多い日も安心したい!
外は、大雨。
二人は今日は仕事は休み。理由は雨だから。なにそれ、羨ましい。小学生ですら雨でも登校なのに。
まあ、お陰でこうやって針仕事が出来るんだけども。
チクチク⋯⋯。雨で薄暗い部屋。「目が疲れる」と二郎が部屋に灯りをつけていく。
あー⋯⋯ボタン一つで明るくなる電気が恋しい⋯⋯。
部屋の灯り、テーブルに置かれた燭台の灯りの前でチクチク⋯⋯
いつの間にか、外の大雨はしとしとの雨に変わっていた。
ようやく、ブラとパンツが完成した。
ブラは量産で、四枚。多めに作った。
パンツは出来たばかりなので、一枚。
ちなみに股間の縫い合わせの部分は、補強という形で布を一枚、余分に敷いて縫ってもらってる。抜かりなし!
私の機嫌は、なおってご機嫌っ!
早速、出来たばかりの下着を試着することにした。
「なかなか良いんじゃない?」ショートパンツ丈のパンツの履き心地を確かめる。少し余裕があるけど、側面は調節可能だし、ウンウンこれなら、もれなく安心。
鏡がないから見えないけど!
部屋から出て「どうよ!」と、二人にお披露目してみた。
「あー⋯⋯良いんじゃね」「良いんじゃないか」
(なんか二人とも虚無の顔!!どういう感情!?ほんとに良いの!?)
ふい、と私から目線を逸らした二人は、ただ黙々とパンツ縫いを再開する。
(⋯⋯まあ、私が良いならいっか!)
「じゃあ、あと三枚。今、二人が縫ってるからあと一枚か。ブラとセットでよろしくね!」
そう言うと私は、手に持っていたネグリジェを着込んだ。
ちなみに私が作っているサニタリー用品は全然進んでいない!
指ぬきを一郎と二郎にも分けてしまったので、今指に嵌めてるのだけじゃ心許ないのと、重ねた布の硬さたるや!
ズレ防止のまち針なんてへし折りそう!
お陰で一枚一枚、恐る恐る針を通している。
「てか、これ何個作ったら良いの⋯⋯?」
洗って繰り返し使うことを考えて頭をひねる。
(うーん、毎月、七日間と考えて、いやでもダラダラと続く時もあるしなぁ⋯⋯。え〜?じゃあ十個?十個!?)
ズボラな私は生理の予定日も、生理日数も記録になんかつけてなかった。
(こんなことならちゃんと毎月つけときゃ良かった〜!あー!)
「⋯⋯⋯⋯タロタロ、やはりこの下着は、脚が見えすぎている。母の下着を縫い合わせるから、それを履きなさい」
そういうと、ガタリ、と一郎が立ち上がる。
その一郎を見上げて、私はこう言った。
「お母さんの股より、私の股事情の方が切羽詰まってるのよ。縫い合わせるなら、こっちを縫い合わせて!」
ばん!とシーツの切れっ端を叩きつけた。
「これをこう!重ねて!はい!縫って!」
「う、⋯⋯うむ」
私の勢いに気圧され、一郎は椅子に座り直すと、パンツ縫いは後回しにし、渡された重ねた布切れを縫い始めた。
「出来たぞ」「早っ!!」
まだ私は、半周もしてないってのに嘘でしょ!?
縫ったものを見せてもらったら内側を波縫いしている私と違い、布の端を糸で巻くように一周縫っていた。
(⋯⋯なるほど。こういう縫い方もあるのね)
さすが、一郎お母さん。
「⋯⋯⋯⋯ありがとう。で、ちょっと試したいことがあるんだけど、スプーンある?」
という私の問いかけに、一郎は「⋯⋯?あるが、」というと、席を立ちスプーンを持ってきてくれた。
「ありがとう」と、お礼を言い、受け取ると、スプーンと一郎が作ったサニタリー用品を持って、暖炉に近づいた。
暖炉に掛けた鍋に入った雨水をスプーンで掬うと、一郎が縫ったサニタリー用品の上にぽたぽたと落とす。
ぽたぽたと落ちたぬるま湯は、布の上を滑るように落ちていった。
「吸わない!!!」
ガーン!!
なんてことなの!!
(これじゃあ、モレずに安心、じゃなくてモレまくって不安、じゃないのよ〜!!)
床に落ちた雫を、私は呆然と見ることしかできなかった。




