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初心者ユーレイ復興へ



 王都や職域の時間は邦和とほぼ同じ。

しかも夏の夜明けは早いので、ランマーヤは紗として飛翔の所に行って話して即、とんぼ返りという状態だった。


 マヌルの里のラピスリの部屋前で然程も待たずに扉が開いたので、人姿の仁王立ちで叔母を睨む。

そして驚き顔のラピスリに

「朝イチの会議に父の代わりに出席してください」

冷たく言った。


「何の会議だ?」


「神世の戸籍に関する会議です。

 父はキツネの社に居なければなりませんので、お早くお願いします」


「社で何が?」


「青生先生とサクラが母を救出してくださったのです。

 球魂状態で誰なのかも分からなかった母に治癒する為に通ってくださったのです。

 私も行かなければなりませんので、今日の復興には参加しません。

 会議でしたら囲まれないでしょうから、ぼんやりしないでください」

ペコリとして瞬移した。



「ふむ……神王殿か」


独り言ちて廊下に出ると、今度はゴルシャインが現れた。

「ラピスラズリは? 何事もないのか?」


「はい、眠り修行中ですが何か?」


「昨夜、今チェリーが呼びに来なかったか?

 それに、この共鳴にも気付いていないのか?」


「あ……」確かに共鳴が大合唱状態だ。


「強い治癒が必要だった。

 しかし既に殆どが回復している。

 ラピスリもラピスラズリも無事なのならば、それでよい」


「申し訳ございません」


「これから神王殿で会議だとは聞いている。

 今ピュアリラとしては代わりが居らず多忙を極めているのだろうが、あまり無理をせぬようにな。

 今日は復興の方は私が代わりに行こう」


「ありがとうございます」深々。

「あの……今ブルーも来ていたのですか?」


「来ていた。皆が万全ではない状態なのでな、随分と助かった」

フッと笑って瞬移した。



 何があったのだろうと神眼を巡らせると、大共鳴源の広間は兄弟姉妹だらけで、ドラグーナの部屋には青生と彩桜を除く兄弟が揃って水槽を囲んでいた。


首を傾げて青生と彩桜を探したが、近くに居るとは絆が示しているのに見当たらなかった。


時間的に限界なのもあって、仕方無くラピスリは神王殿へと術移した。



―◦―



 黒瑯が青生と彩桜から離れられないので、オニキスは人世からスヴァットを連れて来て神世食材で大量の滋養食を作っていた。


「で、どっちにも行かねぇのかよ」ボソッ。


「ど~した?」


「ラピスリですよ。

 凶暴な結界してヒキコモって、広間のも青生と彩桜の状態も知らずに、調べもせずに神王殿に行きやがったんですよ」


「会議だとか聞こえたが?」


「そーですけどね。

 終わってからの行動で怒鳴るかを決めます。

 少なくとも凶暴結界だけはヤメさせねぇと誰か滅殺されますよ」


「ま、イキナリじゃなく此処に連れ戻す迄は普通にな。

 人神だらけの場所で今ピュアリラ様を怒鳴ったらオオゴトになるぞ」


「あ~、ですよね」



―・―*―・―



 フィアラグーナとガイアルフは職域でユーレイ達の指導をしつつ、ザブダクルと戦った時に壊してしまった箇所を修復していた。


【もう直す場所は無いな?】

ガイアルフが笑いを含んで睨む。


【無さそうだ♪】

フィアラグーナはご機嫌だ。


【ったく魂半分で暴れやがって】


【仕方無ぇだろーがよ。

 新品になって良かっただろーがよ♪】


【良しとしてやろう。

 後は孫達が社から荷物を運び込んだら完成だ。

 雲地も補強してくれているから、もう普通に使えるだろ。

 ユーレイ達を連れて出ないとな】


【サイを探すか?】


【全部なんか無理だろ。

 マヌルの里に行くぞ】


【術移してくれ♪】


【ったく~。

 婆様と話して場所を確保してくれよ?】


【増えに増えたからなぁ】




 ユーレイわんさかを乗せたフィアラグーナを連れてガイアルフが術移すると、マヌルの里の広間は龍神だらけだった。

【どーする?】【どーするよ】


「あら、蓋上げ部隊なのね?」

カウベルルが現れた。

「班分けかしら?」


「なんですけどね、サイオンジに全てという訳にはいかないでしょう?

 知り合いを指名してもらえれば、その班に。

 そうでなければ精鋭達に分けようと思いましてね」

「なので先ずは場所をお願いしたいのですが」


「それで広間を見ていたのね。

 お姉様の広間に行きましょう」


「「獣神王の間ですか?」」


「そうね♪ ドラグーナ様は こちらの広間に居ますけどね♪」


孫だらけの部屋で囲まれているドラグーナに目を向けたフィアラグーナが

「愚息は王になんかなりませんよ」

目一杯、苦笑した。


「そうね♪」

笑って、マヌルヌヌが補佐席に居座っている広間に向かった。



 マヌルヌヌは姿を消して静かに見ているだけ。

なので仕方なく、ユーレイ達を降ろしたフィアラグーナが前に浮かぶ。

「後2回 運んでから説明する。

 待つ間は瞑想してろ」

とだけ言うと、背に乗ったガイアルフが術移した。



――職域に出ると、現世の門にユーレイを感じたので行ってみた。

【孫、蓋上げ部隊か?】


【はい、お祖父(ガイアルフ)様。今日が初めてのユーレイ達です。

 大都と東小都へと運ぶ途中なのです】


【どーせ説明しなきゃなんねぇんだから俺達が預かる】

【ポイントを貰うのに大都を踏んでおけよ♪】

集めた報酬ポイントを術と交換するシステムだ。

術大好きな狐神にとって、これ以上の報酬は無い。


【あっ、はい! ありがとうございます!】

【って、何処に行こうとしてるんです?】


【ナンジョウが引率してやがったのか♪

 それなら説明係を任命してやる♪】


【へ?】


【初心者ユーレイわんさかだ♪ 腕が鳴るだろ♪】


【うわぁ……ですが頑張りますよ】

「サイトー班とダイゴ班、龍神様に乗ってくれ」


「はい!」ユーレイ一斉。



 こうしてガイアルフとフィアラグーナが指導した初心者ユーレイ達とナンジョウが連れていた祓い屋ユーレイ達は、一緒に神世の現状と『蓋上げ』についての説明を聞くに至った。


「で、班分けだな。

 祓い屋達は先に運んでやろう。

 ナンジョウ、分けておいてくれ」

「ああそうだ。

 春菜オヤジはコッチだ。来てくれ」


「へぇ」「あのぅ、大将だけ何を?」


「ああ、いつも一緒に居た……ミカミだったか?

 心配なら一緒に行っていいぞ」


「はい、ありがとうございます」ペコペコリ。


ガイアルフはサイトー班を連れて東小都へ。

フィアラグーナは2ユーレイを連れてオニキスの所へ。



「で、班分けだが……多いなぁ。

 祓い屋に知り合いが居るってヤツはコッチな。

 祓い屋に弟子入りしたいヤツは真ん中。

 何のアテも無いヤツはコッチだ」

場所を指して動くのを待つ。


「アテ無しは瞑想しててくれ。

 知り合いのトコには狐の神様が運んでくれるから待つ間は瞑想な。

 弟子入り希望者、誰に弟子入りしたいんだ?」


「サイオンジ様に!」一斉。


「あのなぁ。サイオンジ様は邦和一の祓い屋、総括ってトップなんだよ。

 イキナリ弟子入りできると思うな!

 2、3人ずつ上位祓い屋に振り分けるからな!」


「そんならナンジョウに全て任せるからな♪

 狐儀、理俱。あの団体を連れてってくれ♪」


「「はい」」かなり渋々。

逆らえる筈も無い祖父の親友に捕まったのが運の尽きだと諦めて、知り合いユーレイの所に初心者ユーレイ達を運び始めた狐兄弟だった。



「フィアラグーナ様ぁ、任せるってぇ、運ぶのはお願いしますよぉ」


「あ~そ~か。カナリな距離だったな♪

 ガイアルフは?」


「ダイゴ班を大都に――」「戻ったな♪」


「ん?」


「あの団体、半分を王都に連れてくぞ♪」


「ふむ。フィアラグーナに乗ってくれ」

「ナンジョウも乗れ♪」



―・―*―・―



 オニキスは神世食材について説明し、食材と春菜の大将と壬上(みかみ)を連れて、副都の避難所の様子を見に行った。

壬上がカケルを見付けて話し始めたので、もうカケルに任せようと、屋台の場所を王都に変更して先に食材を運び、紅火に作ってもらっていた組み立て式の厨を建てて仕込みをしつつ、大将が運んでくれと呼ぶのを待った。


「うわ、ウンディじゃねーか……」

【おい、何処 行くんだよ?】


【オニキスかぁ? 何処だぁ?】


【屋台。見えてねぇか?】


【見えたぞ♪ 行くからなっ♪】


近くだったので大きな銅龍神は直ぐに来た。

「よっしゃーっ!」フンッ! と人姿に。

「オヤッサン、此処で炊き出しだ♪」


「そんじゃあトシ、兄チャンの仕込みを引き継げ」


「おうよ♪」

「じゃあオレは戻りますね。

 ウンディ、邪魔だけはするなよ」


「んあ? ジャマってナンだよ。

 あ~そ~だ♪ カンバン作ってくれよ♪」


「春菜のか? 紅火に頼んでおくよ」

と避難所から離れ、神王殿の様子を見てからマヌルの里に戻った。



―◦―



【ありゃあサイじゃねぇか?】【だなっ♪】


適当にユーレイ達を都に降ろしたガイアルフとフィアラグーナは、サイオンジを見付けて拐い、マヌルの里に戻った。


こうしてサイオンジに弟子入りを希望した者達はナンジョウに預けられ、行先が決まらなかった者達がサイオンジに預けられるに至ったのだった。



―・―*―・―



「ん?」


キツネの社で養生しているトリノクスは、ひとりポツンと瞑想している子供ユーレイを見付けて近寄った。


羽龍(ユーロン)、飛鳥は?」


「母さんが見つかったって。

 だから ぼくは……」項垂れた。


ユーロンはトリノクスの魂尾(たまのお)持ちだったので、トリノクスは過去を知っていた。

「私の子になるか?

 とは言え半神にしか成れぬが」


「え……?」


「ユーレイとしても安定するだろう。

 モグラの子にも成ればよい」


「うんっ♪」笑顔が咲いた。







狐便の報酬は油揚げではなく術でした。


青生と彩桜に進展がないので、初心者ユーレイ達をナンジョウが祓い屋達に押し付けるに至った経緯でした。



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