表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/50

マーズは人世で復興



 夏の早い陽の出と共に輝竜兄弟はマーズとしての活動に加わった。


【どして資材? 復元しないの?】

桜マーズと紗蘭は東京に来ていた。


【希望を聞いてから復元するか建てるかになるんだよ~ん♪】

弾んでいるのは神マーズなガネーシャだ。


【そっか~♪】一緒に弾む♪


【無事に残ってる建物は~、唐突な地震話でもマーズを追い返さずに耐震装置を埋め込ませてくれた人のだよ~ん♪】


【大変だった?】更地なってるトコ多いねぇ。


【ど~しても弱禍がね~。

 マーズの姿した押し売り扱いなんだよね~。

 お金なんて要らないのにね~】


【コソッと埋めるのは?】


【家の真ん中に埋めたくて~ねっ。

 真上から押し込むタイプだから~。

 仕方なく庭とか道とかに埋めたトコ~】指した。


【そっか。耐震装置に近い側しか残らないんだ】


【あ~ゆ~のも、持ち主に決めてもらってからなんだよね~】


【ガネーちゃ師匠、何処 行くの?】


【見せたから~、ボク達は空港♪

 昨日から港とか駅とかを直してるんだよ~♪

 キャンプ~が待ってるからね~♪】連れて瞬移♪



―◦―



「宮東先生、また屋上だったんですね」

家西が駆け寄った。


「日々変わっていくのを撮っておきたくてね」


「今日は動いていませんね」


「渡音港が夜の間に修復されたみたいだよ。

 民家は住む人の意見を聞いてからだと昨日の放送で言ってたね」


「マーズには、どこまで見えていたんでしょうね」


「この病院に耐震装置を持って来た時、明日かもしれないし10年後かもしれないけど備えておくに越した事はないと言っていたよ。

 地星規模だと100年でも誤差範囲だからね。

 いつとは言えないけど近い、くらいだろうね」


「そうですか。

 マーズ、これからどうするんでしょう。

 音楽を続けてくれるんでしょうか……」


「マーズが地震を起こしたとかって意見?」


「はい。多いらしいんです。

 患者さんからも聞かれて……」


「僕も聞かれたけど、有り得ないと笑い飛ばしたよ。

 まずは僕達が信じないとね」


「ですよね!」



―◦―



 とある避難所。


「マーズは地震なんて起こさない!

 そんなの言うならマーズの代わりに復興活動しろよな!」


「地震が起こらなかったら復興も必要なかったんだ!

 起こしたんだから直すのが当然だろ!

 マーズがやればいい!」


「だから! そもそもマーズは地震なんて起こしてない!」

「そうだなぁ、流石に地震を起こすなんてのは忍者にも無理だ。

 止めるのも無理だった。忍者も人だからなぁ。

 感知だけはしたが、それでも近いってだけだった。残念ながらな。

 世界規模だとも、こんなにも大きな揺れだとも感知できなかった。

 悪かったな。不自由させちまって」


「銀マーズ……マーズは悪くないのに……」


「次なんて起こってほしくないけどなぁ、修行するよ。

 もっと高精度な感知やら、阻止やらが出来るようになりたいからな」


「そんな……音楽は?」


「俺達が起こしたと信じてるのは彼だけじゃねぇんだよ。

 忍者としては音楽より防災だよなぁ。

 だから考え中だ。

 で、話してる場合でもないんだ。

 もう行くが喧嘩するなよ」


テレビやライブでの快活さが感じられない銀マーズは忍者移動した。



「銀マーズ……」



―◦―



「建物は無事でしたから滑走路と折れてた飛行機は復元しました♪

 滑走路下にも必要数の耐震装置を埋めました♪

 事前に揃わなくて ごめんなさい」


「そんな……マーズが地震を起こしたとか言われているのを気にしているのかな?

 言っているのは ごく一部だよ。

 大多数は感謝しかないよ。ありがとう」


「ありがとございます。頑張ります♪」




 そう言って空港を後にしたものの、桜マーズも考え込んでいた。


【彩桜、次はボク達だけで行くよ。

 不穏いっぱい拾知しちゃったんでしょ。

 兄弟集まって話してみたら?】


【ありがとガネーちゃ師匠。そぉしてみる】


【あ♪ 神楽器(しんがっき)

 神王殿なら揃ってるハズだよ♪

 アレなら心に直接 響くから~♪

 音神マーズが奏でたら地星中に響くよ♪

 人世だけじゃなく神世にもねっ♪】


【行ってみる! ありがとガネーちゃ師匠♪】

【サクラ、乗って♪】【ランありがと♪】



――現世の門から神王殿へ。

「王妃様~♪ 神楽器、貸してく~ださい♪」


「え? 宰相様、ありますか?」


「御座いますとも。

 今チェリー様、今カミュラ様。どうぞ此方に」



 案内された倉庫でチューニングしながら試しに奏でてみた。


【凄い……地下からの不穏が消えてく!♪】


【俺だけでコレなら……ぜ~んぶ借りて行こ♪】


【うん♪ 先にユーロンに聴かせてもらえる?】


【ユーロンどしたの? 飛鳥もだけど】


【飛鳥はユーロンに浄治癒してるだけ。

 ユーロンはユーレイだから……】


【そっか。オトナから不穏 浴びちゃった?

 耐震装置 配ってる間に、だよね?

 消すからねっ】

彩桜が神楽器を全て保護珠に込めると、ランマーヤは抱き着いて術移した。



――現世の門 経由、山の社。

【姉様、ユーロンが目覚めなくて……】


【サファーナ、浄治癒を少しだけ強めて。

 私、再生を発動するから】【うん!】

ランマーヤは鱗を緑に変えた。


彩桜はバイオリン型の神楽器を奏で始めた。



―◦―



 北渡音避難所(アウトレットパーク)では、各戸の代表者を集めての説明会が開かれていた。

総責任者になった順志が世帯主の氏名を読み上げ、サポートスタッフが再建申請用紙を渡して、全て配り終えたところだった。


「用紙には住所と世帯主氏名が記載されています。

 まずは誤りがないかをご確認ください。

 借家、賃貸物件に関しては持ち主の方にご記入いただきますので、この後、話し合いをお願いいたします。

 社屋、店舗等に関しましては、一般住宅の後で説明いたしますのでお待ちください。

 誤記がありましたら挙手をお願いいたします」


誰も挙げていないので続けた。

「今回の大災害は世界規模、世界中で起こりました。

 ですが、どの国の機関、観測所や研究所等も予測できていませんでした。

 忍者達だけが感知したのです。

 その為に公には動けず、地星規模の『近い』が本当に直ぐなのか数年後なのかも、場所も特定できずに動かざるを得なかったそうです。


 僕としては、場所が特定できなかったのは世界中だったからだと思います。

 忍者は確かに普通の人ではありません。

 鍛え上げた人です。

 ですが、それでも、地星を丸ごと揺らすなんて不可能だと思います。

 変な噂が走り回っていますが、事実無根。

 根も葉もない、暴言だと思います。

 そんな誹謗中傷があっても地星中を元通りにと動いている忍者達に、ご意見がございましたら、どうぞ」


近くの者と顔を寄せて小声で ざわざわするばかり。


そんな中で手が挙がった。


「どうぞ」


角圭(すみよし)と言います。

 両親を事故で失い、直後の高校受験にも失敗してグレてました。

 親戚の家に厄介になるのも嫌だって理由で世帯主です。

 そんな俺に手を差し伸べてくれたのは輝竜さんとマーズでした。

 他の誰も手どころか見て見ぬふりだったのに。

 俺はマーズを信じてます。

 コソコソ言うくらいならハッキリ言えよな。

 言いたいのは それだけです」


次々と手が挙がり、頷き合って一斉に立った。

「マーズが出入りしている輝竜さん宅の近くに住んでいる者です」

と言ったのは順志の父だった。


「続きは私から」とタカさん。

「今年度の百合谷東町の婦人会長、紺堂(こんどう)です。

 地震の数日前からチビッ子マーズが耐震装置を埋めさせてと回っていたはず。

 それなのに追い返したんじゃないの?

 それで疑うってアリ?

 どれだけ心が濁ってるのよ」

「そうね。チビッ子達、5歳らしいわよ。

 一生懸命、説得しようと頑張ってたから回りきれなかったんじゃない?

 そのオレンジの印、回れなかった地区じゃないの?」

前年度の婦人会長、雅美(みやび)が続けた。


「はい。右肩のマーカーは再建優先地区の皆様です。

 マーズが指定したのではありません。

 マーズは分け隔てなくと手紙を添えていましたが、中渡音市内の建築関連業者で話し合って決めました。

『分け隔てなく』は、追い返した方も被災者ですので後回しにせず、という意味でしょうが、マーズファンとしては感情的に そうは割りきれませんので。


 中渡音はマーズがホームだと言ってくれている地です。

 それもあって建築関連業者は満場一致で そう決めました」


「どうやって判定を?」

順志の目の前の男性が首を傾げた。

その前の紙にはマーカー印が無かった。


「緊急連絡番号に掛けてチビッ子マーズをとお願いしました。

 来てくれたのは赤の紗蘭君だけでした。

 紗蘭君も護りきれなかったと泣いていました。

 他の2人は、と尋ねても首を横に振っただけで答えてくれませんでした。

 勝手な想像ですが、傷ついて来たくなかったのではないかと。

 社屋等の建物についての説明を後回しにしたのも同じ理由ですが、チビッ子達に言った言葉を貴殿方のお子さんやお孫さんが、しかも幼い時に言われたらと想像してください。


 再建助成金もマーズからです。

 よくお考えになって、ご記入ください」


「脅すのか!」

怒声と共にガタッと何人かが立ち上がった。


「ご不満でしたら他所に依頼してください。

 世界中の建築業者が手一杯ですが。


 では、住居判定が合格の皆様には、ご帰宅の準備をお願いいたします。

 渋滞を避ける為、順次ご案内いたしますのでお部屋での待機をお願いいたします」


「なんだか反省もせずに騒がしいけど、それなら他人を頼らずに自力で大工して建てたらいいじゃないの?

 幼い子供を詐欺師扱いするなんて、大人として あり得ないわよねぇ」


その声で次第に静まっていくが不満顔だ。


それは感じているが、合格判定を貰った人々が立ち上がる。


順志はドアを開けに行ったが、なんだか視線がバチバチだと溜め息が零れそうになった。

その時、教室で言えば黒板の位置の大型モニターが勝手にオンになった。

映し出されたのは弦楽器を構えて並ぶ忍者達だった。


皆が驚いて息を呑む。


この場のギスギスした空気を知っているかのような優しい音色が流れ出した。







神世の復興はユーレイと神様にお任せして人世に戻ってみれば~です。

邦和だけは大丈夫だろうと思っていたのに、邦和だけが不穏渦巻く状態になっていたんです。


他国ではエルサムの奇跡で平和の象徴なマーズですが、忍者の国な邦和だけ……

輝竜兄弟としては気持ちが沈んでしまう状況です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ