ミュゲステラ
キツネの里から帰宅した彩桜は、黒瑯に神世のユーレイ探偵団に運びたいからとプリンアラモードを頼んだ。
夕食後、神世に行くと、響とソラが死司最高司の館に居たので、そこに持ってきていた全部を置いた。
【ラン♪ アーマル様と飛翔さんの所にオヤツ置いてるから行ってね♪
ショウ達のを貰ってきて配達しなきゃだから、会うのは後でね♪】
と伝えて、ランマーヤが瞬移したのを確かめてからマヌルの里へ。
――行くと、広間は龍神だらけになっていた。
意識のある者も居たが、殆どが眠っていた。
【ドラグーナ様~♪】
大勢の中でも神力キラキラ☆鱗もキラキラ☆なドラグーナを見付けて飛んで行く。
【彩桜も治癒をお願い。
結界守りをしていた子供達なんだ】
【うんっ!】
ショウ達も瑠璃も後だと治癒に専念した。
【そっか、マディア様の地下シェルター、結界守りさん達が居たからこそ成せたんだね?】
【拾った? マディアは不十分な状態だったから、皆がサポートしたんだよ。
でも地上の建物は壊させないといけない。
そうしないと暴走魔は去らないだろうし、マディアの行為がバレてしまっては、元も子もないからね。
人神の住処は結界に直結しているし、この子達も結界に縛られていたから、破壊のダメージに耐えようと神力を使い果たして眠ってしまったんだ。
それでも龍は強いから治癒で元気になるよ】
【ん。俺、頑張る。
ん? 瑠璃姉は? またヒキコモリ?】
【そうなんだよね。
俺も拒絶されていて返事が無いんだ】
【んもぉ、こんな時にぃ】
【それじゃあアタシも加わるよ】
【アミュラ様、動きっぱ大丈夫?】
【劣化人神達が寄って集って全神力で無茶苦茶しちまってるからねぇ。
状況がバラバラで時間が掛かっちゃいるけど、神力は然程も使っちゃいないよ。
それにしても子孫だらけだねぇ】あははっ♪
【すみません。訳有りで】ペコリペコリ。
【既に神世を守り抜いた功労者達だ。
ドラグーナが頑張って生み育てたからこそさね。
これだけ居りゃあ神世は安泰だ♪】
【うんうん♪ あ♪ 青生兄コッチ~♪】
【この部屋ならギリギリ大丈夫そうだから】
苦笑し、肩を竦めつつ飛んで来た。
【治癒なら任せてね】
【ホント困った瑠璃姉だよねぇ】
彩桜も肩を竦め、同調を利用して増幅した治癒を青生と一緒に拡げていった。
夜が更け、アーマルとウンディが戻った。
【これは!?】【兄弟ばっかだな】
【アーマル様も治癒お願~い♪】
【任せろ!】【彩桜だろ? 俺には?】
【トシ兄、治癒なんて出来るの?】
【あのなぁ、神としての基本中の基本だ】
【神様だったの?】【おい】
【話す暇があるのなら治癒をしないか】
【おう! ふんがあっ!!】
【トシ兄てば治癒でもウ~ルサ~イのぉ】
皆が笑う。目覚めてはいるが動けない者まで。
【明るく笑うは正義~♪】るんっ♪
そうしてまた暫く。
今度は藤慈を連れた狐儀が来た。
【爽龍丸を配りましょう♪】
【そうですね藤慈君♪】
【狐儀師匠、藤慈兄♪
配るの終わったら滝に居る龍神様達も呼んでなの~♪】
【【はい♪】】
―◦―
ランマーヤは紗として飛翔と一緒に居たのだが、マヌルの里が気になって少しの間だけと戻っていた。
共鳴いっぱいは、こういうことだったのね。
なのにラピスリ叔母様ったら!
死司最高司の館に行く前に感じていた共鳴源を確かめると、ラピスリの部屋前へ。
起きていると感じてノックしようとしたが、夕方には入れた部屋なのに強い拒絶結界で阻まれていて、扉に触れる事すらも出来なくなっていた。
【叔母様!! 返事くらいして!!】
何度か繰り返し、暫く待ったが、全拒絶で聞こえていないのだろうと諦めて彩桜の所に行った。
――のと同時に、術移して戻った狐儀が大勢の元気な龍神達を連れて現れた。
その龍神達が最適最強治癒を放っている青生と彩桜を囲んだので、近寄れなくなった。
【ラン、離れよう】【そうね!】
――キツネの社。
【え?】【うん、コッチも大事だから】
「ピュアリラ様、俺また来た~♪」
声を掛けて入った部屋ではピュアリラとカミュラが微笑んでおり、その前で白龍の女神が眠っていた。
「お母様!?」
思わず声を上げたランマーヤが抱き締める。
鱗を緑に。そして青に。
「オフォクス様より、子孫ではありませんかと。
確かにカミュラの子孫でしたから、一緒に居れば互いの共鳴で回復も叶うと思っていたのですよ」
ピュアリラが微笑む。
「うんうん♪ 元気なるよね~♪
カミュラ様と一緒に閉じ込められてた龍神様、やっぱりミュゲステラ様だったんだ~♪
でも時代とか すっごく違うよねぇ。
引き寄せ合った?」
「一緒に? そうでしたか」
「無意識に引き寄せたのかもしれません」
ランマーヤの再生と治癒が効いたのか、名を呼ばれたと反応したのか、淡く緑を帯びた髪が確かな生命力を得て ふわりと揺れた。
【お母様、もう大丈夫よ♪ 父様も元気よ♪
だから目を覚まして♪】
ゆっくりと開けた目を細めて微笑み、頷く。
「ラン……」
「サファーナも近くに――寝ちゃってるわ。
だから朝ね♪ 父様も呼ぶから♪
治癒は任せてね♪」
小さく頷いて目を閉じた。
「もしかしてサクラが見つけてくれたの?」
「偶然なんだ。
カミュラ様達も光球なってたし、龍神様としか分からなかった女神様も光球なってたの。
他にも球魂女神様いっぱいだったの。
でも龍神様、ランに似てる気がしてお稲荷様にお願いしてたの~♪」
一緒に治癒~♪
「ありがとサクラ♪」
「カミュラ様♪ ランマーヤはアミュラ様から『今カミュラ』の称号を貰ったんです♪」
「そうなのね。嬉しいわ」
まだまだ回復途上らしく、弱々しく微笑んだ。
「ラン。今夜はカミュラ様とミュゲステラ様をお願いね」
「うん。サクラは叔母様の所に行くの?」
「日付けが変わってからね。
も1つ、瑠璃姉がヒキコモリしてる原因、思い当たったから。
話さないといけないから」
「叔母様の部屋、全拒絶の強い結界があるから気をつけてね」
「ありがとラン。
では、俺だけ失礼します」
ピュアリラ達を強い治癒で包み、神世へと術移した。
――マヌルの里。
【青生兄♪ 藤慈兄♪ 狐儀師匠~♪】
一緒に頑張っている背中達にハグしてからアーマルを探した。
【居た♪ アーマル様~♪】飛ぶ。
【ランマーヤは? 一緒に消えなかったか?】
【ミュゲステラ様に治癒してます♪】
【見つかったのか!?】【行けよアーマル♪】
【キツネの隠し社です♪】
【そうか。だが……】【彩桜、連れてけ】
ウンディがアーマルの背を強く押した。
咳き込むアーマルを受け止めた彩桜は術移した。
――「父様!?」
「ラン♪ 説明コミコミよろしく♪」
ニッコリ笑って、ピュアリラ達にペコリとして彩桜だけが消えた。
「ミュゲ……」そっと髪を撫でる。
「心配しないで。眠ってるだけよ」
「そうか……ん?」
安心して、ようやく周りが目に入った。
娘がクスクス♪
「ピュアリラ様とカミュラ様。
向こうで瞑想してる方がラファイナ様よ」
「ピュアリラ様……? 本当か?」
「本当よ♪
ラファイナ様はピュアリラ様のお姉様で、カミュラ様はアミュラ様の妹様よ♪
お母様はカミュラ様の子孫なんですって♪」
驚き過ぎて言葉も出ない。
「父様? お母様に治癒は?
その為に来てくれたんじゃないの?」
「そ……そう、だ、な……」
ペコリ、ペコリとして治癒を当て始めた。
―・―*―・―
彩桜は死司最高司の館を訪れていた。
以前と変わらず夜も執務をしていたマディアは嬉しそうに迎え入れた。
「プリンアラモードだっけ?
とっても美味しかったよ♪」
「また持って来るねっ♪
あ……オニキス師匠て兄弟だよね?
知ってる?」
「知ってるよ♪ アーマル兄様、ラピスリ姉様、ウンディ、オニキス、エメルド、ユーリィ、サーブル、ミルキィ、チェリーで僕♪
オニキスが どうかしたの?」
「美味し~の作ってくれるヒトなの~♪」
「人? オニキスも人してるの?」
「してるの~♪
でも龍神様だから来てもらうねっ♪
マヌルの里にも必要だから♪」
「里に? どうして?」
「結界守りしてた龍神様で いっぱいなってるの。
だから来てもらわなきゃね♪」
「結界守りの龍神って僕の兄弟だよね!?」
「うんうん。治癒、お願いしていい?」
「行くよ! エーデも呼ぶから!」
「待って。ちょっとだけ待ってね?
それとね、も1つ、お願いあるの。
瑠璃姉――えっとぉ、、ラピスリ様のお友達な小夜子さん、人世に戻してもらいたいの」
「人なの?」
「うん。ガス爆発事故で亡くなったの」
「もしかして、その事故って……」
「うん。悪ザブさんが死印バラ撒きしたヤツ。
いろいろ大変トキだから、落ち着いてからでいいの」
「この混乱を利用するよ。
あの事故は間違いなんだから。
その件は任せて」
「ありがとなの~♪ エーデリリィ様は?」
「あっ、呼ぶからっ」【エーデ、来て】
【夜中に どうしたの?】すぐに来た。
「マヌルの里に」「行こっ」連れて術移。
――【エーデ姉様♪】【来てくれたのだな】
目の前に初代兄弟が居た。
【結界守りをしていた弟妹達だ。治癒を頼む】
【はいっ!】【一緒に頑張ろ】【せ~のっ♪】
人神達は『結界守護』と呼んでいますが、ドラグーナと子供達は『護』まで押し付けられたくないと『結界守り』と呼んでいます。
人神との共通語としては『結界守護』を渋々使っていますけどね。
サマルータ様達が助け出した龍神様だらけになったマヌルの里で、ラピスリは部屋に籠っています。
拒絶結界で共鳴すらしないのでしょうか?




