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崩落した雲地の修復



 崩落した側の下空を調べ、帰宅して眠った青生と彩桜は、翌早朝に他の兄弟を連れて再び崩落場所に行った。


「青生と彩桜は自力で飛ぶのかぁ?」

「瑠璃さんと紗ちゃんは?」

他は皆、妻の背に乗せてもらっている。


「今ピュアリラとして忙しそうなんだよね」

「ランも第一使徒な今カミュラしてるのぉ」


「「まさか会ってもないとか?」」


「今は仕方ないよ。

 真ピュアリラ様に押し付けるなんて出来ないし」

「うんうん。

 復活したばかりなのにアレコレい~っぱいだしぃ、お社で囲まれて初めて信奉者だらけなの知ったんだからぁ」


「そりゃあ仕方ねぇか」「だよなぁ」


「だから俺と彩桜のは置いといて、これも急ぎだから説明するね。

 ブルー様から頂いた術の中から雲水(うみ)を成す術を使って霧状の雲海(うみ)を拡げるから、堅固で集めて雲地にしてもらえる?」


「ふむ。彩桜、吸着で手伝ってくれ」「ん♪」

「そんならオレと金錦兄は いつも通りだな?」


「領域昇華は金錦兄さんだけですのでお願いします。

 黒瑯が領域発動したのを白久兄さんが継いでください。

 広域ですので可能なら双輪双璧で金錦兄さんのも」


「ふむ」「おう、双輪で任せろ」「オレは?」


「黒瑯は兄弟の中で一番、風術が得意だよね?

 紅火が雲地化したのを風で拡げてもらえる?

 藤慈は黒瑯を指定して術双璧で」


「おう♪」「はい♪」


「人世の面積の半分以上だから神力は温存気味で維持してね。

 じゃあ始めよう」


「煌輝、領域昇華!」「煌輝、領域供与!」

「煌輝! 昇華と供与を双輪双璧だっ!!」


「昇華光明煌輝、集水氷結、煌輝霧散」


「昇華闇障光化、白闇呼(しろあん)水天(みずあめ)吸着♪」

「煌輝、堅固集結、維持」


青生の両掌からキラキラな霧が拡がったのを彩桜の白闇呼玉が引き寄せて集める。

それを紅火が固めて、凝縮した雲地に変えた。


「煌輝、優神風雅奏、拡走維持」

「煌輝、術双璧優奏、黒瑯兄様」

背中合わせで神笛の音色に術を乗せた。


神笛の音色は遠くへ遠くへと生まれたてのキラキラ雲地を運んでいく。


「ブルー様が術と一緒に伝えてくれた曲だな」

「ならば、その風に合わせよう」「だなっ♪」

金錦と白久の神笛が紡ぐ音色も風に乗るように妻達が動いた。


青生 紅火 彩桜もタネとしての雲地が十分になると神笛の音色を重ねた。

音神兄弟7人が織り成す奏音(かなでね)は地星を包み、()り昇りして多くの心に届き、穏やかに不穏を消していった。



―◦―



【あら、アミュラも来たのね】ふふ♪


【少し休憩をと……】


【私達もよ。必要なことよね】

【それに、あの曲は青身神(ブルー)様が奏でていらした曲ですから懐かしくて……】

【そうね。月の近くでも何度も……】


【私も幼い頃に聴いたような気がして……】


女神達は遠い過去に想いを馳せつつ、音色に魂を委ねた。



―・―*―・―



 神王殿ではエーデリリィとユーチャリスが執務を始めたところだった。

そこに宰相が来た。

「王妃様、副都にも王都と同様の避難所などの施設が必要では御座いませんか?」


「それは確かに。各都に今日中にとお願いしなければなりませんね」

「王都の城壁外の建物は堅固で成しているわ。

 私も堅固だから副都の分は真似てみるわね。

 マディアをお願いね」



 と、執務室を出たエーデリリィは案内不要と城壁の外へと瞬移して建物を確かめた。


 成したのは父様ではなくて、器さんなのね。

 こんなにも強い堅固は私には無理だわ。

 建物も大きくて――【エーデ姉様?】


「あらラナン、どうしたの?」


「姉様こそ。僕は休憩時間なだけ。

 困ってるなら兄様達を連れて来るけど?」


「ダンデライラも居る?」


「うん。同代揃ってるよ。

 向こうの建物で王子達の指導してるから」


「そうなのね♪

 副都にも避難所が必要だから強い堅固が必要なの」


「じゃあダンデ兄様とソニアを連れて来るよ」


「ラナンとソニアも堅固?」


「僕達は浄化と治癒だけど、なんだかオールマイティーなんだよね」

笑って瞬移し、連れて戻った。


「一緒に副都に♪」

大喜びなソニアールスが纏めて瞬移。



――副都の城壁外。

「それじゃ始めよ~♪

 手を繋いで輪になって――ラナンは僕の隣じゃなくて兄様姉様と手を繋ぐの♪

 で、僕達は供与ね♪」

「了解。そういう事ね」


「王都と同じ建物を1つ1つでいいかしら?

 一度に全てなんて私には無理だから」


「「いいと思う」よ♪ じゃ、せ~のっ♪」



―・―*―・―



【そろそろ元の雲地と接触する箇所が出てくるから紅火と彩桜は動いてもらえる?】


【くっつける~んるん♪】紅火を連れて術移した。


【二人だけで回りきれるのかぁ?】


【俺も厚みを増やしに行きますけど、もう少しだけ此処に重ねて拡げないといけませんので】


【そっか。全てが接触してからなんだな?】


【はい。一気に行いますので。

 この雲地にも兄さん達の昇華と供与が有効みたいですので、もう暫くは真ん中でお願いします】


【此処の堅固は? しなくていいのかぁ?】


【紅火が連鎖反応するように保ってくれていますよ。

 ですから兄さん達は連鎖反応を後押しがメインです】


【なるほどなぁ】



―◦―



 ピュアリラ達は休憩と言うよりは見届けたくなって留まっていた。


「母様は月の中に入る迄は、どちらにいらしたのですか?」


「月が現れる前は地星から離れよう離れようと必死で飛んでいたわ。

 でも離れられなかったの。

 いくら飛んでも地星が見えていて……。

 神力尽きそうになった時に現れた、まだ塊になっていなかった月に引き寄せられたの。

 包まれるように入ったのよ」


「全てはブルー様なのですね……」


「きっとそうね。あの時の私はブルー様に(すが)りたいのに会ってはならないと拒絶していたから……」

「私達が命尽きて消滅しないようにも保ってくださったのでしょうね」


アミュラも納得して、優しくて偉大な異界の龍神と、遠い遠い過去に想いを馳せた。



―・―*―・―



「これでいいのかしら?」


「十分だと思うよ」「ね~♪ ラナン、治癒ね♪」

「そうだね。姉様と兄様に」「ね♪ せ~のっ♪」

末弟達は爽快な治癒で姉兄を包んだ。



「ありがとう♪ ダンデも ありがとう♪

 それじゃあ神王殿に戻るわね」


「僕達も王都だから一緒にね♪」纏めて瞬移♪



――執務室。

「あら。でも ありがとう。

 ユーチャ、ダンデライラとラナキュラスとソニアールスよ。

 副都の避難所を作るのに協力してもらったの。


 ユーチャリスはグレイの奥さん、王妃様よ♪」


お互い、改めてで挨拶し合う。


「グレイ、ちょっと成長したね♪」

「そうだね。順調そうだよね」

ラナキュラスとソニアールスが優しく撫でる。


すると目を覚ましたティングレイスが笑顔でラナキュラスの手に ぶら下がった。


「グレイ、僕には?」「にいさま見~っけ♪」

ソニアールスの手には小さな碧龍が ぶら下がった。


ぷらんぷらんと揺れる小さな二神は楽しそうで、仲良くて。無垢で愛らしいだけにラナキュラスもソニアールスも涙が出そうになった。


「よく眠っているけど、起きてると元気で、好き放題に動いて喋って、我が儘も言ってくれるの。

 そんなの初めてで、貴重だから楽しんでいるわ」

察したエーデリリィが微笑んだ。


「じゃあ僕達も休憩時間にして遊んであげる?」

「そうだね。瞑想させているだけだからね」


「サンダーリア兄様には俺から伝えておく。

 午前中は休んでおけ」

フッと笑ったダンデライラは瞬移した。


「あら……それなら私は死司域に行ってくるわね。

 マディアをお願いね」

エーデラークになって瞬移した。



「どういうこと?」「さあね」「エーデは?」

「あっ、泣かない泣かないの~♪」ポ~ン♪


マディアは飛ばずに落ちてきた。

「も~いっかい♪」「いいよ~♪」ポ~ン♪


ティングレイスがラナキュラスの指をクイクイ。

「グレイもなの?」「うん♪」コクン♪


「じゃあ投げっこね♪」「そうだね」クスッ♪



―・―*―・―



「それじゃ最初の狐神(キツネ)便、出発ねっ♪」

「どうしてチャムが仕切ってるの!?」慌てて来た。

「父ちゃまから任せてもらったのよ♪

 行ってらっしゃ~い♪」

「兄様姉様! よろしくお願い致します!」


キツネの社から神世へと運ぶ物や神達を連れて、ガイアルフの孫達が術移した。


「チャムはガイアルフ様の孫の中でも末っ子なんだから少しは考えて――」

「次の便でお願いしたいのだけれど?」

猫神達が集まりつつあった。


「すぐ戻りますからお待ちくださ~い♪」


「それじゃあ運賃の治癒神力玉(ポイント)ね」神数分よ♪


「は~い♪ ありがとうございま~す♪

 行き先はマヌルの里ですか?」


「そうね。まずは人世魂を自由にしてあげないとね。

 猫の里は近いから、後は好きに帰るわね」


「は~い♪ 復興のご協力もお願いしま~す♪」


「ええ。また人世に来たくなったら どうすれば?」


「現世の門に居る狐神に言ってください♪

 出払ってたら柱の狐印に話しかけてくださいねっ♪」

「チャム、次か?」

「は~いミルオクス兄ちゃま♪

 マヌルの里で~す♪」


「ふむ。背でも尾でも触れてもらいたい」


「では失礼しますね」


3代なので随分と上の兄ミルオクスは猫の女神達を連れて術移した。



「チャムは暫く此処の係なんだね?

 僕は死司に戻るからね」


「さみしい? エィムったら、さみしいのね♪

 でも10日くらいは――エィム!?」


いつまでも喋り続けそうなチャムに呆れたエィムは術移していた。


「また恥ずかしがっちゃったのね♪」







笛の音は遥か過去の記憶を呼び覚まし、女神達の想いも当時のままに引き戻してしまいました。

罪つくりなアオですよねぇ。


それはそうと、何もかもが少しずつ前進しています。

神世も人世も、元よりも良くしようと多くの者が動いています。


マディアとティングレイスも、もうすぐ元に戻れるでしょう。



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