでしょうか?)



猛毒の紫煙は時間が経つにつれ周りを包んでいる。逃げ道がなくなってくる。



「やばっ!?」


「私に任せてください。愛夢、アレを試しますよ!!」


『はい~分かりましたぁ姫音様ぁ~』



毛糸を束ねようとした時に強風が吹く。猛毒の紫煙が周りから消えていく。



「何だと?」


「もしかしてギン!?」



強風が吹いた方向を見る。そこには狸の耳に尻尾の生えている斑模様の刺青のある化け狸がいた。

その化け狸は見た事がある。阿波妖闘試合で司会をしていた化け狸だ。



「4代目芝右衛門狸の珠緒が参上だよ!!」



大きな葉で作られた扇子を持っている。あの扇子で猛毒の紫煙を吹き飛ばしたのだろう。偶然か援護かは分からないが助かったのは事実。

後、失礼だが猫柳の方が良かったと思った2人であった。本当に口に出せない。



「邪魔な狸が来ただと・・・しかも総大将か。アイツめ、他の総大将も足止めしとけ」


「悪いけど団三郎から怪しい奴を見張っとけって言われてね。そしたらアンタが怪しい奴だったわけ。しかもこんな状況なのに今まさに誰か襲ってるしね」


「総大将を仕留めるのはアイツの役目だが、我が邪魔な狸を消すか」


(・・・アイツ?)



スタッと犬坂たちの所へ降りて来る珠緒。



「ウチが来たからにはもう安心だよ!!」


「なら共同戦線!!」


「ウチなら猛毒をどーにかできるから」


「どーにかしたら、あたしが仕留める!!」


「狸が1匹増えたところで変わらん。貴様はドロドロに溶かして狸汁にして副菜にしてやろう」



腕を高く挙げ、猛毒の紫煙を一箇所に纏める。大きな球型の猛毒が完成する。

あの球型の猛毒に触れたら身体は蝕まれ、ドロドロに溶けるのは確実だと本能で実感してしまう。



「邪魔な狸は消えろ!!」



猛毒が一直線に迫る。



「ふふん。アンタなんかウチの妄想の肥やしにもならないね」



珠緒が手に持っていた大きな葉で出来た扇子がボワンッとともに煙を出しながら別の物へと変化した。それは、どこからどう見ても巨大な掃除機であった。



「掃除機だ!!」


「掃除機ですね」



巨大な掃除機が起動する。向ってくる猛毒を全て吸い尽くす。



「化けるってのは自分自身じゃなくて他の物も化ける事ができんの。昔話でよく人間に泥団子や馬糞を美味しそうな団子にして食わせるでしょ?」



変化の術は自分自身が化けるだけでなく、違う物も変化させる事もできる。



「ウチは特に物を違う物に変化させるのが得意なんだ。こんな風にね!!」



猛毒を吸い終えた巨大な掃除機はまたボワンッと煙を出して変化する。今度は長い長い鎖であった。



「牛鬼を捕まえろ!!」



鎖がうねるように牛鬼へと巻き付く。



「ふん。こんな鎖など我の毒で溶ける」


「その鎖はアンタの毒を変化させた物だよ。毒が毒で溶けるはずない。それにその鎖はアンタの毒を吸収もする・・だって同じ毒だもん」


「何だと・・・だがこんな鎖は蜘蛛の足で」



蜘蛛の足を動かせない。それは鎖の拘束ではなく、毛糸の拘束だ。



「ええい毛糸まで!!」


「これで動きを止めます。編物語・繭玉まゆたま



毛糸が牛鬼の身体に巻きつかれていく。何度も力ずくで引き千切っても毛糸は何度も巻きつく。



「こんな糸切れで捕まる我では無い!!」



力のある者に毛糸の捕縛は中々効かない。それはたった数本の毛糸だからだ。数本の毛糸ではなく、何十何百何千何万本の毛糸なら簡単には千切れない。

何度も毛糸を引き千切る牛鬼。背中から生える8本の蜘蛛の脚を振り回しても毛糸は絡まる。

引き千切っても巻き付く毛糸。千切れた毛糸を違う毛糸で繋げてまた操り、巻き付かせる。

牛鬼の動きが止まるまで羊島は毛糸を絡まさせた。



「この糸切れ如きがぁ!!」


『毛糸も侮れませんよぉ~。1本の矢ぁよりもぉ3本の矢ぁとも言いますぅ~』



毛糸が完全に牛鬼の身体を拘束した。



「今です犬坂さん!!」


「任せて!! 黒犬走り・三足さんそく



犬坂が足に地面をめり込ませるくらい力を込め、発進。直線的で爆発的な走り。速すぎて目にも止まらない。

気付いた時には牛鬼の間合いに入り込んでいる。この速さには予想外の牛鬼。何も思わない顔に驚きが出る。



「何・・・!?」


「くたばれ。葛落くずおとし!!」



右足を高く振り上げ顎から蹴り上げる。そしてトドメに踵落としをくらわせる。後頭部に蹴りをくらわせ地面へと顔をめり込ませたのだ。

人間を食べようとした危険な妖怪は今ここで退治された。

読んでくれてありがとうございます。

感想などくれると嬉しいです!!



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