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異世界の朝は、おまるとおさがりと「グエ」で始まる※【注意】下ネタ多



(昨日の⋯誰?夢?)


 意外に寝心地の良かったベッドからむくりと起き上がる。


「⋯⋯トイレ」


 昨日から、用を足していないことを思い出した私は、廊下に出てトイレを探した。


「おまえ⋯木の枝みてぇな頭になってんぞ」


 リビングに行くと開口一番に美形兄弟の弟、命名・二郎から無神経な指摘をされた。


「うっさいわね!」


 朝っぱらからかつ一発!


「てか、私、昨日トイレ行ってなかったの!膀胱ぼうこうがはち切れそうなんだけど!?」


「ボーコー?」


「トイレ!トイレよ!おしっこ漏れちゃうの!」


 いけない。二郎を怒鳴ってたらお腹に力が入って、ますますトイレに行きたくなっちゃったわ。


 ジタバタしている私に、美形兄弟の兄、命名・一郎が謎の器を差し出した。


「なにこれ?片手鍋?にしては、取っ手が短いわね」


「これを使ってそこの隅で済ませれば良い。中身は外の茂みにでも放れ」


と、部屋の隅を指さされた。その手前では二郎が朝食を食べている。


「ここで!?これで!?」


(しかも、部屋の隅ですって!?!?)


「漏れるのだろう?」平然の一郎。この表情は冗談言ってる顔じゃない。


「早くしろよ、床にぶちかれるより、マシ」と二郎。あんた、スプーンをどんな持ち方で朝飯食べてんのよ。昨日よくそれで私を注意してくれたわね。


⋯⋯じゃない。膀胱!!


「ムリよ無理無理!!意地悪しないで、トイレの場所教えてよ⋯っ!」


 私の訴えに一郎は首を傾げて「⋯トイレ⋯?」


(⋯⋯まさか、まさかまさかまさか⋯っ!!)



「⋯⋯なんだそれは」


「うそでしょー!!!?」


 私は片手鍋みたいな器を握ると先程まで寝ていた部屋に走っていった。



 私の頭の中は今『しばらくお待ちください』のテロップが流れている。


「うう⋯っ!!絶対安静の入院患者でもないのに⋯こんな⋯」


 なにかよく分からないプライドが破壊された気がする⋯。


 リビングに戻ると、一郎から「ちゃんと中身は放ったか?」とデリカシーの欠片もないことを尋ねられた。



「⋯⋯たわよ」


「は?」


「ちゃんと捨てたわよ!捨てました!聞かないで!」



 くぅ!!朝から、こんな、女子のシモ事情なんか答えなきゃならないのよ!

 

 アンタのこと一郎じゃなくてお母さんて呼んでやるわよ!!と、心の私が涙を流して、罵詈雑言叫んだ。


「用が済んだのなら、朝食にしなさい」


 よく見たら、フリルエプロン再び、だった。


(やっぱり、お母さんじゃん)


 朝食は、お粥だった。⋯ナニ粥?


 

 ナニ粥かは、恐ろしくて聞けなかった。


 好奇心はなにかを殺すのだ。


 タロコ談



 ちなみに手は、無臭の多分、雨水を溜めてる桶で洗った。てか、ボウフラは?あれは大丈夫なの?蓋してるから?


「いただきます!」両手を合わせて目を瞑る!


 開いた目蓋。眼前にはニッコリのお母さん!


 どんだけ信心深いのよ!


 信心深ささえ、なんだかイライラした。完全な八つ当たり。



 家の近くも水が出る木があった。

 なんで二郎は、ドブ水とか渡してきたのよ。腹立つ。


 謎に土臭い朝食を食べ終えた私は、その木の幹にナイフをぶすっと刺してグリ。

 

 器に水を溜める。二郎より力が無かったからか、出が悪く、あまり溜まらなかった。


 仕方ないから、先程手を洗った雨水を器に入れた。


 家に戻ると、鍋に移して暖炉で沸かした。


 一郎に言って布をもらう⋯黄ばんでる。それだけで、自宅が恋しくなる。


 湯気が出だしたので、布を浸して適当にフォークで持ち上げて熱さを確かめて、大丈夫そうなので軽く絞って広げて頭に乗せた。


「何やってんだ、おめぇ」


「蒸してんのよ!!」


「アチ、アチ」何回か繰り返す。


 シットリしたところで、昨日のくしかす。


 木の枝と言われた、爆発に巻き込まれた昔のコント頭の広がりは、なんとか抑えられる事ができた。


 熱湯になる前に暖炉からおろした鍋のお湯にもう一度、黄ばんだ布を浸して絞って、近くで様子を見ていた二郎のうなじと耳の後ろを、有無も言わさずゴシゴシと。ついでに耳も拭きまくった。


「イッテ!なにすんだよ⋯!」


 次男の両肩を握ると、「ちょっとしゃがんで!」と膝の裏に膝を当てた。


 ガクッと崩れる次男のうなじをクンクンクン嗅いでやる。


(少しはマシになった⋯?)念の為にもう一度、温かい布で擦り上げた。


「⋯何してるんだ、お前たち」


 一郎の声に、「イカレ女が、奇行に走りだした」と二郎が告げた。


「誰がイカれで奇行よ!」


 ついでに長男にも同じことをした。


「うーん⋯、サウナに入ったからか、分からないわね。明日からも毎日するわよ!脂臭いなんて許さないだから!」


「なんで、お前の許しがいるんだよ」と抗議してきた二郎に、「決定事項よ!!」と、ゴリ押しした。



 ネグリジェでうろつく私をじーっと見ていた一郎が一旦部屋から出ていくと⋯



「いつまでもその格好でうろつくのは、あまり良いものではない。母が生前着ていた服だ。これに着替えるように」


 と、一郎は戸口の前でそう言うと、布を腕に抱えながら近付いてきた。


 そして、無造作に私に渡してきたが。


 両手に広げて持ち上げるとなんか色んなものが、バサバサ落ちた。


「なにこれ?順番どうするの?」


 床に落ちた服を拾い上げながら首をひねる私に、一郎はクソデカため息を、ひとつ。ム、なんなのよ。


 壁の隅を指さし、「そこに私に背を向けて立つように」と指示してきた。


 良く分からないが、言われたまま真正面に壁。なんなの?


 と、思っていたら、「このまま着せると不格好だな」と、声とともに、何故か肌寒くなった。


「え?」と、下を向く。



 モロ出し!!!私のが!!


 驚き固まっている間も、ネグリジェは私の肌を露出させながら、ぱさり、と床に落ちた。


 後ろでガタリと誰かが立ち上がる音がした。


 いや、待て待て待て、落ち着け私。


 二郎からは、私の洗ってないパンツ姿しか見えてないはず!!  

 一郎は分からない!脱がしたのはコイツだ!!


「な、な、な」


 あまりの驚きに声が出ない。


 てか、コイツ、サウナに続き二度も私の⋯っ!!


 反応の無さがマジでムカつく⋯っ!!! 


 ちったぁ、二郎ぐらい可愛く反応してたら私も「きゃ!」ぐらい言うのにさ!コイツ、マジでお母さん!!


と、羞恥と悔しさでグッと目をつぶって歯を食いしばってる間にあれよあれよ、と布が被せられ、巻かれ、紐で縛られ⋯


「やはり、大きいな。母さん、ふくよかだったからな⋯」


 トドメは更に紐で縛られた。「グエ」


「服を着替えさせて、家事を頼みたかったのだが⋯」


「止めとけ、兄貴。帰ってきたら仕事が増えてるぞ」


「それもそうだな⋯」


と、淡々と会話していた兄弟は「なにもせず帰りを待つように」と私に言うと仕事に出かけた。ひどすぎる。


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