(第7章 愛が消えても負けない女の意地)
浮気される度に、「何か資格を持って、女も自立するべきだ」と言う上田知恵も、子育てを家政婦に任せて様々な事業にチャレンジしているが、所詮女の力だけでは無理が生じる。男の支援なしでは、たかが知れている。離婚してシングルマザーなら、社会的な援助もあるが、戸籍はそのまま。離婚する気などさらさらない。「生活費をください」という言葉が言えなくて、痩せ我慢しているが、時間の問題。旦那が愛人に飽きるのが先か?自分の意地っ張りが、降参するのが先か?
知恵は大学卒業と共に豪華な結婚式を挙げて、お医者様の奥様のポストを手に入れることが出来た。二人の子供にも恵まれ順風満帆。浮気性の旦那に悩まされている以外は、皆から羨ましがられる外科医の奥様なのだ。男勝りで、スポーツ根性で乗り切ってきた知恵には、愛人などのために幸せな家庭を崩壊させることなど絶対に許せなかったのだ。だから、どんなに経済封鎖されても、白旗を上げるわけにはいかないらしい。それが、知恵のプライドなのかも知れない。それでも、二人の子供がいるので、いつでも自分の権利を主張することだって出来る。夫婦なんて、試行錯誤。どちらが主導権を持ち、どちらが家庭で権限を持つことが出来るのか?そして、これからの長い人生、全然違う価値観の二人が一緒に暮らすための立ち位置を模索している時期でもあった。自分だけを愛して欲しい妻と、女遊びが男の甲斐性だと思っている夫。家庭を守りたい女と、過酷な仕事のストレスを発散するために、次々愛人に走る男。そんな、激しい愛憎劇の只中にいる知恵のことを、本当にこの時期理解できた者などいなかっただろう。女子会で面白おかしく夫の浮気を暴露する知恵の心の闇は、誰も気づいてはあげられなかった。




