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鳳凰神vs兎神の裏側で



 下空で兄達と合流した彩桜は、青生と一緒に拾知を活用してマディアとエーデリリィが成していた地下道と、イーラスタとエィムが成していた下空の道の情報を得た。


その間に他の兄弟は、雲地の下を迂回して壁の両側を繋ぐ神道を作っていた。


【紅火兄~♪ 先に下に抜ける扉ねっ♪】

迂回路から顔を出した紅火の手を取って情報を流した。


【ふむ。神楽器での後押しを頼む】



 堅固持ちは紅火だけなので白久が双璧で引き継ぎ、紅火は藤慈を連れて反対側の端へ。

地下道側の端からの神道を藤慈の術双璧に継ぐ。


道を伸ばす後押しは音色で。

順調に伸び始めたのを確かめると、紅火は扉を成しては道の口を作っていった。


【道、増やすの?】


【此方側からも職域に行けるようにする。

 職域も両国に繋げねばならぬからな】


【人世とも繋ぐの?】


【繋ぐ。痕跡は残っているからな】


【エィム師匠が使ってた道?】


【そうだな。気が残っている】


【コッチも国なるから、ぜ~んぶ平等しないとね~♪

 ドラグーナ様達、飛んでるね♪

 もぉ兎さん達、里に戻していい?】


【未だ道が途中だ】


【エィム師匠 呼ぶから~♪】


【ならばよい】



―・―*―・―



【また叔母様ってば!】飛ぶ!



 龍狐神姿でラピスリを背に庇う。

「私は今ピュアリラ様の第一使徒、今カミュラです。

 まだまだ多くの方が地下でお待ちですので、避難所にご移動をお願いいたします」

龍になって乗れと伏せた。




 ランマーヤが戻ると、またラピスリは囲まれて拝まれていた。

【叔母様! いつもの覇気は!?

 慈愛の微笑みだけ顔に貼り付けないでください!

 それと! 捗らないから否定して逃げてください!】

心話で叫びつつ、人神達には先程と同じ言葉を話して乗ってもらっている。

【聞こえてますよねっ!

 次は運びませんからねっ!】

飛んで行った。



―・―*―・―



 輝竜兄弟の方は順調に作業を進めて雲地を区画分けした。

人世生物魂と神世生物とが混ざらないように縦横に通した神道で隔て、人世生物魂・神世生物の各々1区画は雲海(うみ)にした。


職域は遠いので転送道にし、試して完成となった時に、鳳凰vs兎の試合が終わった。


「うわわわわ。兄貴達! 真下に行って音楽しなきゃ!」

兎に襲いかかる鳳凰達の昂りを鎮めようと、里の真下へと兄達を連れて彩桜は術移した。


音は聞こえなくても心には響く。

そう信じて『みんな仲良く』と込めて奏で続ける。


ユーレイ達も、真四獣神も、イーリスタも争いたくないと思っているので、音色は後押しになる。


少々脅したくらいでは態度を改めるなんて有り得ない鳳凰達が涙を流した。


【俺達の音楽、心に届いたかにゃ?】

【【そりゃあ届いたんだろーよ♪】】



 鳳凰達との話が纏まり、落ち着いたところで里を去った真四獣神が現れた。

【素晴らしい音色での後押しをありがとう】

【イーリスタも音色の源を探してたよね~】

【音色任せにして動かないのかと思ったぞ】

【色々と複雑な心境じゃったのじゃろうよ】

各々が笑みを浮かべる。


【うんうん。複雑だよねぇ】うんうん。


【傲慢の塊となった愚か者達の心をも動かした皆を真の音神と認めよう】

【魂を鷲掴みして泣かせてくれたからな♪】

【第二、第三と威嚇の手を考えとったが、せずに済んだわぃ】

【昨夜 集まった鳳凰の皆も、出番はなくなったけど喜んでいたよね~♪】


【うんうん♪ 穏便イチバンだよね~♪】


【真四獣神様、古の人神の地と月への道は、いつになりましょう?】


【明日か明後日か。近い内に動くと約束する】

【そろそろ獣神の地に応援が増えるからね~】


【では、そのつもりで此方も動きます】


【そう言えばじゃが、雲地は自動修復せんかったのかのぅ?】


【此方半分が殆ど崩落した為に接点を失い、術は残っておりましたが正常には発動しておりませんでした。

 それ故に全てを解除し、新たに雲地を成しました】


【あれを消して新たに成せるとは……】

【解除も異界の神力なのか?】


【はい。ブルー様から頂いた術の中に有りました】


【ならば納得じゃ】うんうん。

【青身神様達が成した雲地だからな♪】


【だから ちゃ~んとクッションなったんだ~♪】


【そもそもは上の熱を遮断する為の雲地(もの)

 加えて神世と人世が連動して総崩れとならぬよう、緩衝材の役目も担わせていたとは、青身神様のなさる事は全て地星の神の遥か上であるな】

【上の上の上の上だろ?】【そうじゃのぅ】

【同じ青い龍神様だから憧れなんだよね~】


【うんうん♪ カッコいいよね~♪】



―・―*―・―



 その頃、シャナカリュー達は死司最高司の執務室を訪れていた。

ザブダクルの解呪をしていた女神達にとっては久し振りで、エーデラークが女神な事に驚きはしたが、すぐに打ち解けてお茶会になっていた。


「さて、そろそろ動くと致しましょうか?」

サマルータが見回して微笑む。


「そうですわね。休憩は十分ですわね」

シャナカリューも微笑み返す。


「もしや復興を?」高貴な皆様が?


「人神が住まう場所に縛られている龍神様方を自由にしなければと参りましたの」

「術は人神のものでしょうからね」


「ありがとうございます!

 皆、私の弟妹なのです!」


「そうでしたのね」

「では手始めに職域、次に王都、北上して亀の里に参りましょう」


女神達、にっこり頷く。


「亀の里に? 何故ですか?」


「新たに禍に対しての結界を成して頂くのです。

 ドラグーナ様の転送結界に重ね、小さな禍は その場で浄滅。

 大きなもののみを転送するように変えるつもりなのですよ」

「転送先は鍛練の滝です。

 もう禍を生む滝ではありませんので自由な鍛練場となりました。

 手に余る場合は其処から月へと転送します。

 つまり滝の四獣神様は解散、月の四獣神様のみとなるのです」

「月は上級者向けの鍛練場ですよねっ。

 私も行かせていただきますっ」両手をグッ。


「何から何まで ありがとうございます」


「滝を変えたのはドラグーナ様ですわ。

 私共は人神も何かせなければと参りましたの。

 協神力(きょうりょく)こそが最も強き神力(ちから)ですのでね」


「神世は本当に変わるのですね……」感激の極み。


「良い方向に変えなければなりません。

 私達は神なのですから」

「災厄をただの難事にはしませんよ」


「はい! そうしなければなりませんよね!

 私も動きます!」



―・―*―・―



 真四獣神は輝竜兄弟と話して満足し、人世経由で月に戻るからと瞬移した。


「動物さん達、移動させよ~♪」

兄達を連れて、保護区域に居た神世生物と人世生物魂の避難所へ術移した。



――「俺、恐竜さん達と行く~♪」るんっ♪

サッと乗って先導した。

恐竜達は後に続いて迂回路の口へとぞろぞろ。



 その間に青生は小型の動物達を呼び集めていた。

手や肩や頭だけでなく広げた翼も止まり木にしている。


「なんか……妖精?」「マジ天使かぁ?」


「ただ見ておらず手伝うよう」「「おう!」」



―・―*―・―



「お~いアーマル♪ 今日も忍者しよーぜ♪」


「また置いて行かれてしまったのか?」


「んあ? ヨシちゃんかぁ?

 ユーレイが必要なんだとよ♪

 仲良くやってっから心配すんな♪」


「心配なんぞしておらぬが――」「行くぞ♪」

「――待て。少しは聞いてくれ」「おうよ♪」

「僕と飛翔は繋がりが切れていないそうだ。

 だから分離してもらい、ユーレイを募集している神世に飛翔を行かせたい。

 これからマヌルの里に行くのだが、ウンディは人世に残るか?」


「アーマルが行くんなら俺も行くぞ♪

 相棒なんだからなっ♪」

「昇るついでだから連れて行こうか?」


「リグーリもマヌルの里か?」


「いや、死司域だ。だから永遠の樹までだな」


「十分だ。ありがとう」



―・―*―・―



【兄貴達~♪ 次は?】

まだ恐竜に乗っている彩桜が手を振っている。


【そう言うのなら此方に来たら?】

【んな遠くに居るの彩桜だけだぞ】

【乗ったまま来るんじゃねぇっ!】


【人世で電波ジャック?♪ マーズする?♪】

雲地に霊体なので音はしないがドッドッドッ! という感じに重そうに弾んでいる。


【【だから乗ったまま来るなっ!】】


【姉ちゃん達トコ行く?】止まった。

近過ぎて彩桜が見えないのだが。


【【ソレもいいけどなぁ】】皆、視線は青生に。


【ん? 俺も行ってみるよ】平然そうに微笑む。


【いや、無理すんなってぇ】

【彩桜、連れて帰ってくれ】


【ん~~~、だねぇ。青生兄、明後日ね】


【そんなにも待たないと――いけないらしいね……】


【うん。後でランから伝えてもらうから帰ろ?】


【そうするよ】渋々。



【つまり、拾知の最善が明後日かぁ?】

【らしいな。ナニ待ちなんだろ~なぁ】

【上の地に行く】

紅火が4人を連れて術移した。



【紅火にまで気を遣われてしまったね……】


【今日はピュアリラ様トコ行くのも俺ね?】


【うん、、お願いね】【帰ろ♪】

「ティアくん、また明日ねっ♪」なでなで♪

降りて術移した。







傲慢の塊になっていた鳳凰神達は少々脅したくらいでは『この老い耄れが!』みたいな強引な反撃をするだろうと朱雀様は考えていたんです。


何やら考え込んでいるかのように動かなかったイーリスタ様は音色の発生源を探していたようですね。


真の音神と認めてもらえた輝竜兄弟は、この数日後には音神の上の称号を貰います。

きっと真四獣神様が動いたんでしょうね。



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