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神力射なんか壊せばいい



 サイオンジから神様を抜くと聞いた響が静かに見ていると、部屋の外が騒がしくなった。


「ほら~♪ やっぱりコッチにもお部屋あった~♪

 ヒビキ居た~♪

 兄様コッチだよ~♪」ワン♪


「ショウ……話せるのね?」


「神に戻りかけ~♪ でも犬がいい♪」

「ったく先に先に行くなっ!」


「力丸も話せるのね♪」


「姉ちゃん達にガッツリ鍛えてもらったからなっ♪」エヘン♪


「それでずっと姿見せなかったのね? モグは?」


「あれれ?」「さっきまで居たんだけどなぁ」

「話せた~♪」駆け込んで来てワン♪


「モグは神様じゃないのよね?」


「写しいっぱいあるんだって~♪

 タォ様が引き出してくれた~♪」


「良かったわね♪」「うんっ♪」

厳つい神達の視線を感じた響が心話に切り換えたので静かになった。



―◦―



「お~いアーマル♪」「起きたのかっ!?」

犬達が通過した後のオモテ(やしろ)に声が響いた。


「んあ? タップリ昼寝して超ゴキゲンだ♪」

エィムに連れ戻された後、アーマルが夢幻治癒眠していたのに普通に目覚めたらしい。

ラピスリの部屋に放置していたのだが、気を消して静かに瞑想していたアーマルが居る部屋に迷わず来てしまったのだった。


「それで何事だ?」


「今日な、ダグラナタンに会ったんだよ」


「何処で!?」


「空を散歩してたら、だ。

 ヤツは真っ黒にコゲたマディアを背負ってたんだよ。

 だからな、急いで助けねぇとだろ」


「確かにな」


「だから先ずは同代を集めたいんだ」



―・―*―・―



〈あ……エーデリリィ姉様……〉


「「グレイ♪」」

ユーチャリスが抱き締めて写した記憶を解いた。


〈あ♪ ユーチャ♪

 僕、また眠ってしまった?〉


「でも大丈夫でしょう?

 私を覚えているのですもの」


〈ちゃんと覚えてるよ♪

 修行の続きをしないと――あ、マディア様。

 いらしてたんですね。治癒を当てますので〉


〈グレイさん? マディアだけでいいってば~〉


〈そうはいかないよ。ん? でも……さっき、眠ってしまう前は……あれ?〉


〈だからマディアだけねっ♪

 じゃなきゃ『お師匠様』って呼んじゃうもんね~♪〉


〈そんなっ。

 烏滸がましくて恥ずかしいからっ〉


〈グレイさん♪ 修行しよ~♪〉


〈そうだね♪〉



(マディアが鱗を剥がれた後、グレイの所に通っていた頃なのね……)


(私達も修行しましょう。

 命の欠片を込め続けながら、封珠から脱せるようにならないといけないのだから。

 出さえすれば、この呪のような術も解いていただけるわ)


(そうですよね!)


ユーチャリスは遥か彼方の外殻を決意を込めて睨んだ。



 エーデリリィはユーチャリスを励ましてはいるが、ティングレイスには600年以上の猶予が残っていても、マディアは200年を切っている筈だという不安が、何度 消しても湧いてしまうのだった。



―・―*―・―



〈ヨーシ抜けたぞ♪

 ガイアルフ、俺は半分よりは多い。

 2/3くらいだ。お前は?〉


〈半分……弱か? ん? (ラナクス)は?〉


〈消えおったな……〉

〈お祖父様、少々お待ちください!〉


〈ふむ。彼奴は保魂だったな?

 ガイアルフの欠片を持っているのでは?〉


〈ふむ〉「お祖父様、これを!」


〈やはりな♪〉〈先に出せよなぁ〉


「詰め込んで運んだ中に見付けたのですが……」


オフォクスが笑いながら手伝って欠片を込めた。


〈フィアラグーナと同じくらいになったぞ♪〉


〈ならば神体を成してみるか♪〉〈だな♪〉


「オフォクス ドラグーナ、手伝お~♪」


「ふむ」「そうですね♪」



―・―*―・―



「マディア、眠くならないの?」


〈眠いの出たら大器に閉じ込めてるよ♪〉


「出るの? どんな感じに?」


〈禍みたく黒い塊がポンッて出るよ。

 ソレね、消えないの。禍なら消せるのに。

 追い出すのも無理なんだよね。

 だから大器に封印♪〉


「大器なのね……」ティングレイスを見た。


〈そっか~。

 グレイさんシッポないから大器もないよね?

 他に入るトコ……いろいろ試してみよ~♪〉


「待って! 試して失敗したら大変だから」


〈でもグレイさんが……〉


「グレイに試してもらいましょう。

 マディアの方法を教えてあげて?」


〈うんっ♪〉

ティングレイスにくっついて話し始めた。



(ユーチャ、大器は?

 私は持っていなくて……)


(私も持っていないのです。

 普通の尾には封印できないのでしょうか?)


(それを試すしかないわね。

 魂のみ、しかも子供なマディアでは命の欠片は成せないのだから)



〈エーデ♪ グレイさんに話したよ♪

 ユーチャ姉様、次で試すから僕ずっとくっついてていい?〉


「もちろんよ。お願いね、マディア」


〈はい♪〉



―・―*―・―



「揃ってるのかよ。置いてくなよな」

と、隠し社にカケルが現れて、また騒がしくなったが、厳つい神達が睨んでいると静かになった。



―◦―



 奔走している同代に会えないかとオモテ社から外に出たアーマルとウンディは、ちょうど戻ったリグーリを捕まえた。


「何だよ? 俺は疲れてるし忙しいんだからな」

朝からずっと白久に化けて元ワル達を率いて土木作業現場に居た。


「大事な話だから耳貸せよな」


「ウンディなんかに貸したら戻らないだろ」


「マジな話なんだって!」「ナニ騒いでるんだ?」

飛んで火に入るオニキスだった。

「そんならオニキスもだ♪」「ナニがっ!?」

馬鹿力の神ウンディに肩を組まれてオニキスは動けなくなった。

「オレは急いでるんだっ!」


「マディアを助けるのは もっと急いでる!」


「そんなら話に乗るぞ!」


「そーこねぇとなっ♪ お♪ フェネギ♪」

「あっ、兄様、響が困ってるぞ!」


「はい? 確かに。では身代わりは私が。

 ですが私が響に偽装するのは嫌でしょうね。

 分身をメイにして参りましょう♪」

なんだかご機嫌で瞬移した。


「どーして行かせたんだよ?」


「マジで行ってもらわねぇと他に音神が居ないからだよ!

 人の不穏も大勢になりゃ厄介なんだからな!」



―・―*―・―



 不意に消えたマディアを捜そうとしてザブダクルが神眼を拡げていると、両手に山盛りの瓦礫を持って戻った。


「マディア? また小さくなったのでは?」


戻って来た事には安堵したが、別の不安が頭を(もた)げた。


気にしていないのか、気付いていないのか、マディアは鼻歌交じりで壁画の修復を再開した。



―・―*―・―



 アーマル達はオニキスの小社に場所を移した。

女神達は支配を解くので忙しくしているので集まったのは男神ばかりだ。


ウンディの話を聞き、リグーリがダグラナタンではなくザブダクルだと訂正して話を進めた。

ロークスはサーブルから聞いた話をした。


「ナンにせよマディアを早く助けねぇとだろ?

 だから考えたんだよ」「ウンディが?」複数。


「頭が足りねぇのは知ってる!

 けど聞いてくれ。だから足してくれ。な?

 敵は人神だ。人神ってのは獣神とは違う術するだろ?

 だから人神に戦ってもらうのもアリだと思うんだ。

 そこそこ使えそうなヤツラがワンサカ居るからな♪」


「神力射は? 凶悪化されたらしいぞ」


「俺とアーマルがブッ壊す。

 アーマルなら遠くから弓矢で壊せる。

 神力射(アッチ)の矢を引きつけるのは俺だ♪」


「そうか。

 馬鹿力の神が囮なら、人神達が束になろうが神力射はウンディを狙うだろうな」

「ウンディなら『もしも』があっても大丈夫だしな♪」

「オレでも射られたけど生きてるからなっ♪」

ハーリィ、リグーリ、オニキス。


「それにしても神力射を壊そうと考えるとは……」

「流石、馬鹿力の神だな」

ロークス、ラナクス。


「では人神部隊を編成し、率いる隊長を選ばねばな」


「隊長はアーマルで俺が副長だろ?」


「ウンディはコッチ戻らねぇと神力射の矢を連れてるんだろーが!」

「全滅させる気かっ!」


「あ~、そ~なるのかぁ」


「どこまでも馬鹿力の神だな」「ったくだよなぁ」


「僕も引き返す側になるだろう。

 だから隊長はリグーリに頼みたい」「俺!?」


「最高司補達は無理だ。

 仮職域を正常に保ち、多くの職神達を纏めなければばならないからな。

 オニキスは現状、人世中の全生物にとっての食の神だ。

 フェネギは戻らないが、音神も人世に必要なのだろう?」


「残ったのが俺かぁ」


「死司神として日々往復していた道だ。

 案内も兼ねて頼む」


「了解。

 ウンディに言われたなら断固お断りだがアーマルに頼まれると断れねぇよなぁ。

 で、副長は?」


「人神の中から選べればよいのだが……少し鍛えてから考えよう」

「よーし! 鍛えるぞ!♪」







だからザブダクル最大の邪魔者がウンディ?


神力射を壊すというのは、術無効の禍に突っ込むと言っているのと同じです。

神力射の矢は獣神力が効かない殺神兵器なんですから。



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