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残っている記憶のままに



 暗くなるまで楽し気に瓦礫を並べていたマディアが、また不意に消えた。


〈マディア? また瓦礫集めか?〉


返事は無い。


 たとえ儂の声が聞こえておっても

 鳴き返すしか出来ぬのであったな。

 捜すとするか。


神眼を瓦礫を拾った街に向けたがマディアは居ない。


仕方なく拡げていると別の街の上をくるくると飛んでいた。


やがて降下し、また瓦礫を集め始めた。



―・―*―・―



「敵神については、こんなモンでいいか?

 そんじゃあサイ。俺の代わりに孫を助けてやってくれ。

 必ず戻ると約束したからな。

 写しだけでなく、俺とも繋がってるんだから存分に神力(チカラ)を使ってくれ」


「任せとけってモンだぁよ。

 そんじゃあキツネ殿よぉ、策を頼むなぁよ」


「うむ。人世から大神が行けぬ今、魔の暴走を止め得る強き大神を神世の地にて集めねばならぬ。

 その為に先ずはマヌルヌヌ様と、禍の滝に居るゴルシャインとに儂からの手紙を渡してもらいたい。


 神王殿には力丸とショウが案内する。

 其処から西の果てに行けばマヌルの里。

 東の果てに行けば禍の滝だ。


 マヌルの里は隠れ里。

 獣神の神眼でなければ見えぬ。

 神力を存分に使い、見付け出せ。


 禍の滝は森に囲まれておる。

 最果て唯一の緑豊かな森だ。

 但し其の森は弱き者を喰らう。

 枝や根が延びて来たならば入るな。


 手紙を渡したならばマヌルヌヌ様またはカウベルル様からと、ゴルシャインから話を聞け。

 此れが1つ目。同時進行で頼む」


「東西、二手(ふたて)になぁ。ふむふむ。

 最果てと言うからにゃあ遠いんだろ?」


「遠い。

 瞬移を使うのならば、敵神に見付からぬ様、小さな神力で小刻みに行え」


「皆、気ィつけるだぁよ。

 バラバラな時に見つかるなぁよぉ」


「はい!」一斉。

「ね、敵神ってクサい?」


「あの悪臭は、支配や操禍(そうか)といった強い神力を持つ者が悪化(あくか)した時に放つ禍隷臭(かれいしゅう)だ。

 現状、敵神は魔化(まか)しておる。

 故に更に強い悪臭を放っておる筈だ。

 犬ならば遠かろうが位置を把握 出来るであろうよ」


「ん♪」「あ~、あのクッサイのかぁ」「……」


「では進める。

 禍の滝に行った者は龍に乗せてもらい、マヌルの里に行け。


 マヌルの里に集結したならば、2つ目だ。

 神王殿の開かずの間から、獣神が封じられておる『水晶』を全て奪還してもらいたい。

 水晶石の置物が如くに見えるが、其等(それら)は全て神力の結晶体だ。

 内の神力に依り形は様々であろう。

 開かずの間は3室。

 力丸、知っておるな?」


「ショウと一緒に入りました!」「うん♪」


「ふむ。頼んだぞ。

 此の1袋でも全ての水晶が入る。

 3室同時に頼む」

麻に見える袋の束を皆に示し、サイオンジに渡した。


「3つ目は、副都の貴神殿(きしんでん)から前王サティアタクスと、前王を護衛兵士4神を助け出してもらいたい。

 貴神殿は力丸とショウが暮らしておった場所。

 また案内を頼む」


「「はい!」♪」


「前王サティアタクスと兵士達は、神王殿の神王ティングレイスの所に頼む」


「連れてって大丈夫なんですかぁ?

 父様の簒奪、前王様は誤解してませんか?

 前王様に成敗されるんじゃないですかぁ?」


「問題無い。

 簒奪したティングレイスは偽者であるとサティアタクスも気付いておる。

 兄弟なのだからな」


「えええっ!?」「そ~なんだ~♪」


「何事も起こらなければ此の順で頼む」


「つまり何事か起こったら、その場で好きに考えろってぇこったぁな?」


「然うだ。サイ、頼んだぞ」


「そりゃあ勿論だがよぉ、チィと練って詰めさせてもらえるかぁ?」


「無論だ。

 響、モグ。其の間に身体から魂を抜く。

 ユーレイとしてで無くば行けぬ故な」


「はい」

「ソラと一緒にユーレイできるのね♪」


「響、嬉しいの?」


「ソラと一緒だから~♪」「そ、そう……」

「キツネ様、俺は?」


「力丸は神ではないか」「そっか♪」

「ラピスリ、響を頼む」「はい。では此方に」



―・―*―・―



 マディアは瓦礫を両手に山にして運んでは、また街に戻るのを繰り返していた。


「マディア、儂ならば一度で運べるが……?」


瓦礫を置いて振り向きはしたが、楽し気に鳴くと、また瞬移してしまった。


そしてまた運んで戻る。


「今は運ぶのが楽しいのか?」


頷いて、今度は飛んで行った。


「楽しいのならば仕方ないか……」

独り言ちて座った。



 次に戻ると、それまでの山とは離して瓦礫を置いて去った。


「何故?」


勝手に触れるとマディアが怒りそうだと神眼を向けると、白い塗料が着いているのは同じだが壁の素材が違っていると見て取れた。


「別の家なのだな……ふむ」


また戻る。


「ピュアリラ様を知っておったのか?」


首を傾げた。


「白い塗料を集めておるだけか?」


少し考えて頷いた。


「もしや! 白い女神だからか!?」


嬉しそうに頷いた。そして瞬移。


 まさか……記憶を消しても尚、

 妻への思いが残っておると言うのか?


 幼くなっておるのも確か。

 それでも妻が恋しいのか……?


 この儂の事なんぞ

 すっかり忘れておると言うのに……。



―◦―



「マディア、そんなに沢山どうするの?」


〈時間稼ぎだよ。

 こうして遊んでれば襲撃させられないだろうと思ってね。

 オジサンも祈ってたくらいだから僕の邪魔しないと思うんだ。


 グレイさんの黒いの、引き込めたけど手間取っちゃったから、浄破邪しないとだし、次を考えないとだからね〉


マディアの魂は浄破邪発動中を示す綺桜色に輝いており、少し重ねているティングレイスの魂に生じた黒いものを浄滅して起こそうとしている。


「すっかり口調が元に戻ったわね♪」

努めて明るく言ってみた。


〈そうなの? でも、やっぱりって感じ。

 エーデとは、こうしてるのが自然な気がしたから変えたんだ♪〉


「嬉しいわ♪」

〈それじゃあ……行ってきます!〉


「「え?」」〈グレイさん?〉


「寝言かしら?」「そうみたいですね……」



―◦―



 ザブダクルがマディアを神眼で追っていると、瓦礫を拾っている街の近くに瞬移して現れた者が見えた。


 何故 王が!?

  ただ座しておれと命じた筈!


 マディアに近付く!?

 こうしては居られるかっ!!



―◦―



〈グレイさん起きて!!〉

「「戻ってグレイ!!」」



―◦―



「そこの龍神様、この街はどうして?

 何があったんですか?」


ティングレイスがマディアに近寄ろうとした目の前にザブダクルが現れた。


「ただ座しておれと命じた筈だ!

 玉座に戻れ!!」


「貴方は何方なんです?

 そんな命令なんて受けてませんし、玉座にだなんて、とんでもありませんよ。

 僕は最果ての滝に向かわなければならないんです」


「マディアに近付くな!

 マディアは儂のものだ!!」


「その龍神様ですか?

 獣神様が人神のものになるなんて考えられません。

 子神様を捕らえて無理矢理に従えているのですね?」


「マディア! 儂が主だと示せ!」


「主だなんて……許せません!」

剣を抜き、一瞬で神力を込めて構えた。


「王は眠っておれ! 若化仙華昇!!」


ぎゃう!! 「龍神様!?」


マディアがティングレイスの盾となっていた。


集めていた瓦礫が散らばり、昇ったばかりの朝陽に白い塗料が煌めく。

それらを追うように、力の抜けたマディアが落ちる。


しかし落ちた音は小さかった。


「縮んだ……? 何をした!?」

剣を振り翳して飛び、途中は瞬移して、愕然としているザブダクルの眼前に迫った。


「禍臭? 滅禍浄破邪!!」「若化仙華昇!!」


双方、術を受けて気を失い、落下した。



―◦―



「マディア!!」「グレイ!!」


どちらの妻も一気に小さくなってしまった夫の魂に命の欠片を込めながら必死に呼び掛けていた。


〈っ……〉「マディア起きて!!」


マディアもティングレイスも必死で抗い、目覚めようとしていると、エーデリリィとユーチャリスは強く感じた。


「死なないでマディア!!」

「目を覚ましてグレイ!!」







意識を失うと残っている記憶のままに動いてしまうのはティングレイスもマディアも同じです。


とうとうティングレイスは特任で禍の滝に向かう前に戻ってしまいました。

マディアにもユーチャリスにも出会っていない、エーデリリィ達の家から離れた直後です。



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