神世でも忍者な輝竜兄弟
〈ね、ルサンティーナ様。
広間に戻って懺悔を聞かない?
ダグラナタンさんのが終わって、ザブダクルさんのが始まるよ。
姿を消してたらいいと思うよ〉
ルサンティーナの表層に浮かんだ支配や呪の残滓を消したモグが、少し躊躇いつつ言った。
〈そうね……そうするべきね。
近づきたくはなくても聞かなければ……〉
〈案内は任せて♪〉連れて瞬移した。
―◦―
滝と森を解呪し、人神の住処から禍が転送される口と、月へと転送する口を強化したドラグーナ偽装の青生と輝竜兄弟とラピスリは、龍神達を囲んで神王殿に戻った。
【さっきまでモグ、此処に居た?】
【そうみたいだね。ルサンティーナ様も】
【今は広間だねぇ】
【そうだね。始めよう】
「皆、月への道を成すから神力の支えをお願いね」
「はい!」一斉。
「ですが父様、月の門ではなく?」
「向こうにも作るけどね。
今は風雪と灼熱だから、先に此方にね。
此方の地の中心は神王殿だからね」
【イーリスタ様、よろしいですか?】
〖ソッチにも真四獣神様の気が残ってるから大丈夫だよ~ん♪〗
【そうでしたね】
「さっきも使ったから分かっただろうけど、もう、獣神の術は禁忌じゃない。
神として正しく使う。それだけが掟だよ。
だから皆で力を合わせて、一気に月への道を作るよ。
神王殿には真四獣神様の痕跡が在るからね」
「はい!♪」一斉♪
「月に行ったら古の方々を解放してあげようね」
「はい!♪」父と一緒が楽しくて仕方ない。
青生なのだが。
【真四獣神様、イーリスタ様。
其方側、宜しくお願い致します】
〖まっかせて~♪〗
―・―*―・―
人世では神マーズ達の活躍で、神世より早く復興に向けて踏み出していた。
地面の亀裂や段差は元に戻り、瓦礫は建築資材に戻っていた。
「順志お兄さん早く! マーズが出てるから!」
祐斗に続いて避難所のスタッフ室に順志が入ると、テレビ画面には音楽ユニットのマーズの他に、前列には神マーズが数人と最上段には腰帯を首に巻いているマーズも、雛壇に並んでいた。
銀マーズがマイクを持っている。
『ここまでは流派総出で戻しましたが、何しろ世界中ですから、ここからは一般の方にもご協力頂きたいのです。
地面は戻しましたがアスファルトの敷き直しとか、建築資材には戻しましたが建築そのものとかは、土木建築に関わるお仕事をなさっている方々を中心に、そうでない方々にもお手伝い頂いて修復や建築をお願いしたいのです』
司会進行は、いつもの通り見田井だ。
『そうですね、世界中ですからね。
マーズを邦和だけに縛れる状況ではありませんし、ここからは地域毎などの集まりで決めてもらいたいところですよね』
今度は青マーズがマイクを持つ。
『それでも人手は足りないでしょう。
ですから元通りに復元するだけという事でしたらマーズがさせて頂きます』
『朱里城のように?』
『はい。順番待ちにはなりますが、それは建築するのも同じです。
以前のままで構わない方々限定にはなりますが、申込書は同じですので、よくお考えになって選んでください』
『申込書は役所から避難所へ明日以降、順次配布されるそうです。
先着順ではありませんので期限内にどうぞ。
それで、音楽活動の方は?
癒しも必要なのですが、無理でしょうか?』
『現状では厳しいかと。
ですが必要に応じて少しは演奏していますよ。
集まるのは難しいのでソロ、または少人数アンサンブルですけど。
これからはフリューゲルやSo-χを運んで音楽を頼みます。
マーズは復興第一という事でお許しください』
『キリュウ兄弟は?』
『一緒にマーズしていますよ』後ろを向く。
腰帯を首に巻いているマーズが面を開けた。
『オーストリアで会ったの~♪』
「彩桜!?」中学生達。
『忍法ムリ目印なの~♪』ヒラヒラ~♪
『今だけと頼んだんですよ。
此方も人手が足りませんので』
『ま、建築業も居るし、歴史的建造物に詳しいのも居るから便利なんだよ。
いろいろ博士の集団だからな♪』
「9人だからリーロンさんとサーロンも、なんだね」
「紹介しろと言われてるぞ♪」
「面を開けたね♪」
「やっぱりリーロンさんとサーロンだね♪」
「同じ顔しか居ない……」
順志は堪えていたが吹き出した。
「順志お兄さん、これから本業で忙しくなりますよ?
スタッフシフト考え直さないと」「だよな!」
順志はスマホを出しつつ後ろを向いて
「あっ、社長、テレビ見てますか?
……はい……はい。
それで白久がマーズしてますから――」
打ち合わせを始めた。
テレビの方ではマーズは他の国に行かなければならないからとインタビューが終わり、フリューゲル&マーズの過去映像で番組も終わった。
「元気な彩桜とサーロンが見れて良かったな♪
親に復元でいいと言わねぇとな♪」
「僕も復元がいいから伝えるよ♪」
「そもそも壊れてる?」冷静な凌央。
「だったな♪」「耐震装置で無事だよね♪」
ひとまず解散な中学生達だった。
―◦―
楽屋に入ると狐儀は分身達を仕舞い、神マーズと灰 黄 橙 白と打ち合わせて、各々が持ち場へと瞬移した。
黄緑マーズのメグルとサイトを連れて渡音港に行ったルルクルが首を傾げた。
〈どうかした?〉
〈神様なんですよね?〉〈本物の〉
〈そうだけど?〉何? やっぱり、らしくない?
〈人世は人が復興しないといけないって聞いてたんです〉
〈神世は大丈夫なんですか?〉
〈状況が変わったんだ。
だから今は神が神世に行けないんだよ。
もうすぐ行けるようになると信じてるけどね〉
〈じゃあ期間限定ですか?〉
〈あ! だから一般人の協力も、なんだよ!〉
〈それもあるんだよね。
神世も酷い状態だろうから。
でも協力を求めた理由は それだけじゃなくて、自分達で立ち上がらないと進めないからだよ〉
〈神様って……〉〈深いね……〉
〈僕なんて端くれでしかないよ♪
本音言うと人世が好きなだけ♪
さ、船が動けるようにしないとね♪〉
〈〈はい!〉〉
―・―*―・―
月への道が繋がった途端、イーリスタが来た。
【ちゃんと【【通れた~♪】】】ぴょん♪
【それじゃあ皆は月にお願いね】【はい!♪】
どんどん入って行く。
そして すっかり行ってしまった。
【ね、青生♪ ドラグーナは?】
【寝させてあげてくださいね。
まだ身体には戻れていないんですから】
【そっか~。ザンネン!
じゃあ遊びに行こ~♪】【【うんっ♪】】
やっと解放された青生だった。
―◦―
オフォクスと弟達はマヌルの里に来ていた。
内部は無事だったが、破壊された囲みと門を修復しなければならなかった為だ。
修復が終わり、マヌルヌヌに会いに行くと――
「オフォクスだ♪ マジか♪
トリノクスも元気そーだなっ♪」
――出迎えたのは子猫サイズのマリュースだった。
「今、絶賛 再誕作業中だ♪」
「マリュースがしているのではなく、マリュースもしてもらったのだろう?」
トリノクスがツンツン。
「ま、そーだなっ♪」「やっほ~♪」
「イーリスタ様、月への道が通じたのですね?」
「だから休憩♪
お嫁ちゃん達♪ 懐かしいでしょ♪」
「「うんっ♪」」
「マリュ~ス~♪ ほ~らほら♪」
長い尾羽を持ってススッ、ススッと引く。
見てしまったマリュースが跳びついた。
「ああっ! 動いちまったじゃねぇか!」
「マリュース釣れた~♪
こ~んな反応するのって、子猫ならではだよねっ♪」
「クヤシーッ!」
「あら、いらっしゃい♪
遊んでいるのでしたら手伝っていただけるかしら?
封じられているものを出すのも、魂と神力を合わせるのも、再誕も、とっても多いのよ。
マリュースも、もう大丈夫よね?」
カウベルルに連れて行かれた。
―◦―
輝竜兄弟が少しだけと休憩していると、月に行ったドラグーナの子供達に古の人神が入っている保護珠を解く術や方法を伝え終えた真四獣神が来た。
【呼ばれたんだけど、一緒に行ってもらえるかなぁ~?】
【ドラグーナ様はお休みなんですけど……】
【青生なら十分だよ~】
黄金ドラグーナ偽装のままの青生はニコニコ青龍に連れて行かれてしまった。
兄弟とラピスリが追う。
――広間。
「ドラグーナ、ラピスリ。正面と対面だ。
術はコレだ。頼んだよ。
娘と弟子達、分かってるね?」
「はい!」娘と弟子達、一斉。
行った途端に指名されたのでドラグーナとラピスリが動く。
兄弟は姿を消して青生の後ろに並んだ。
【彩桜、闇が必要だろうから お願いね】【ん♪】
禍やらが噴き出すと聞こえたので。
「他に誰が居るんだい?
モグが言ったろ。
どんな神力だろうが善でも悪でもない。
使い方次第なんだよ」
「は、はいっ」 【うんうん♪】
アミュラから貰った術を確かめ、頷き合った青生と瑠璃が詠唱を始めた。
【アミュラ様ぁ、ドラグーナ様お休み中なのぉ】
【青生なら十分だよ。
ザブじゃあ不十分だから頼んだよ】
【は~い。
参加させる、に意義があるんだよねぇ】
【その通りさね】
ルサンティーナ様の解呪が始まりました。
まだ暫くはドラグーナ様の身代わりな青生も、姿を消して浮かんでいる彩桜も頑張ります。
人知れず(今は人じゃなくて神様かな?)活動するのが忍者ですからね。




