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救急士のよって手当てを受けた朽木が僕のところに戻ってきた。

明らかにその顔には怒りの表情が汲み取れた。

「くそ、場所がわかっていたのに。何で取り逃がしちゃったんだろう。もお、坊やがもっとバンバン撃たないから逃がしちゃったじゃないの」

「え~、朽木さん。それはないですよ。僕にとって初めての実戦だったんですよ。そんな、バンバン撃てるはずないでしょ」

「拳銃なんて、引き金を引けば玉が勝手に出て行くんだからそんなの関係ないでしょ」

「そんな、無茶言わないでくださいよ」

未だに怒りが覚めやらない朽木をなだめながら僕は立ち上がった。

「でも良かったですよ。怪我が軽くて」

「怪我?ああ、これのこと。こんなもん唾をつけとけば直るわよ」

そう言って、朽木は今さっき救急士がまいてくれた包帯を乱暴にむしりとってしまった。

「なにしてるんですか」

僕が慌てて朽木の剥ぎ取った包帯を拾い上げてその腕の傷に眼を向けた。

「あれ?」

それが僕の唯一、口から出てきた言葉だった。

朽木が打たれたはずの傷が跡形もなく消えていた。

それどころか、赤くもなっていない。

僕が目を点にして固まっていると、朽木が僕の手から包帯を再度、取り上げて地面に放り投げていった。

「こんなところで考え込んでいてもしょうがないわね。さあ、行くわよ」

朽木はいつものように元気良く歩き出した。

僕は狐につままれた気分のまま黙って朽木の後を追った。

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