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雲地完成



 輝竜兄弟の雲地修復は最終段階に入っていた。

元々の雲地と新たな雲地とを接合している紅火と彩桜の所では、領域昇華と領域供与を双璧している白久が後押ししている。

黒瑯の優風を術双璧して神笛の音色に乗せている藤慈が、接着剤として新たに雲地を運んでくる。


【藤慈、何処から運んで来てるんだぁ?

 青生から貰ってるのかぁ?】


【いいえ。まだ柔らかいので盛り上がっている箇所から押して来ているのですよ】


【まだ柔らかい、って?】


【最終的に均等な厚さの雲地が出来上がったら紅火兄様が固めてくださるのですよね?】

【そうだ】


【紅火、大活躍だなっ♪】【はい♪】【うんうん♪】


【む……】【紅火兄、照れちゃった~♪】【む】

【ほえっ、どして鬼ごっこなのっ!?】【フン】


【お~い紅火、神力の無駄遣いすんな~】



―◦―



 雲地の厚みを均等にしようと補填している青生を金錦が後押しして、黒瑯が風と音色で(なら)している方は、どんどん移動していた。


【そろそろ終わりなんじゃねぇのか?】


【そうだね。あの凹みがラストだね。

 最後は紅火に固めてもらわないといけないから接合面を手伝いに行こう】


【おう♪ って、あっという間だな♪】


【注いで埋めているだけだからね。

 池を作っているようなものだよ】

金錦と黒瑯に触れて、白久へと術移した。




――【あれ? 紅火と彩桜は?】


【元気に走り回ってるよ】苦笑。


【また彩桜が揶揄(からか)ったのかな?

 紅火、加速しないと広くなっているから落ちてしまうよ。

 雲水(うみ)を注ぐから固めて繋げてね】


【む】戻った。

【紅火兄てばぁ、放してよぉ】捕まっている。


【若菜さんも困っているし、彩桜は俺とね】

【うんうん♪ わわっ】

ポイッとされた彩桜を青生が受け止めた。

【んもぉ、紅火兄てば乱暴にゃんだからぁ】


【彩桜、元々の方を引き寄せてね】【ん♪】



 作業再開。

特に何も言わなくても各々が的確に動くので順調に接合が進んでいく。


【なぁ青生】


【はい?】

コッソリなので白久の方は向かずに作業を続行。


【紅火のアレは彩桜と遊んでやってるのか?】


【じゃれているだけですよ】


【あの紅火が?】


【紅火だって下から数えた方が早いんですからね】


【あ~確かになぁ。けど貫禄は俺よか上だぞ】


【それですよ。

 紅火は子供らしくない子供だったでしょう?

 我慢強くて不平不満を言わないようにと頑張っているうちに無口になってしまったくらいですからね。

 彩桜が居るから、子供の頃には出来なかった事を今、楽しんでいるんですよ】


【あの顔でかぁ?

 けどま、どっちも中身はオトナだからアリかぁ】


【そうですよ♪

 紅火も彩桜も全力で楽しんでいるんですよ。

 彩桜としても甘えたい時期に俺達がバラバラだったから今が全力なんです】


【そっか。大学やらでなぁ。

 そ~いや青生はナンで苦学生してたんだ?】


【なんとなくです。

 自立したかったのは確かにあったんですけどね。

 きっと……彩桜が来て、瑠璃と出逢う未来の為だったんでしょうね♪】


【また拾知かぁ?】


【開いてはいませんでしたが、そうなんでしょうね。

 今が幸せですから、どうでもですけどね。

 いろいろと思い描いていた夢とか希望とか、そういうのは叶いましたから。

 ラスト1つ、この大仕事が終わったら踏み出しますよ】


【ラスト? ナンだよ?】


【親と兄弟と子供達でオーケストラを作るのが新たな夢なんです】


【あ……だな。俺達なら、つーか、俺達じゃねぇと出来ねぇよな♪】


【でしょう? 彩桜の子供って、軽く10年は先ですけど、兄さん達は来年には賑やかになっていますからね♪】


【うわ。知ってやがったのか?】


【仕事の面では無理はさせませんから安心してください♪】


【ソレは信用してるけどなぁ。

 兄貴も、だったかぁ】


【はい♪

 これから輝竜家は賑やかになります♪

 次々とですから♪】


【ソレも拾知なのかぁ?】


【いいえ。

 そんなのまで見えたら面白くありませんから。

 自分に絡む事は見ないようにしているんです】


【ったく器用だなっ♪ ん? 紅火が止まった?】


【1周したんですよ。最後の仕上げです】


【皆で紅火を後押しだなっ♪】【はい♪】



―・―*―・―



 ルサンティーナが復興に向かったので、カイダームとクウダームはシャルダクルを連れて神王殿のサティアタクスの部屋に行った。

「「本日も宜しくお願い致します」」


「それは私が言うべき言葉です。

 どうかお願い致します」


共鳴でバレバレだったが少年な祖父達と孫で子でもある前王は復興の為に情報整理を始めた。



―・―*―・―



 心地よく響いていた笛の音の余韻が薄れて消えた。


「終わったようですね。戻りましょうか」

ピュアリラが姉と娘に微笑んだ。


「そうね。

 アミュラ、あなたも我慢ばかりして頑張ってきたのだから、もう好きに生きたらいいのよ」

ラファイナが心配そうに微笑む。


「前回の復興では役立たずなのに私が全てしたとなりましたから、せめて今回は、ブルー様に地星は大丈夫だと伝えたいのです。

 隠居は……その後に」


「そう? では復興の間は全神力でね?

 あなたは言い出したら聞かないのだから。

 その後は人世で今ブルー様達を見て、のんびり生きましょうね」

「音楽も聴けますからね」


「はい。それを楽しみに。

 では戻りますので」


ラファイナとピュアリラはキツネの社へ。

アミュラはマヌルの里へと術移した。



―◦―



「ちゃんと雲地なった~♪」ぴょんぴょん♪


「次は壁だよ。残して保護区域を維持しないといけないからね。

 紅火、続けて大丈夫?」「む」頷く。


「壁の手前は雲地植物を植えて森にするからね。

 それと行き止まりじゃなくて道も通すから、また明日お願いね」


「明日? 続けて構わないのだが?」


「でも紅火も休むべきだよ。

 今ある壁は消えてしまうから、その此方側に新たな壁を成さないといけないんだからね」


「「「「消える?」」のか?」」

「どうしてなのです?」


「上の岩壁を雲海に戻すからだよ」

「上のの続きだから消えちゃうの」


「そっか。そんなら新たな壁は紅火が自由自在に穴も開けられるんだな?」


「そうなるよね、紅火」「む」頷く。


「始める~んるん♪」



―・―*―・―



 アミュラがマヌルの里の部屋に戻ると、扉の外にカウベルルが現れたと感じた。


「何かあったのかい?」


『人世魂との分離を望む獣神達が大勢 待っているのです。

 術をお教えいただけましょうか?』


「それじゃあカシスにも教えようかねぇ。

 アタシも加わるよ。入りな」


『ありがとうございます』


「マヌルヌヌは?」


「姉は……申し訳ございません」「母様♪」


「一途? ああそうかい。

 それでドラグーナは……ま、いいさ。

 カシスも来たから始めようかねぇ」



―・―*―・―



 稲荷山の死司社(ししやしろ)での朝礼を終えたエーデラーク(エーデリリィ)はマディアの同代を探し、少し離れた場所に見付けた。


【ディルム、よろしい?】


【あっ! はい! どうぞっ!】


部屋に入ると白虎(ディルム)だけだった。


「他にも居たのでは? 気配だけですね」


「ええっと」浄化を纏い、ダンディ死司神に。

「昨夜は弟とリグーリが一緒だったのですが……」


「弟とは?」


「再生神をしております、ハーリィです」


「再生最高司補の……そうですか。

 死司も役職を再編成しようと考えています。

 後程、下空の執務室にいらしてくださいね」


「畏まりました」




 次はリグーリを探し、瞬移した。

「リグ――その死司ではない黒い装束は?」


「人世の復興は忍者がしているのです。

 死司神は十分な数が居ると思いますので」


「当面は復興の方をお願いしますね。

 ですが後で執務室にいらしていただきたいのです」


「畏まりました。

 もしやマディアが元に戻ったのですか?」


「まだですが……近いうちに戻りますので、その前に編成をと考えているのです」


「編成に私なんぞを?」


「マディアの同代ですから」


「解りました。では参じますので」恭しく礼。




 そのマディアの様子が気になったので神王殿に戻ると、眠っていた。

「また仲良く手を繋いでいるのね♪」


「うん♪ 仲良くイタズラっ子だよね♪」

「ペンを持って飛ぶのが楽しいらしいね」

「1本を一緒に持ってね♪」「そうだね」


「返してと言うと、遊んでくれるならと言うのよ」

と言いつつ、ユーチャリスの二神(ふたり)を見る目は優しい。


「ちょっと安心したから戻るね」

「大臣とか成神も大勢だからね」


「そうなのね。宰相様も行かれます?」


「補佐1神を残して皆、修行中なのです。

 補佐は交代。私も後程お世話になりますので」


「僕達も交代なんだ♪ 兄弟が多いから♪」

「多くて本当に良かったと思うよ」「ね♪」

ラナキュラスとソニアールスは笑い合い、『またね』と手を振って瞬移した。



 エーデリリィは それから暫くは神王殿での執務に集中し、結界が禍に対してのみに変わって見易くなった職域に神眼を向けた。

「それじゃあ私は もう一度エーデラークしてくるわね」


「はい♪ 行ってらっしゃい、お姉様♪」


弟達が上手く和ませたのだろうと微笑み返して、エーデリリィは夫達にも目を向けた。

「あら? ベッドが窮屈に?

 なんだか今日は見る度に成長していない?」


「そうですね♪

 変わらないのは仲良しなことですよね♪」


「そうね♪」


「それじゃあ私は死司の執務室に戻るわね。

 マディアが最高司し易くしておきたいから」

お昼寝中の夫達の髪を撫でる。

「また離せそうにないから、お願いしていいかしら?」


「はい♪」


離れたくないと思いながらもエーデラークは瞬移した。







もうすぐマディアが元に戻る筈とエーデリリィも頑張っています。

前日の成長促進が功を奏してグングン大きくなっていますので、本当に間も無くなのでしょう。


雲地の方も地面が完成したので、新たな壁を成せば今日は終わりです。

広い広い雲地なので兄弟7人だけで成したと知られれば神世が騒然としそうですけど。



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