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捕獲作戦



 最果ての岩壁の上に昇った朝陽を感じたのか、禍龍が目を開け、頭を少しだけ上げた。


「マディア……また壊したいのか?」


ザブダクルが乗ると禍龍は瞬移した。



――「現れたな! 目標、悪神! 放て!!」

出た途端、鋭い声が聞こえ、ザブダクルは多方向からの浄破邪に包まれた。


「戻れっ、、マディア!」



――岩壁の上に戻ると禍龍はドサッと伏せて動かなくなった。


「マ、ディア……」


治癒を頼むと言いたかったが、ザブダクルも力尽きた。



―◦―



【リグーリ様っ】

エィムが近くに現れ、飛んで来た。


【マディアには掠めただけだ。

 表面だけでも洗ってやりたくてな】


【カウベルル様のお話もオフォクス様の予想とほぼ同じでした。

 マディア兄様は魂を抜かれて、身体には支配を込められているそうです。

 その支配が禍化して呪を生じ、身体を蝕んでいる……そう、です……】

悔し気に俯いたエィムから滴が落ちた。


【最悪、身体は滅して作り直してもらえばいい。

 再誕という手もある。

 魂さえ生きていれば何とでもなるんだ。

 泣くなエィム。

 封珠を、マディアを奪還しよう】


【はい!】



―・―*―・―



《あ♪ ドラグーナおはよ~♪ だよね?》


《稲荷山は かなり早い朝ですね。

 ですが、おはようございます。

 イーリスタ様、シアンスタ達は?》


《青龍様が鍛え直すって~。

 たぶん今回の対処用にだと思う~》


《道の途中で、、とかでなければいいですよ♪》


《僕の道、そんなポンコツじゃないからぁ》


《そうですよね》くすくす♪


《ヒッドイなぁ》あははっ♪


《ああ、サーブルが龍の里から応援を連れて来ましたね》


《マヌルの里、賑やかだね~♪》《《父様♪》》


《ミルキィとチェリー? どうやって?》


《イーさまが父様の欠片に繋いでくれたの~♪》

《マディアの中の命の欠片♪ 父様の欠片~♪》


《そう。修行も頑張っているんだね》


《《マディアを支えたいから~♪》》


《ありがとう、ミルキィ。

 ありがとう、チェリー》


《《イーさまも父様も、だ~い好き♡

  可愛いマディアも、だ~い好き♪》》



―◦―



 どうにか自力で回復したザブダクルが禍龍から降りると、禍龍も目を開けた。


青い瞳が揺れて涙の滴が落ちた。


「マディア……」


〈からだ、うごかせないの。イタイの。

 どーして? やいたから?〉


「焼いてなんぞ……」


〈だって、まっくろ。イタイの。

 ウロコ、とってもイタイの〉

ポタポタと涙が落ち続ける。

〈ボクうごかしてないの。でも、うごくの。

 うごくとイタイの。とってもイタイの〉


「休んでおればよい」


〈ボクうごかしてないもん。

 うごいちゃうんだもん〉ポロポロ。


「……治癒は?」


〈ジュツちゆ?〉


「何でもよいが……」


〈やってみる~〉唱え始めた。



―◦―



《マ~ディア♪》


〈あれれ?〉


《やっと聞こえた?》


〈きこえた~♪ きょ~めい?〉


《うんうん♪

 ドラグーナじゃないけど父様だよ~♪

 僕はイーリスタ♪》


〈とーさま、どこ?〉


《僕は月でドラグーナは人世なんだよね~》


〈ワザワイタイジ?〉


《そ~そ~。退治するのに出掛けてるんだ~。

 でもお話しできるからねっ♪

 必ず行くから待っててねっ♪》


〈うんっ♪

 あのね、ウロコがね、イタイの。

 ど~したらいいの?〉


《浄化してみた?》


〈ジョーカしてみる~♪〉



―◦―



「マディア!?」


唐突な浄化光に驚いたザブダクルは思わず声を上げて飛び退った。


〈イタイのイタイのバイバ~イ♪〉


「……そうか。試しておるのだな」


フッと瞳の色が変わる。

とたんに悶え苦しみ始めた。


碧色に戻ろうとしていた鱗がまた禍色になった。


「マディア……」


苦しそうにしながらも『乗れ』と伏せる。


「いや、休んでおれ」


グルルルと唸ると、飛ぼうと浮いた。


「ま、待て!」慌てて乗る。


マディアの身体は瞬移した。



――『マディアを返してもらう!!』

誰も居なかった王都上空に複数の声が響き、現れた龍達がマディアとザブダクルを球状に包囲した。


【赤目だ。第二作戦!】

「瞬移は封じた!」「逃がさねぇからな!」


脱出しようと動く禍龍に破邪光が放たれる。


躱し躱して禍龍は包囲網から抜け出た。


そのまま王都を破壊しようと降下する。


「罠だ! マディア戻れ!!」


禍龍は転送口に吸い込まれた。



――強い浄破邪に包まれた。


「縄を!! 敵神を留めよ!!」


暴れる禍龍が何やら破壊したがザブダクルはそれどころではなく、

「マディアは渡さぬ!! マディアだけは!!」

吠えて、縄が達する直前に必死で瞬移した。



――岩壁の上に戻った。

〈サーブルだ~♪ サーブルだよねっ♪〉


「マディア……行こう。

 浄化が効いているうちに」〈うんっ♪〉

マディアの尾にしがみついていたサーブルが顔を上げて、嬉しそうな青い瞳に微笑んだ。


「渡さぬ。

 ルサンティーナから離れたのが、そもそもの間違いだったのだ。

 マディアは儂のものだ。渡さぬぞ!!」


伏せていたザブダクルが身体を起こす。

何故かズルッと上体が少し斜めになった。

〈イターーーイのっ!!〉

思わず背の毛を掴むと溶けるように抜けてしまった。

〔イヤーーーーーーーーッ!!〕

身を捩るマディアに掴まると鱗が滑らかでなく、ザラリと嫌な感触がしてズレてしまった。


〈このからだ、いらない!

 サーブル、めっしてっ!

 イタイのっ!! とってもイタイのっ!!〉


鱗の隙間という隙間から禍色の瘴気が立ち昇る。

その瘴気には粉になった黒鱗の欠片も混ざって舞っていた。


〈サーブルおねがい! はやく!〉

「許さぬ……滅するなんぞと……させるものか!!」

闇球を膨らませてマディアの背に込めた。

「黙れマディア!!」


〔イタイ! ヤメテ! イヤーーーーーッ!!〕


黒い部分だけが粉になり、ボロボロの碧鱗だけは辛うじて残っていたのに、全てが黒化して弾け、鱗を失い、黒く染まった地膚だけとなったマディアの身体は薄れて消えようとしていた。


それすら見えていないのか、ザブダクルは次々と闇球を膨らませては込めている。


〔ボクからワザワイでちゃうからっ!!

 はやくサーブル!!〕


【サーブル浄破邪だ!!】【あっ、はい!!】


兄達が現れ、浄破邪をマディアの身体に集中させた。

あまりの光景に泣いていたサーブルも浄破邪をマディアの身体に放った。


マディアは苦しそうに表情を歪めるが、おとなしく浴びている。


【染み込んだ禍が消えるまでだからねっ!】


〈ん~~~、ガマンだ~いじょ~ぶ~〉


当然ながらザブダクルも浄破邪に包まれている。

マディアに闇球を込めるどころではないが、マディアを置いて逃げもしなかった。


〈きょ~めい、い~っぱい♪〉


鱗を失ったマディアは全く動けないが、その元気な声に、兄達に安堵が拡がる。


【マディア、種鱗だよ!】浄破邪に乗せた。


〈サーブルありがと~♪〉


〖鱗を再生するからね〗〖いっくよ~♪〗


〈と~さま~♪〉【父様!?】兄達一斉。



【敵神を捕縛!! 放て!!】

エィムが率いる中隊がザブダクルの正面に現れ、一斉に神力封じの縄を投じた。


【第2中隊、続け!!】

リグーリも中隊を率いてエィム隊の向かいに現れ、ザブダクルの背後から神力封じの縄を投じる。


エィムの縄の先が網に開いてザブダクルに絡み、他の縄が達して雁字搦めにする。


【皆は浄化を!】【滅してはならぬぞ!】


縄に引かれてザブダクルが浮き上がり、マディアの身体はドラグーナ譲りの浄化色である綺桜色に輝きだした。


〈イタイの、いなくなった~♪〉


マディアの身体が輝きを増すにつれ小さくなっていく。


〖浄破邪に命の欠片を乗せてもらえるかな?〗

〖僕達、遠隔なんだよね~。お願いね~♪〗


【はい!】一斉!


色とりどりの命の欠片が光点となって輝き、浄破邪に乗ってマディアに届いた。

父達の詠唱が美しい碧鱗を成した後、少しずつマディアを成長させていった。







これで暴走魔ザブダクルを捕まえて、マディアを保護できれば災厄を終わらせられますよね。



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