ピュアリラの娘と子孫
マヌルの里に着いたアーマルとウンディは案内されて奥へと進んだ。
「お♪ ヨシちゃんと美神のネコちゃん♪
ん? あのネコちゃん……キャティスちゃんじゃねぇか♪」
「分離して頂いたのだろう。
これから復興だ。邪魔をするな」
「いやいや挨拶は必要だろ」「行くな!」
とかとか話しているうちに寿達は居なくなっていた。
「んあ?」
「僕も早く飛翔を解放してやりたい。入るぞ」
「あんなズラッと待ってるのにかぁ?」
「予約していたのだ。昨日から待っていた」
「へぇ~」「行くぞ」「俺もか?」「来い」
廊下で待たせたら待たせたで騒ぎを起こすのは間違いないので、アーマルはウンディを引っ張ってアミュラの部屋に入った。
「失礼致します」
「その龍は誰も重なっちゃいないがねぇ」
「放置できませんので部屋の隅にでも居させてくださ――あ、ウンディの魂も調べて頂けますか?
保護魂から生まれたとは聞いているのですが、どうにも常識外れでして……」
「見てやろう。面白い子孫だからねぇ」
「は? 僕達はアミュラ様の子孫なのですか!?」
「そうだよ。末のエアラグーンの子孫だ。
ドラグーナからは聞いてないんだね?
まぁ、大勢なら仕方ないかねぇ」
と話しつつ、ウンディを固めて調べていた。
「確かに面白い魂だねぇ。
けど解決するにはドラグーナとオフォクスとラピスリが必要だ。
そうさねぇ……3日後、出直して来な」
「はいっ、ありがとうございます!」
「で、お前さんは……内で眠り修行中の人魂と分離すりゃいいんだね?」
「はい、お願い致します。
これも不用意にウンディが近寄った為に、繋がりが歪になっておりまして」
「そうみたいだねぇ。
だから繋ぎ直して、キレイに切ってやるよ。
ダグラナタン、手伝いな」「はいっ!」
「ダグラナタン、だと?」
「申し訳ございません!」
部屋の隅から大急ぎで飛んで来たダグラナタンは伏して謝罪した。
「ダグも取り憑かれてたんだよ。
今じゃあマディアの子でもあるんだ。
許してやれないかねぇ?」
「そうですか。
マディアが許したのでしたら許します」
「マディアは都の復興に向かったよ。
後で話したらいい。
ダグ、人神の神力が た~んと必要だからね。
気張りなよ」「はいっ!」
―・―*―・―
青生を動物病院に残してキツネの社に行った彩桜は、ラファイナとピュアリラに治癒を当てていた。
「毎日ありがとうございます。
今日は今ブルー様は?」
ラファイナは彩桜に礼を言った後、瞑想に戻ったのでピュアリラが話し相手をすると微笑んだ。
「動物さん達のお世話してま~す♪
いろいろ聞きたくて俺が来ちゃいました♪」
「聞きたい? 娘達のことかしら?」
「たぶん……この保護してるのピュアリラ様に似てると思って~」
マヌルの里に運んでいて気になって、渡さずに持っていた保護珠を差し出した。
彩桜は知らなかったのだが、それは以前、サイオンジが見付けて瑠璃に渡した魂片だった。
「これは……確かに娘です。
イシュリは次女。混沌龍神なのです。
混沌神は命に限りがあります。
イシュリは随分と前に生を終えていますね……」
「そぉですか」
「イシュリの声は聞けるかもしれません。
雲地で見つけていただいたカミュラが目覚めましたので、イシュリに集中してみますね」
彩桜と青生は雲地に隠されていた女神と隠れていた女神とをピュアリラ達に託していた。
どちらも球魂状態で拾知を拒絶していたので、カミュラが居たとは分からなかった。
他にも雲間には球魂状態の女神達が居たのだが、ピュアリラ達に全てとはいかないのでオフォクスに頼んでいる。
も1神は? って聞けないよね。
ピュアリラが微笑む。聞こえたようだ。
「希望は捨てていませんよ。
マシュリは姉様との子。混沌狐神ですが、自ら仮死状態にして隠れていましたので復活する筈と、姉様が『息』を与えているのですよ」
「息? 呼吸の息?」神様が?
「蘇生や治癒の神力に近いかしら?
息吹とも言いますね」
「生命力かにゃ?
それならランにも来てもらいます♪
ランも子孫ですから♪
蘇生みたいな再生 持ってますから♪」
「ありがとう。
イシュリにも子孫を感じます。
持ってくれていたのではないかしら?
男神ね。……ラピスラズリ?
よく語りかけてくれていたようね」
「ラピスラズリ様、再誕して今は女神です。
でも、ちょっとだけ意識残ってるんです。
だから連れて来ます♪」
瑠璃に接触する口実が出来たと、嬉しくなった彩桜だった。
―・―*―・―
分離術が終わり、アーマルと飛翔が笑顔で握手していると、ウンディが目覚めて部屋から出てしまった。
「アミュラ様ありがとうございます!
追いますので また改めてっ!」
飛翔に乗ってもらいウンディを追った。
「本当に面白い子孫だねぇ♪」あっははっ♪
―・―*―・―
青生と彩桜を除く兄弟は妻達の復興作業に加わり、昼をかなり過ぎてから帰宅した。
なんとなくだが居間に集まり、遅い昼食を兼ねたお茶会状態になっていた。
「なぁ みかん、何かいい考え無ぇか?」
話題は どうしても青生と瑠璃の事になってしまう。
「そうは言うけど今は待ちなんでしょ?
だから案じゃないけど……瑠璃さんの気持ちは少しは解るかな……」
「ええ」「そうですよね……」
みかんは牡丹、リリスと頷き合った。
「男には言えねぇとかかぁ?」
「言えなくはないわよ。でも理解は……ねぇ?」
また牡丹とリリスが頷く。
「とにかく話してくれねぇか?」
「それなら言うけど、歳上の妻って不安なのよ。
私とリリスちゃんは1歳だけだけど、瑠璃さんは……」
「たった1歳なんか誤差だろ。
それに神様としちゃあ瑠璃サンは若いんだろ?」
「それでも! 人の身体は……」
「夫より先に衰える、老いるというのは恐怖なのですよ。
しかも子を、となれば追い詰められても仕方の無い事なのです」
無意識なのだろうが、みかんと牡丹は新たな命が宿ったお腹に手を添えた。
「そこからの勘違いかぁ。
けど、それならそれで拒絶せずに話しゃいいのになぁ」
「豪胆で威風堂々に見えているのでしょうが、瑠璃先生は乙女ですのでっ」
「リリス……」藤慈が抱き寄せてよしよし。
「だから白久さんには話したくなかったのよね」
「白久様に理解を求めるのは根底の違いから無理なのでしょうね」
「うっ……。
もうピュアリラ様を神世に連れてくかぁ?」
刺さる視線から逃げようと兄弟に。
「「「「「ピュアリラ様!?」」」」」妻達一斉。
「あ~、誰も話してなかったのかぁ?」
兄弟、頷く。
「今は話すべきでないと考えた。
完全に回復されてからでなければ、神世で大勢に囲まれるのには耐えられないだろう」
「だよなぁ。あ……」やっぱり視線が痛い。
「私から話す。
ピュアリラ様は姉ラファイナ様に闇禍が憑いた為に、封じ連れて地星から離れようとなさったそうだ。
しかし別の闇禍が人神に憑き、地星を崩壊へと向かわせてしまった。
その崩壊を消滅直前でブルー様が止め、地星の残骸から月を作り、避難所としたそうだ。
地星の残気から新たに成された神世が第2世期以降のものだ。
新たな神世に生き残った神達が移ると、ピュアリラ様は月の内側に入られた。
闇禍憑きとなってしまったラファイナ様を眠らせ続け、耐えておられたのだ。
命に限りが有る混沌神様を現在に至る迄、保ってくださったのもブルー様であろう。
先日、『災厄に耐える』という鍵を得た地星にブルー様がいらして、ピュアリラ様とラファイナ様を救出なさったのだ」
「70億年を耐えたお身体ですから、青生様と彩桜様が治癒にて保っておられるのですね?」
「そう考えている。
その上、娘神様や孫娘神様の捜索も二人が担っている。
現状を考え、誰にも頼らずにな」
「昨日、青生は心身共に疲弊している人神様方には縋れる存在が必要だと話していた。
だから瑠璃殿は神世を離れられないのだと」
「今ピュアリラ様ですものね」妻達、神妙に頷く。
「だからこそ青生は瑠璃殿を支えねばならない。
だが……今日は待つより他に無い」
「そぉなの。今日は動いちゃダメなの。
でも俺、『最善』踏み外さないよぉに頑張るからねっ♪」
「「彩桜」君!?」
「オ~ヤツ~♪」「ほらよ♪」
「黒瑯兄ありがと♪ いっただっきま~す♪」
巨大プリンを彩桜専用の大きなスプーンで掬って口へ♪
【あのね、拾知 正常稼働中だから心配しないでねっ♪
兄貴達、姉ちゃん達。暗~いのダメだよ~】
「青生は?」
【話してきたよ♪ ちゃ~んと大丈夫♪
頑張ってるの~♪ 最善してるの~♪】
「そんならいいけどな」
【今日はライブは? ジャックしないの?】
「そんじゃあ行くか♪」「うんっ♪」
「もう食ったのか!?」「うんっ♪」
「ったく胃袋無限倉庫だよなぁ」
「メンバーには伝えた。では行こう」
「青生と瑠璃サンは?」
「青生が青と紺マーズをする」
「俺も空マーズもするの~♪」
「そっか……」「今の最善♪」「そっか♪」
「前回のスタジオへ」
「「「「「はい!」」」」」一斉瞬移。
――東邦テレビのスタジオ。
次々と忍者が集まる。
【ん? 彩桜は?】
【メーアと奏お姉さん連れて来た~♪】
「ったく俺を忘れるなよなぁ」
「よろしくお願いします!」
「他のメンバーは?」
「今日はオフでバラバラなんだよなぁ」
「避難所でスタッフをしていて……」
「演奏は任せろ♪」「セッティング完了~♪」
楽器だけでなく、照明やカメラ等々も完了していた。
「始めるぞ♪」「おう♪」「はいっ」
末のエアラグーン……て、青龍様ってカシス様より下!?
なんですよね~。
アミュラ様の御子では唯一の男神様。
オーロが何か大きな事を起こしそうだと保険的に生んでいたんです。
その青龍エアラグーン様の子孫なドラグーナ様。
今は……鳳凰達を連れて都に向かっている頃でしょうか。




