葉っぱ二、三枚【※注意】下のネタです
私は、少々便秘気味だ。
日本にいた頃の食生活が、親が仕事で帰ってこないことをいいことにテキトーに済ましていたのも原因かも。
あー⋯⋯ジュース飲みたい。お菓子食べたい。揚げ物食べたい。
それ故に、この世界にいる間は、まあ、大丈夫だろう、と高をくくっていた。
しかし、だ。
ついに、ついに来てしまった。
共同井戸まで往復したり、洗濯したりと運動したから?
身体を動かすと早まるなんて⋯⋯⋯⋯誤算!!
小のおまるは、もう慣れた。というか、布団から出てすぐ用を足せることに、調整が難しいがちょっと便利、とすら思えてきている。
だが、今回は、違う。臭いが残るやつだ!!
どうする、どうする!?
限界まで我慢するか!?どうする私――!?
「ねぇ、お腹痛い時は、どうすれば良いの?」と、取り返しがつかなくなる前に、一郎に聞いてみた。
「腹が痛い?病気の類いか?それとも虫か?」
「虫?いや、違くて。ちょっと、分かるでしょ?言わせないでよ」
「いや、腹が痛いは致命的だ。痛みの種類は何だ?場合によっては手遅れかもしれん」
「いや、なんで手遅れになんのよ!うんこよ!うんこ!言わせないでよ!!」
ムカついたので、つい連呼してしまった。
「ああ、なんだ。それなら⋯⋯」
案内されたのは、暗い長い廊下。一郎はその廊下をどんどん突き進む。
ここ、屋敷だったんだ⋯⋯。大きいからアパートかと思った。
そして、ある部屋に入って、そこから外に出た。
作りからいって、中庭?
「ここですると良い。君は、うるさいからな、ここには誰も来ない」
いや、野グソて!!!どんな気遣いよ!!!
「てか、拭くものは?どうやって、終わったらおしり拭くのよ」
つっこんでると限界が来そうなので、先を促す。
「そうだな⋯⋯⋯⋯」
と言うと一郎は、スッと林に向かって歩き出した。
戻ってきた一郎は、手に持っていたものを私に差し出した。
大きめの葉を二、三枚。
「これだ」
「葉っぱ!!!?」
おまるに続き、葉っぱ⋯⋯!!まぁ、もうこの際良いや。私のお腹は限界に近い!
「初心者なのよ!あと、五、六枚欲しいわ!!」
葉っぱマシマシで追加注文!!
一郎が、林に向かって歩いていく間に、私はウエストを縛った紐を解いていく。
(縛ったままでしゃがんだら腹が千切れてしまうわ。実際には千切れないけど)
そして、この丈の長いスカート。
しかも、二、三重ぐらいあってかさばる。
もう全裸もパンイチも一郎に見られ、今日の着替えも一郎に手伝ってもらった私は、羞恥心など無かった。
膝までたくし上げる。もったり。
これしゃがんだら地面に付かない?
ふとももまでたくし上げたところで、葉っぱを取って振り向いた一郎に呼びかけた。
「ねー、いちろぉー」
呼ばれた一郎が気付いて、小走りでこちらに戻ってきた。良い奴。
「なにをしてるんだ⋯⋯!」
「スカートが長過ぎる上に、かさばって困ってるのよ。地面に付きそうだし。なんか良い方法無いの?」
「だからと言って、みだりに脚を剥き出しにしてはいけない⋯⋯っ!」
⋯⋯⋯⋯お母さん⋯⋯。
「ご忠告ありがとう。でも私、今必死なのよ。このスカートが垂れちゃわないようにしたいの。なにか知恵無いの?」
たくし上げたスカートを元に戻させられながら、聞いてみた。
「それなら、まず茂みだ。たくし上げて歩かせるわけには行かない」
⋯⋯おかあさん。
林の茂みに手を引かれ、私は地面にブツの形跡が落ちてないか踏まないよう、地面しか見ていなかった。
一郎の頬が赤くなってるのも知らず。
「で、どうすんの?このスカート」
茂みに二人隠れたところで聞いてみた。
「私が持っていよう」
(いや、どんな介護⋯⋯!!!)
「なんで、アンタが持つのよ!イヤよ!見られたくないし」
(第一ニオイが⋯⋯ッ!!)
「私が君の正面に立てば良い。裾を持って君がしゃがめば問題ない。私は見ない。屋敷の窓でも数えておく」
「どんな気遣いよ!私は一人でしたいの!あんたがいたら出るもんも出ないわ!」
お母さんに対して、恥じらいなんてなかった。
ぐるぐる頭の中で良い方法を考える。
転移してから、めっちゃ頭使ってる気がする。
「は!そうだわ!ねぇ!かさばる部分、たくし上げるから紐で縛ってよ!薄布一枚なら垂れる心配もないわ!」
と、言うが早いか、私はたくし上げられるところまでたくし上げた。
あらわになった太ももを目にした一郎が、恥じらいで目を瞑ってしまったことなんて、気にも留めず。
「なにしてんのよ、早くしてよ」
「きみは、その⋯⋯、言っていた薄布までたくし上げてしまっているのだが⋯⋯」
「え!?あ、そうなの?ここからだと全然見えなくてさぁ、あはは!」
手を離してもう一度たくし上げた。今度は慎重に。
「どう?ちゃんと薄布一枚残ってる?」
「あ、ああ⋯⋯大丈夫だ」
と、いうと一郎は、渡していた紐を片手に持ち、両手を後ろに回すと、何故か、ぎゅ、と抱きしめられた。
身体が密着して持ち上げてたわんだスカートが、二人の間で押しつぶされる。⋯⋯⋯⋯いや、なにしてんの?脂臭いし。
「なにしてんの?早くしてよ。漏れるんだけど」
「⋯⋯っ、すまない!」
そこからは、早かった。すっ、と紐を正面に回して器用に結ぶ。
よしよし、満足な出来。これなら垂れない。
「ありがとう!私、用を足したら手を洗いたいの!なるべく綺麗な水が良い!ちょっと持ってきて!」
と、言って広い中庭から一郎を追い出した。
薔薇の花が咲く画面に『しばらくお待ちください』の文字が私の頭の中に浮かぶ。
はあ〜⋯⋯、今度からお腹痛くなったら外で用足すの?
最悪なんだけど⋯⋯、と心の中で愚痴っていたら重大な事を思い出した。
(生理の時、どうすんのよ⋯⋯!!!)




