飛ばされて来た?
「アオ~♪」「えっ?」
鳳凰なイーリスタが嬉しさ爆発状態で鳥翼瑠璃竜アオにハグ♪
「ホントに来た~♪」
「えっと……域王様ですか?」
「うん♪ み~んなを助けてくれて ありがと♪
だから次~って言いたいトコなんだけど~、残念ながら此処、経路じゃないんだ。
だから元の場所にしか戻せないんだよね~。
同じトコで大丈夫かなっ?」
「時も同じだと、また飛ばされてしまいますけど……」
「コッチで経過した分だけズレるよ♪」
「でしたら大丈夫だと思います。
元の場所にお願い致します」
「ん♪ この鏡、通ってねっ♪」
「ありがとうございます域王様。
では皆様、失礼致します」
鏡を通るのに慣れているらしい瑠璃竜アオは通路鏡の向こうへと去った。
【行っちゃったぁ……】【急いでいたみたいだね】
【お話ししたかったにゃ~ん】【そうだよね……】
【あれれ? また来た~♪】
イーリスタがアオを受け止めていた。
「アオ、だよねっ♪」
「はい。此方は?」
「経路じゃないから答えられないんだよね~」
「そうですか。
あの……域王様ですか?」
「うん♪ 手伝ってくれたら元の場所に戻してあげるよ♪」
「はい! ありがとうございます!」
「ん~~と、あのグルリの岩壁を無くして、雲海にしてくれるかなっ♪」
「それだけでいいんですか?」
「いいよ~♪」
「この地……下に雲地がありますよね?
とても不安定な」
「あるね~」
「地底の熱が原因だと思います。
少し前まで物凄く熱かったのではありませんか?」
「見えてる?」
「はい。
随分と冷めたようですが残存熱が自然に冷めきるには万年くらい掛かりますよ。
雲地には魂生体の動物も見えますし、地熱は雲海も不安定にしますので、冷ましてもいいですか?」
「とっても助かる~♪ じゃあお願いねっ♪」
「はい」
スッと降りて地に両手を突くと、瑠璃光の魔法円が拡がって人神の地を覆い尽くした。
翼を大きく広げて光を纏い――
「余剰滅却!」
――ひと声で地から伝わっていた熱を消した。
吹く風がより爽やかになり、草が艶やかに生き生きとしてピンと張った。
今度は上昇して、
「成物解還!」
岩壁を一気に消すと、両掌から放水を始めた。
その水を地に近い所で霧状の雲水に変え、雲海を成していった。
少し溜まると何やら投げ入れて、地の上を飛び、川や湖などの水跡を見付けては雲海と同様に雲水を注ぎ、キラリと陽を反射する何かを投入して回った。
「あとは勝手に雲水が増えます。
溢れたりはしませんので、ご心配なく。
雲水を増やしているのは小さな増幅鏡です。
雲海や雲湖の最も深い場所に落ち着きますので、不要になったら引き上げてください」
「至れり尽くせり~♪ あっりがと~♪
それじゃ、この移動鏡ねっ♪
コッチで経過した分、向こうの時も経過してるから、そのつもりでねっ♪」
「ありがとうございます域王様。
では皆様、失礼致します」
「まったね~♪」翼を振る~♪
また瑠璃竜アオが鏡の向こうへと去った。
【どうやらアオ王子にとっては、これが初めての地星だったみたいだね】
【アオ王子とパラレルワールドのアオ王子が続けて来たんだね♪
どっちもスッゴイね♪】
【そうだね。
どちらが先に来たのかは分からないけどね】
【うんうん♪
闇禍も消えちゃったから、やっぱりアオ王子がブルー様なんだね♪】
【浄化光が収まる前に何かを仕舞うような動きをしていたんだよね。
鱗の内側にポケットがあるのかな?】
【瑠璃姉に聞いてみよ~♪
あ♪ ポケットに ちっちゃ集縮くん入れてるんだと思うの~♪】コレ~♪
【入っていそうだね】【でしょでしょ~♪】
【今回は事故だとして、俺達は この為の鍵だったのかな?】
【だったら もぉ記憶の蓋 開けてもいいのかにゃ?
次はブルー様に会ってもいいのかにゃ?】
【どうなんだろうね……あ、まだ続いているみたいだよ】
【俺も拾っちゃったぁ。
にゃ~にが続いて――】「うわわわわっ」
青生も彩桜も記憶に絡む話かもと外には神眼を向けていなかったので、イーリスタが唐突に兎になって縮んだ為に弾き出されてしまった。
「イキナリ小さくならにゃいでぇ」んもぉ~。
「忘れてた~♪ ゴメ~ン♪」あははっ♪
「お前ら何してたんだよ?」
「通路鏡さん発動しなきゃだったの。
でも青生兄と俺、まだアオ王子に会っちゃダメなのぉ」
「ふ~ん」「話、戻してくださいよ~」
真四獣神はイーリスタの求めに応じて話を続けた。
【俺達、続いてるお話、聞かにゃい方がいいよねぇ?】
【そうだね。全閉じで瞑想して待とうか?】
【そぉしよ~】
彩桜は金魚だった鮒丸の心話を『録音』していた時と同様に会話を尾に残して瞑想した。
事情を知っている大神達には気付かれてもよいと、見た目だけは聞いている風にして。
―・―*―・―
邦和は夜明けが近くなった頃。
夏なので まだ夜中と言っても過言ではない時間だった。
劣悪化し食事も儘ならない避難所を放棄した反マーズ派が、マーズファン達が暮らす環境の良い避難所を各地で一斉に襲撃したのだった。
【数人ずつで分散し、襲撃している者を眠らせよ!
黄緑は私と!
青 桜 紺 灰 空は不在。そのつもりで!】
【承知!】一斉に瞬移した。
多くの避難所には輝竜家で改心した元ワル達がボランティアスタッフとして滞在している。
反マーズ派は銃刀等の武器を持っていない一般人ばかり。
資材として置いていた角材や鉄パイプ等を武器としているので、元ワル達にとっては敵ではなかった。
「そこまでだ!
ボランティア達ありがとなっ! 伏せてくれ!
忍法、おとなしく眠っちまえ!!」
【白久兄ナンだよ、その忍法名は~】
【言ってねぇで術治癒眠しやがれっ】
【ったく~術治癒眠の極み、突風!】【双輪双璧!】
元ワル達は素直に身を低くしていたので、立っている胸から上を吹き抜けた術風で反マーズ派だけが眠りに落ちた。
「皆、無事か?」
「はい! 銀の兄貴!」一斉。
「おいおい。ってンなコト言ってる場合じゃねぇな。
すぐにサツが来る。
コイツら、武器と一緒に引き渡してくれ」
「オレ達は次に行くからな。
全国一斉、同時多発だからな」
「はい! 銀と黒の兄貴!♪」嬉しそうに一斉♪
「一緒にしないでくれぇ~」「行くぞ黒♪」
―・―*―・―
青生と彩桜の瞑想を終わらせたのはアミュラの呆れ声だった。
『な~にがフルコンプだよ?
集まって無駄口かい?』
「ん?」一斉に声の方を向いた。
【あ♪ 瑠璃姉も来てる~♪
瑠璃姉~♪】大きく手を振ってピョンピョン♪
【何をしている?】
【カケルさんが掘り当てちゃって禍と闇禍がブワッて出て~、アオ王子が消してくれたの~♪
雲海も元通りしてくれたの~♪】
【でもまだ続いているから俺達は話を聞かないように全閉じで瞑想していたんだ】
アミュラが話しているが、それも聞かないようにしている。
【それで唐突に岩壁が消えたのか……】
瑠璃も同じくしようと、適切に受け答えはしているが聞いていない。
【そぉなの~♪ まだブルー様なってないアオ王子だったけどスッゴイの~♪】
【そうか、超越者の卵なのだな。
それで『続いている』とは?】
【拾知が『終わっていない』と伝えてくるんだよね】
【でも内容サッパリなの~】
【待つより他に無さそうだな】
【だからお話ししてよ~♪】
【この後は一緒に居るからね】
【ふむ。超越者は何がしたかったのだろう?
闇禍ごと禍を出してもアオ王子を呼び込めば無意味なのでは?】
【闇禍を出したのは超越者様だけど、アオ王子は何かの事故で偶然 来てしまったのかもしれない。
もしかしたらブルー様が引っ張り込んだのかもね。
これをアオ王子と俺達にとっての きっかけにしようとして】
【ふむ……やはり超越者は地星を滅したいのだな?】
【そうだと思うよ】【うんうん】
【ブルー様は地星を存続させたい。
故に対立、か?】
【たぶんね。
遠いけどパラレルワールドだからね】
【地星が消えちゃったら影響あるのかにゃ?】
【そうかもね】
【青生と彩桜を鍵としてまで起こした事を逆手に取ったのだな。
流石は青生の仲間だな】ふふ♪
【うんうん♪ 青生兄とブルー様 仲間~♪】
【彩桜まで……ん? 月と陽が……だから両方にあるんだね】
【聞いてるの?】
【聞こえてしまった、と言うより拾知に肩をつつかれたみたいな感じで聞いてしまったんだよ】
【ふぅん】【ふむ。『結婚』もブルー様なのか】
【瑠璃は聞いていたの?】
【青生の呟きで耳を向けてしまった】
【あららら~。み~んな散り散りなった~】
【俺達も離れよう】【ふむ】
真四獣神とイーリスタが月の道を復元しようと話しているので巻き込まれないように、また、まだ続いている事に巻き込まないように離れた。
―・―*―・―
邦和は夜明け。
暴徒化した反マーズ派を全て眠らせたマーズは輝竜家のアトリエホールに集まった。
【この後どーする?
国土大臣を連れて全国行脚するかぁ?】
【総理とも話さねばなるまい】
【だなぁ。今は諸外国が自分達の復興を優先して邦和は後回しにしてると思ってくれてるが、コレがバレたらエライ事になっちまう。
また武器を作って邦和を袋叩きにするぞ】
【そこから地星を壊滅に向かわせるのが超越者様の目論見だ。
だからこそ全てを早急に解決せねばならないのだが……】
【青生と彩桜は? 何処に行ったんだぁ?】
【頼りにしてばかりではいられない。
皆で考えよう】
異界の天竜アオが何らかの事故で時空を飛ばされていたのを超越者ブルーが地星に引っ張ったと青生は解釈しました。
その通りで、これが地星とアオとの初めての接触だったんです。
この時のアオは何が何でも元の場所に戻らなければならなかったので、この恩を返し続けているんですね。




