激しい‐お と し あ な
また汚い話です。
ある男が、開きかけた電車のドアに体を捻じ込ませ、何かに追われる様に駆け出し
ほとんど人の居ない裏寂れた駅の構内を抜け、改札に切符を押し込み、それと同時にまた
走り出した。
上下真っ黒のスーツに紺のネクタイ、おそらく、年齢は25歳前後だろうか。
短めに切った髪が若そうな感じだ。
スーツを着ていて走り難そうだが、それも意に介さず、男・・・宮崎良樹は走り続けていた。
良樹は、わざわざスーツを着て、走り続ける訳があった。
良樹には一人の従妹が居た。だがその従妹には親が決めた婚約者が居た。だけれども良樹と
従妹は愛し合っていた、だがどんなに望もうと叶わなかった、そして従妹の結婚式が
決まってしまった。それが今日だった、ちなみにコレはギャルゲーではない。
そして、今結婚式場に乗り込もうと1月の寒空の中こんな周りが畑だらけで隣家に醤油を
借りに行くにも徒歩だと往復でもう晩飯の時間が終わるぐらい、離れてるド田舎を
日が沈みかけてる中走っているのだ。
「はぁ、はぁ、」
息が上がるし、汗のせいで体が冷える、止まって休むと風邪を引きそうだ、止まる気も
無いけど。
日がもう殆ど暮れてる、確か式が終わるのは17:30〜18:00のはずだ、そしておそらく
今は、17:00過ぎだろう、最後のときに間に合えばいいはずだ。
そして俺は走り続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ、…!っうわぁ。」
いきなり足元が抜けた、そして気がついたら俺は肥溜めの中に落っこちていた。
気が付かなかった…寒さのために発酵してなくて匂いも無く、落ち葉と日が落ちたせいで
まったく気が付かなかった。
「クソッ。」
何やってるんだ俺は、ちなみに今のは洒落ではないよ。どうしよう?このまま諦めるのか、
それともこの状態のまま走り続けるかだ、だがそんなものはもう決まっていた。
「走るしかない。」
俺の愛はどんなに大量のウンコにも負けはしないのだ。
そして俺は走った、俺の体温のせいで発酵し始めたコレと共に。
そして丁度、式が終盤を向かえ、誓い合おうとしているときに乱入した。
「ちょっと、まったぁああぁぁあぁぁぁぁっ!」
あぁ、決まった、一度こうゆうのやって見たかったんだよな。
ほんとに驚いてるのか、臭さのために振り向いてるのか分からないけど意に返さなかった。
そのまま従妹の所に駆け寄った。
「ひっ・・・。」
「会いたかった、迎えに来たよ、さあ僕と一緒に行こう。」
「だっ・・誰ですか・・・・・いやっ、やめて触らないで。」
「ぼ、僕の事を忘れたのか!?」
「あなたみたいな変体知りませんっ」
ウンコまみれだからってそれはあんまりだ。
「警察呼をっ、警察を呼んでくださいっ」
神父さんが110番を押した。
「警察ですか、全身にウンコかぶった変質者がいます、急いできてください。」
こいつ本当に神父か?もうちょっとお慈悲をくれよ。
「おいっ、僕だよ僕、宮崎良樹だ。」
「えっ………良樹君?・・・・・・・・・・・・・・いえ、やっぱりこんなウンコまみれの人知りません。」
見捨てられた。酷過ぎる。
「今、名前呼んだよなっ、なっ」
「呼んでません、私の従兄には良樹などと言う人は今さっき死にました。」
「生きてる、ココにいる。」
「変体の知り合いは居ません。…あっ、警察の人ココです、ココ。」
ああっクソ、逃げるしかないっ
いつも汚い話ですいません。
読んでくれてありがとうございます。
酷評ください。