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指ぬきは大事【注意※ほんのりエロ】



「昔は使用人を雇っていたからな」


と、数個の指ぬきを持って、一郎が戻ってきた。


 針が刺さってしまいそうな指に、嵌めてもらう。


 これで安心ね!!


 安堵から来る安心で、私は笑顔全開で一郎にお礼を言った。


 一郎はそんな私に、ふっと笑う。


 ⋯笑える要素あったっけ?


 よしやるぞ!とグッと針に力を入れる。


 瞬時に、映画で観たありえない海老反りを思い出して、それ以上力が入らなかった。


(うぅ、怖い⋯っ!)


 そんな私に頭上から二郎の声がかかる。


「なあに、やってんだよ。いつまで経っても一刺しも出来ねぇんじゃ、素手で薪割りだぞ。かしてみろ」


と、革と針とを奪われ、指ぬきが抜き取られた。


 二郎は、指ぬきを嵌めると、革に、ぶすっと戸惑うことなく針を刺して、二、三針縫い合わせた。


「ほら、こんな要領でやりゃ良んだよ」と言いながら、縫い合わせのお手本を私に見せてくれる。


 嵌めた指ぬきを抜き取ると、「おら、手かせ」と、私の手を取り嵌め直してくれた。


 二郎が刺していた姿を思い出しながら、同じような感じで刺してみる。


 ぶすっ。


「刺さった!」「良かったな、じゃなくて。んなことで喜んでんじゃねーよ、貫通させろよ、貫通」


 二郎に言われ、なんとか縫い合わせていく。手が疲れたら、一郎が交代し、そんなこんなでようやくく薪用の手袋が、完成した。


「で、できたー!!」


 手袋を両手に持ってルンルン。


 自分で作ったものが、こんなに感慨深いなんて。


 じーんと、して手袋を胸に抱きしめた。くさい。



「ありがとう!二人とも!二人のおかげでこんなに素敵な手袋が出来たわ!」


と、気を取り直して笑顔で一郎と二郎にお礼を言った。



 そんな二人は、私を優しく見つめてくれる。


 頑張ったからね!まるでその眼差し、家族みたいだわ!


「えへへ」


 自信が付いた私は、次の作業に着手をする宣言をすることにした。


「次は、パンツとブラよ」


「は?パンツトブラ?なんだそれ」


「下着よ!下着!替えの下着が無いのよ!ブラも無い!このままじゃこの若さにして垂れちゃうのよ!!」


 私の言葉に、二人はぽかーんとした表情。


「そういえば、コイツ、イカレ女だったな」


「そうだったな」


と、二人頷き合う。


 ちょっと!!さっきまでの優しい眼差しはどこいったのよ!!


「あー、なんて言ったら良いのかしら?ここよ、ここを固定するものを作りたいのよ!ノーブラでブラブラは良くないのよ!」


と、胸を押さえて言う私に


「買うと言わずに作る、というその気持ち、とても良い心掛けだ」


と、一郎が褒めてくれた。へへ。


「それには、まず採寸だ」


と、一郎は言いながら裁縫箱から細長い布を取り出した。


「そのものは、どこからどこまでの幅なんだ?」


と、聞いてきたのでアンダーとブラの形を指で指し示した。


「そこに立って、両腕を上げろ」


 言われたままに立ち上がって、腕を上げた。


 対面した一郎の顔がぐっと近づいて、両脇に腕を回され細長い布が⋯


(なんだか、これすっごく恥ずかしい姿勢だわ!!)


 下を向いてられなくて、顔を上に向けると、至近距離に一郎の顔。


 改めて見る一郎は、センター分けの肩までの長髪。金髪碧眼。そして、パーツが完璧配置のものすごく美形だった。


(贅沢にも美形に慣れてたわ⋯⋯)


 だって、不潔なんだもん⋯。お父さんみたいな臭いするし。


 ただ、洗髪で髪があんなにバキバキになるなら、ずっと洗わないのも分かる。


 いや、ダメよ!分かりたくもない!


 そうよ、湯シャンよ!湯シャンすれば良いのよ!お湯だけで髪をすすぐのよ!


 次は、湯シャンに挑戦することにした私だった。


 一郎の顔を見たまま、そう決意する私の後ろに声がかかる。


「ちまちまちまと、そんなに細かく測らなくても、これで良いんじゃねぇの?」


と、声の主が二郎だと自覚した瞬間、腕を上げたガラ空きの脇を掴まれ、すぐさま胸を掴まれた。体感にして二秒。止める暇もなかった。


「ほい、終わり〜」



「終わり〜⋯じゃないわよ!許可なく乙女の二山掴んでんじゃないわよ!!」


と、振り向きざまに上げた腕を、二郎の頭めがけて振り下ろした。


「あぶね!」「けないでよ!!」


「避けなきゃ当たっちまうだろ!」「当たりなさいよ!」


 ギャーギャー言い争いしている横で、一郎は採寸する度に切った細長い布を定規で測り直していた。


 ちなみに、人の胸の形も一郎は、二郎が手を形どおりにそれを測って、わざわざ記録していた。


 ⋯⋯あー見なきゃ良かった。



「下履きなら母のがあったぞ」


と、出してきたものを一郎から渡されて、広げた。


「ラ◯◯タじゃん!!」四十秒で支度しなくちゃいけない気分になってきた。




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