花咲き誇るピュアリラの樹
彩桜達がマヌルの里の指定された部屋に行くと、ザブダクルとダグラナタンに説明していたアミュラが慌てて姿を消した。
「アミュラ、時の流れは知っています。
隠れなくてもよいのですよ」
渋々姿を見せた。
「今は全体を把握するために動いていますが、私とお姉様は人世にて保護していただいている魂頭部を目覚めさせることに専念します。
こちらの方々はアミュラに任せてもよいのですね?」
「はい。妹達を見つけられれば加速が叶うとは思うのですが……」
「そうですね……」視線は青生と彩桜に。
【雲地と風雪の下?】【俺も そう思うよ】
「では「お任せください」」
「この下にも……参りましょう」
「はい。ではアミュラ様、欠片状態の獣神様も順次お連れしますので
「お願い致します」」
丁寧に礼をし、ラファイナとピュアリラを連れて瞬移した。
「誰が手を止めてもいいと言ったんだい?」
ダグラナタンは手を止めずに真剣に同じ獣神を探していたが、ザブダクルは止めて聞いていた。
慌てて作業に戻る。
「誰なのか気になってるんだね?
アタシの母と伯母だよ。
伯母の名は残っちゃいないけどねぇ」
ダグラナタンが驚き顔を向けた。
「ピュアリラ様、なのですね?」「えっ!?」
ザブダクルはピンときていなかったようだ。
「その通りだよ。月で生きていたんだ。
復活したばかりなんだよ。
今、ただでさえ混乱している神世なんかに姿を見せたら大騒ぎになっちまうから、人世で復興を支えてくれるようだねぇ。
オーガンディオーネとオーロザウラが仕出かした酷いものが人世に集まってるからねぇ」
―◦―
彩桜達はマヌルヌヌに挨拶した後、地下のピュアリラ大聖堂に来ていた。
現状が現状なだけに誰も来ていないのは、騒ぎにならなかった分だけでも良かったと青生と彩桜は思った。
「そうですか。私の樹は……」
悲し気に樹を保護している像に手を当てた。
「樹に繋がる雲間にも転送していますが、元の位置に戻さなければ雲間は現れません。
移す前に、枝に隠れていらっしゃいます方々を説得いたします」
ピュアリラはラファイナと頷き合うと、一緒に像の中に入った。
―◦―
ランマーヤはピュアリラが見つかったとラピスリに話したかったが、それを言えば彩桜と話したとバレて青生に会えないイライラが募るだろうと、話せないままに今カミュラとして付き添っていた。
「ま~ったく! 都だけじゃなく全ての街や村までもが潰されちまってるんだ。
今ピュアリラの大きな神力は貴重なんだから邪魔をするでないよ!
役に立てないのなら、せめてサッサと避難所に行っとくれ!
避難所は城壁の正門を出てすぐだよ!」
現れたアミュラが拝みまくっていた人神達を散らしてくれた。
「ラピスリ、ルサンティーナを頼むよ。
赤子は神王殿に預けたからねぇ」
「はい、ありがとうございます」
去って行く人神達を見つつ。
「もう囲まれないように上手く隠しなよ。
龍狐神ってだけでもラピスリ程の美神は目立っちまうからねぇ。
ユーレイ嬢ちゃんも張り切って蓋上げしとくれ」
「はい♪」響が姿を見せた。
「アタシは戻るからね」術移。
「隠れていたのか?」
「あの状態、出るのムリですよ~」
「確かにな。では、この班で動こう」
「「「はい」♪」」
―◦―
ピュアリラ達を待つ間にと、彩桜はソラに会いに行った。
ソラはイーラスタと話していた。
「あ、彩桜も入ってもらえる?」
「ほえ???」
「サイオンジ達みたいにユーレイと神様とで組んで作業するべきだと思うんだ」
「うんうん。でも俺、人世なんだよね~。
ソラ兄にお願いあって来たの~。
コッチ神様のも人世から応援来て獣神様とユーレイ増えたら、アッチ神様も出してもらいたいの~」
「確かに それも必要だよね。
ボク達が中途にしてしまったから」
「ありがとソラ兄♪
今 応援ねぇ、イーリスタ様 呼んじゃう~♪
待っててねっ♪」瞬移♪
――神王殿の月の道を通って月。
【イーリスタ様~♪】
【彩桜? ど~したの?】
【神世、手伝ってく~ださい♪】
【今、鏡を探してるんだよね~。
ソレ見つけてからね~】
【ん?】術移――【ん~~~コレ?】
物の山に掌握を突っ込んで抜き出した。
【そんな簡単に見つかるの!?】
【通路鏡さん♪ 『僕だよ~♪』言ったの♪
うんうん、設定済みだから通るだけだって♪】
【何の設定?】
【出口♪
そっか~♪ ブルー様、最初は飛ばされて来ちゃったんだ~♪ 帰り道ねっ♪
俺達、通っちゃダメだねぇ。
うんうん、またブルー様が来て設定し直すお約束なんだねっ♪ そっか~♪
じゃあ待つねっ♪】
【彩桜だけ自由にお喋り? ど~なってるの?】
【えっとねぇ、たぶん闇障 通じてる?
鏡さん、魔宝で闇持ちじゃないとダメ言ってるの。
飛ばされて来ちゃうブルー様に『鏡 通って帰ってね』て、赤い鳳凰神様に言ってもらいたいんだって~♪】
【それはアオから手紙が入ってたから知ってるよ♪
彩桜って不思議で凄いね♪】
鏡を羽毛の中に仕舞った。
【えへへ~♪ 神世、行ける?】
【行こっ♪
お嫁ちゃん達~♪ 一緒に行こ~♪】
【【うんっ♪】】現れた。
――もう一度ソラの所。
「じゃあ頑張ってく~ださい♪」瞬移して術移♪
――地下大聖堂。
【青生兄どぉ?】
【うん。魂頭部様を上に運び終えたところ。
ピュアリラ様の樹を移植しよう】
【うんっ♪】
ラファイナとピュアリラが像に手を当てて唱え、樹を出した。
「コッチも桜だ~♪」
「私の樹も、アミュラの樹もブルー様からいただいた種を育てたものです」
「そっか~♪ いつでもお花見できるから黒瑯兄にお団子 作ってもらお~♪」
「そう楽しんでいただけるのは嬉しく思います。
では参りましょう」
青生と彩桜も幹に手を当てて術移した。
―・―*―・―
稲荷山の仮職域ではロークス ラナクス ハーリィが保護していた欠片持ち人魂と話し、神世の復興を手伝ってもらえると話が着くとユーレイ化していた。
欠片を取り出し、同等神力と置き換えるのはチャリル タオファ プラムがしていた。
【ハーリィ様、お呼びですか?】
【ミュムに頼みがあってな。
このユーレイ達を下空の職域に導き、神世に慣らしつつ瞑想させてもらいたい。
基礎からの指導も頼む。
多いのでエィムやリリムも共に】
【修行場所は保魂域の奥でいいだろう】
【はい♪】
―・―*―・―
ピュアリラの樹を移植し終え、見上げていると現世の門が騒がしくなった。
「あれれ? ユーレイさんい~っぱい♪
あ♪ 死神師匠~♪」
【ユーレイ達が驚くから、その呼び方は やめて】
【聞こえたんだ~♪】けっこう離れている。
【今日は真っ白服? どしたの?】
【蓋上げユーレイを増やさないといけないからね。
今は死司神をしていないから。それだけ】
【そっか~♪】
【その樹は?】
【コッチ、ピュアリラ様の樹♪
アッチ、アミュラ様の樹♪】
【戻ったんだ……】
【知ってた?】
【地下大聖堂の像の中に隠されてたよね】
【うんうん♪ これからは此処なの~♪
み~んなでお花見するの~♪】
【それはいいね】ふ♪
【もっと笑わにゃいと~♪
エィム師匠、優し~んだから~♪】
【あのね――】ミュムとチャムが大笑い。
【そうだよ。神が笑うと良い事を引き寄せるんだからね♪】
【父様まで……】クスッ♪
【陽気は正義~♪ 頑張ってく~ださい♪】
【それは当然、頑張るよ。
ああそうだ。小動物神様と恐竜達は?】
【も~少しだけ仮の里と放牧場♪
午後の演奏会の後で雲地調査♪
修復は明日からなの~♪】
【そう。雲地までは手が回らないからお願い。
小動物神様を運んでもよくなったら知らせて。
鍵は父様がお持ちですよね?】
【うん、イーラスタ様から預かっているよ】
【ではお願いしますね。あ――】
樹の間を通り抜けようとして初めて女神達が見えた。
【――樹の聖神様……?】
【うんうん、そぉなの~♪】
【永遠の樹は明るい未来への道標だからね】
【そうですね】微笑んで通り過ぎた。
ユーレイ達に手を振って見送り、最後に昇ったリリムが浄化の門の向こうに見えなくなると、青生と彩桜は神王殿に行かなければならない時間になっていた。
「では、その間に雲間を引き寄せておきます」
「神楽器の奏音は人世にも届きます。
楽しみにしていますね」
「心を込めて演奏します♪」
「では夕刻には戻りますので」
青生と彩桜は神王殿へと瞬移した。
―◦―
【あ♪ 叔母様、サクラとお兄様達の音色♪】
【そうだな。
これで少しは人神達も落ち着くだろう】
【青生お兄様に会いたくないの?】
【今は……各々が与えられた仕事を全うせねばならぬ時だ。
だがランマーヤは会いに行けばよい】
【叔母様も一緒に♪】
【私は青生の邪魔をしたくはない】
【頑固なんだからぁ】
【その通りだな】苦笑。
ピュアリラの樹が元の場所に戻っただけでも下空はより良くなったと職神達は思うでしょう。
それは良かったのですが、会えなくて無理している青生と瑠璃が心配です。




