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朽木に連れられていった場所は一言で言えば幽霊が出そうな洋館。草ぼうぼうではないけれど、結構古い。
「ギィィィィー」
それなりの効果音を出してドアが開く。中は意外と明るかった。朽木の後についていくと黒光りして以下みのという感じのドアの前で立ち止まった。ドアの脇にはなぜか最新式のキーパット。
朽木は軽やかに何桁もの数字を打ち込んでいく。打ち終わると「ピッ」と軽快な音がしてドアの鍵が開く「ガチャリ」という音が響いた。
ドアの向こうには地下に続く階段が現れる。照明が自動点灯したから恐怖感はないが、かなり下まで続いている。
階段を降りきるとそこには十畳ほどの部屋が現れた。
壁には一面に何かの文字。中央にはさっきの石の箱が台の上に置かれていた。
「もう、来てたのね。」
「それは朽木さんが腹が減ったといってハンバーガーを三つも食べていたからでしょ」
「しょうがないでしょ。腹が減ってはなんとやら。おや、玄さん登場。早速始めましょうか」
朽木の横に先ほどの玄さんと呼ばれる鑑識課の男が並んだ。
「朽木さん、どこ寄り道していたんだい。待ちくたびれたよ」
朽木の寄り道は有名のようだ。
「だって、おなかが減ったんだもの。さてさて、坊や、この石棺の蓋を開けて」
朽木は御札がべたべたと貼り付いている石棺を指差した。
「さっきのようにすれば大丈夫だから」
「あの坊やじゃなくて保谷です」
文句を言いながらも僕は石の蓋に手をかけた。さっきの縄と同じように青白い炎を上げて御札が燃え出した。あとには灰も残らないのもさっきとまったく同じだった。蓋をずらしながら脇へと置くと中から木の箱が現れた。
「結構な代物のようだね」
玄さんが写真を撮りながら言った。朽木は木の箱を取り出すように僕に言った。
それにも沢山の御札が貼ってあった。