復興の前に現状把握
【エィム♪ 私達も降りましょ♪】
【そうだね。復興は これからだけど災厄は終わったからね】
【ねぇエィム。
ドラグーナ父ちゃま、共鳴 弱くなかった?
弱かったよね?】
【うん、眠っていたからね。
代わりをしていたのは青生父様だよ。
マディア兄様が消滅しないように保つので疲れきってしまったんだろうね。
何度も地震を吸収した後だったしね】
【それでも許すの? 許さないとダメなの?】
【許さなければ僕達が魔になってしまうよ。
でも……僕も許せるとしたら、本当に反省したと実感した時になるだろうけどね。
人世の現状も知らないだろうし、マディア兄様に何をしたのか理解してなさそうだからね】
【そうよねっ! 私だって どこまでバカなのって思うくらいだもん!】
【チャムに言われるなんてね……】苦笑。
エィムとチャムが話していると、ドラグーナ達を連れたラピスリとオフォクス達が術移した。
【父ちゃま追いかけましょ♪】
エィムと手を繋いで術移した。
――現世の門前、職域側。
ダグラナタンとザブダクルが門から神力射エリアに投げ落とされ、神力を振り絞って神力射を消し始めた。
【これで自由に行ったり来たりね♪】
【そうだね。感慨深いね……】
神力射と結界やらが消えた空を確かめながら飛び、笑顔で振り返って現世の門を見上げた。
【まだ死司神するの?】
【潜入は終わりだけど……続けようかな】【うん♪】
【どうして喜んでるの?】【エィムと一緒だから♪】
エィムがフイッと外方向いた。
【また真っ赤っか~♪】狐印のジュ~ツイ♪
――キツネの社の庭。
「ほら早く謝罪しなさいよね。
こんなにも皆様が喜ぶくらい苦しめたの。
自覚しなさいよね」
オフォクスの背から降りた響が、ふらふらな元ナターダグラル達を引っ張り降ろす。
「響ちゃん♪ ・・・誰?」
囲みの後ろの方に居たのもあり、現世の門でも遠目だったのもあり、これまでとの態度の違いの大きさも大ありで、チャムが首を傾げた。
「ナターダグラルしてた神様♪
前期のダグラナタンと後期のザブダクル。
反省してるみたいだけど、やった事は確かに悪い事なんだから、ちゃんと謝って、それから一緒に復興活動しないとねっ♪」
「ふぅん……。
モグちゃんイジメたのもアナタ達なのね~」ここぞとばかりに じと~。
元ナターダグラル達、後退る。
「それじゃシッカリ謝ってねっ♪
キツネ様、私は結界の方に行きますのでナターダグラル達お願いします。
ヨシさ~ん! 手伝って~!
トシ兄は来なくていいのっ!」
響と寿は瞬移した。トシが龍になって飛ぶ。
「エィムとリグ兄ちゃまにも禍 浴びせてくれたわよね」まだまだ じと~。
「そ、それ、は……」
「集まってる皆さんに謝ったら、次は人世の現状を見せてあげる。
父ちゃま、必要でしょ? 必要よねっ!」
「確かに必要だな。休めるなんぞと思うな」
堕神達に囲まれたダグラナタンも、神マーズ達に囲まれたザブダクルも小さく小さく縮こまった。
―◦―
輝竜兄弟も帰宅した。
ドラグーナはイーラスタと話したかったのだが、マヌルヌヌが近付いていたので逃げたのだった。
「この辺り、ぜ~んぜん倒壊してな~い♪」
居間から神眼で確かめて大喜び。
「紗ちゃん達が頑張って耐震装置を埋めたんだよ」
「そぉなんだ……会いたいにゃ~ん」「サクラ!♪」
視線を落としそうになった彩桜に、現れた紗が抱き着いた。
「ラン……無事で良かったぁ」「トーゼンでしょ♪」
輝竜家の妻達が次々と現れ、夫と抱き合う。
【青生、行こう】【うん、動物達の避難所にね】
手を繋いで瞬移した。
兄達が部屋へと瞬移したが、彩桜と紗は庭に出て夜明けに向かっている星空を見上げた。
【ちゃんと元の位置に戻ったんだ……】
【異界に飛んだって聞いたけど、ホントは何処に飛んじゃってたの?】
【本当に異界。
天竜さん達と魔竜さん達が居る三界星の軌道上だったみたい。
地星とは遠いパラレルワールドなんだって】
【それじゃあ三界星にもサクラが居るの?】
【うん♪
俺ナカのドラグーナ様みたいな桜色の竜で、天竜王子で魔竜王なんだって♪
あ……三界星のランちゃんに会ってない……】
(魔竜女王の虹藍ちゃんは虹色に煌めく深い藍色の鱗だよ。
サクラは『ラン』と呼んでるよ♪)
【え? 誰? 聞こえたよね?】
【うん。チェリー様だよ。異界の龍神様♪
ちゃんとランも居たね♪】
【うん♪ 会ってみたいな~♪】
【きっと会えるよ♪】
【そう信じる♪ あ……】
紗の視線を追うと、狐神達が飛んでいた。
【ザブさんとダグさんが叱られてる?】
【人世グチャグチャなんだからトーゼンよ!】
【ダグさんも? どして?】
―◦―
ダグラナタンは不穏が湧く避難所を見せられて、弱禍の所為だと叱られていた。
「消せぬのか?」オフォクスが神眼で睨む。
「個々に、時間を掛ければ消えるかと。
人魂は弱いので……」
「だったらマーズの音楽の方が早いわね!」
チャムは直接睨む。
「ふむ。で、あろうな」
考えていた通りなのだが溜め息が零れた。
「ならばマーズに任せよう。
ザブダクル、此の有り様を作ったのは其方の禁忌術だ」
「私は人世には何も向けては――」
『俺を時空の彼方に飛ばしたヤツだよ』
声の主を探して振り向くと爽青の龍神がニヤリ。
「あの術も禁忌になってるんだとよ。
つーか、お前の術なんか時代遅れなんだから、全部もう使うな。
俺を飛ばそうとムキになって何度も重ねやがって。
その余波が地星を異界までブッ飛ばした結果が下の惨状だ。
もっと酷かったんだがマーズが ここまでにしたんだよ。
地面は割れて、瓦礫だらけだったんだからな。
割れた程度で済んだのはマディアが大勢の神を人世に逃がしたからだ。
そうじゃなかったら何処とも知れない異界で地星は粉微塵になってたんだからな」
狐が増えた。
「神世が無事だったのは衝撃を雲地が受け止めたからだ。
おかげで雲地の半分が崩落したんだからな。
その無事だった神世までグチャグチャにしやがって。
暫くは休めるなんて思うなよ」
とフィアラグーナとガイアルフが睨んだところに勢いよく銅ピカ龍神。
「ダグラナタン! もう逃がさんからな!」
「あ~、ウンディ。仕置きはオフォクスに任せて人世の復興に行かねぇとな。
力仕事だから頼りにしてるぞ」
「おうよ爺様、任せてくれ♪」
「ウンディが……ふたり?」
「ではなく、銅鱗がウンディ、青鱗はウンディの祖父フィアラグーナ様だ。
ザブダクルが飛ばしたのはフィアラグーナ様。
別神を誤解して飛ばした結果が――」
下を指した。
「……申し訳ございません……」
「少しは理解した様だな。神世に戻る」術移。
他の狐神達もオフォクスを追った。
―◦―
【ま~だ理解半分? 未満?
も少し後で話さないとね~】
【次は私も一緒ね♪】
【ん♪ 一緒に行こ~ねっ♪】
―・―*―・―
今度は神世の上空を飛ぶ。
「ザブダクル、何がしたかったのだ?」
「それは……」
「神世に封じられて孤独に生きたかったのだな」フン。
「そのようなっ」
「全てを破壊し、神を滅し終えた頃にはマディアは消滅していたであろう。
月への道も其方が破壊しておる。
人世から神が昇れぬ様にと神力射を凶悪化したのであろうが、儂等とてマディアが消えてしまったならば、ただ見てはおらず人世にも降りられぬ様にした。
八方塞がりなのは其方だ」
「マディアが……消滅……?」
「分からぬのならば復興を終えた時、同等の事をしてやろう。
ユーレイ達も戻っておる。
救出と復興を始める」
「救出?」
「マディアは其方の支配には従わず、人神達を全て地下に逃がしておったのだ。
其方は邪魔となる者を封じ、押し潰すつもりであったろうがな。
獣神を従えようとするなんぞ愚の骨頂だ。
二度と考えるでない」
呆然としているザブダクルには構わずに王都へと降下した。
「やっと来た! 早く建物を元に戻して!」
「救出は?」
「アンタには見えも触れもできないわよ!
神様なんだから建物を戻すのなんか簡単なんでしょっ!
だから滅茶苦茶に壊したんでしょっ!
さっさと始めなさい!!」
響の最初の言葉で走ったダグラナタンをザブダクルも追った。
「遅い!」
逃げて走ってダグラナタンと並ぶ。
〈別の建物をお願いします。
私の場合は自業自得ではありますが、一纏めにされるのは嫌ですので〉
何故と問い掛ける前に遮られた。
〈その身体は私の過去。
思い出したくもない過去です。
不要物ですので差し上げますが、見るのも嫌なのです〉
ようやく理解したザブダクルはダグラナタンから離れた。
何故こんな事をしてしまったのだろうと悔やみながら。
「あのね、後悔は必要だとは思うけど、今は集中しなさいよね。
失敗して建物が崩れたら押し潰されるわよ」
響が後ろを通り過ぎた。
「この区画が終わったら休憩させてあげる。
効率が悪すぎるから」
振り向かずに どんどん離れて行く。
言葉を反芻して、
「実は優しい、のか?」
首を傾げる、まだまだなザブダクルだった。
まだまだダメダメなザブダクルでした。
もう呪もありませんし、オーロザウラも入っていません。なのに~です。
もしかしてオーロザウラが噛っていたから考える力が足りなくなった?
何にせよ前途多難なのは確定です。
これから今チェリーが苦労しそうです。




