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不潔の道を突き進むシンデレラ



 ブラ作りは、私一人じゃ無理だから、二人が帰宅してから取り掛かることにした。


 朝起きて、おまるでトイレ。ふっ、慣れたものよ。


 外に出て捨てる。ここだけ植物が枯れてる気がする。


(あの兄弟はどこで用を足しているのよ⋯⋯)


 もしや⋯⋯、という考えが頭をよぎったが、とりあえず追い出すことにした。なんだか、向こうだけ緑がわさわさしてる気もするけど。まさか⋯⋯ウン⋯⋯いや、よそう。


 雨水を溜めてる杓子でおまるも手もすすぐ。洗剤や石鹸が恋しい⋯⋯。

 おまるは太陽の紫外線で殺菌!


 寝癖直しに温めた雨水で、一郎と二郎のうなじや耳の後ろをゴシゴシ。やべぇ奴と思われてるから大人しく拭かれてくれて良いわ。


 臭いもサウナと湯シャンのお陰で、圧倒的に薄くなった気がする!


 一郎に着替えを手伝ってもらい、二人を見送った後、今過ごしているこの暖炉の部屋の床掃除をすることにした。



 土足なのだ。いい加減水虫になる。


 床を掃除したら、ここは、土足厳禁にするのよ!

 でも、それだと台所へ行く時が大変よね〜。


 台所も拭いたら、きれいになるかしら?


 相変わらず雨水を利用。今度雨が降ったら外にかめを並べまくってやるのだ。


 壺って言ったら瓶と訂正されたのだ。いちいちこまかいわ。


 暖炉の掃除は二郎から教えてもらった。


 灰は保管しておくという。


「帰宅して仕事増えてたらヤダ」という理由からここに灰を移しておくようにと、指示された器に入れた。


 まだあたたかい灰汁は一郎から。


 「あまり無理しないように」と、から拭き用のボロ布と丸めて縛られた藁と一緒に。


(わら?⋯⋯⋯⋯これ、現代のタワシか!!!)


 一郎から渡された掃除用のちょっと汚いエプロンをする。


 今日使ったら拭き掃除用の雑巾にするらしい。


 ひざまずいて、バケツに入った灰汁に丸めた藁を突っ込んで軽く振って水気を取る。


 ゴジゴシゴシ⋯⋯⋯⋯あれ?なんか、この図どこかで見たような。


 第三者の視点から自分を見てみた。



 ――⋯⋯シンデレラじゃん!!


 さんかくきんでもしようかしら?無いけど。


 藁とボロ布でから拭きしながら、脳内シンデレラごっこをしていたら結構頑張れた。


 とはいっても、かべ沿いと暖炉の前だけ。


 よし、ここの暖炉の前だけは土足厳禁にしよう。


 と、決めてしつこく磨き倒した。


 疲れたし、水も真っ黒になったので、今日のところはここまで。


 雨水で相変わらず手を洗ったら⋯⋯⋯⋯



「なんか、ちょっと、カサカサしてる気がする!!」


 ⋯⋯⋯⋯やるんじゃなかった!!!


(この時代ってハンドクリームとかどうしてるの??私が読んでた小説なんて、軟膏で簡単にしっとりおててになってたけど⋯⋯)


 はあ〜⋯⋯と溜息。


 長椅子に横になってたら、そこに二郎が帰ってきた。


「ねぇ、二郎。掃除したら手がカサカサになっちゃたんだけど、なんか持ってない?手の潤いが蘇るもの」


「はあ?唾でもつけとけ」


「そんなんで、うるツヤなったらぺっぺっ付けるわよ!あ!あと、そこ、土足厳禁だから!暖炉前は、ゼッタイだしね!!」


「はあ?なんだそりゃ」と、無遠慮に土足で近付く二郎に、私は、


「踏んだら床掃除よ!!!!!」


と、無双しそうなシンデレラで怒鳴りつけた。


「⋯⋯⋯⋯か〜、イカれ具合が半端ねぇ」


と、言いながら、二郎は部屋から出ていった。


 は!そうだった!二郎が帰ってきたら薪割りだった。

 慌てて手袋を装着すると、二郎の後を追った。


 今日の薪もたくさん割った!ほぼ二郎が!


 割った薪を拾って備蓄庫へ。残りは、持って暖炉の部屋に戻った。


 一郎が既に帰ってきていた。


「おかえりなさい!一郎、見てみて!ここだけ頑張った!」


と、磨いた床まで一郎を連れて行く。


「頑張ったのだな、見違えるほどきれいだ」


 へへへん。


「頑張ったから土足厳禁ね!」  


 にっこり笑って、そう一郎に布告した。


「ドソク、ゲンキン⋯⋯」一郎は、カタコトで繰り返した。


(出た)


「そうよ、ここだけ靴を脱ぐのよ。裸足で過ごすの。そうしたら、床も汚れないし、気持ちいいのよ」


「はあ」


 その横で、膝立ちして膝歩きする二郎が、器用に暖炉脇まで薪を運んでいた。結構いい奴。


「二郎、聞いた?一郎ちゃんと褒めてくれたわよ、アンタも褒めてよ」


「⋯⋯⋯⋯なんでだよ」


「褒められたいからよ!!」


 二郎はためいきくと土足禁止エリアから出る際、立ち上がり、私の頭に手を乗せ、ポンポンと、軽く叩いた。


「頑張った頑張った、よしよし」


 ん?なんか聞いたことあるような⋯⋯て、


 ⋯⋯⋯⋯その手は洗った?


(許可なく頭に触れちゃって、セットした髪だったらばんものよ。今は頭皮でちょっとベタついてるから二重の意味で触られたくない⋯⋯⋯⋯⋯⋯頭皮の脂!?)


 私は急いで、頭を揉み込んだ。


 突然の奇行に引き気味の兄弟。知ったこっちゃねー。


 揉み込んだ指先同士を触れ合わせてみた。


 いやだ、しっとりしてる⋯⋯⋯⋯!!!


 天然のハンドクリーム爆誕である。


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