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神世の災厄は終わっていない



「ねぇマディア。

 地下はどうなっているの?」


人神(オジサン)には見えなくしてるけど、獣神(ぼく)には見えるからエーデにも見せてあげる♪〉


 投影が地下に切り替わったらしいが、陽が無いという違いしか感じられなかった。

陽の代わりに光球があちらこちらに浮かんでいるので、神眼が使えなくても不自由は全く無さそうだった。


光球に照らし出されている『空』な天井の広さから、どうやら地下には一瞬で街と同じ広さの空洞を穿ったらしく、家々も破壊する前のままに其処に在った。


人神達は建物に逃げ込んでいたが、もう大丈夫だろうと、外に出たり、窓から身を乗り出したりして無事を確かめていた。


〈降下時間あれば余裕だから~♪

 複製具現化で街まんま作っちゃった♪〉


「やっぱりマディアは凄いわね♪ 素敵♪」


〈えへへ~♪ 僕、頑張る~♪〉



―◦―



「ふむ。人神の気配は完全に消滅したな。

 では次――おい」


踞っているので心配して下に神眼を向けると、壊した家の破片を組み合わせて遊んでいた。


「無邪気……なのだな……」


何やら歌らしい吼え声まで聞こえてきた。


「持ち帰ってもよい。戻るぞ」


瓦礫を両手で掬って浮き上がると、瞬移した。



―・―*―・―



 崩落した下空の残骸である分厚い雲を全て消し終えて社に戻ると、夕陽が沈むところだった。


「ドラグーナ、疲れた? また寝ちゃう?」


「大丈夫ですよ。

 大地震や大津波を吸収しない限りね♪」


「じゃあ約束はまだなんだけど~、会いに行かない?」


「そうですね。地星を元の位置に戻さないといけませんからね」


「ん♪ オフォクスど~する?」


「無茶と暴走を野放しに出来るか」フン。

「だが……」


「どうかしたの?」「何か見ちゃった?」


「神世に目を向けた時に垣間見たのだ」


「じゃあ先にソレしなきゃだね?」ぴょん。

「そうですね。オフォクス話してよ」


「ふむ。今はマディアが身体を制御しておる。

 街を破壊する前に人神達を地下に逃がすのを完璧に成し続けておる。

 しかし……暴走した黒龍が都を破壊するのを見たのだ」


「また暴走ってぇ。

 僕じゃなくてマディアなんだから~、有り得ないでしょ」


「マディアが動かせなくなる、と表現すべきか。

 兎に角、誰ぞ神世に行かねばならぬ。

 止めねばならぬのだ」


「神力射ど~するの?

 他に道、無いんだよね?」


「祓い屋ユーレイから獣神の欠片を抜けば通れるやも……」


「そうだね。

 欠片そのものじゃなくて、写しなら神力は十分だけど、神は不在だよね」


「ソレでも神力なんだから~、射たれるんじゃない?」


「より神力が強い者が居れば先に狙われる。

 囮と潜入部隊とで進み、囮が矢を連れて離れれば、次矢を成す前に通り抜けられるやも……」


「可能性は有るよね。

 じゃあ囮は任せて♪」


「ドラグーナ……」


「ま、囮は神なら誰でもでしょ?

 僕、前にも矢から逃げたし~♪

 それよりユーレイの選定が先じゃない?

 欠片 抜いたりしなきゃだし~」


「確かに。ならばサイを呼ぶ」




 程無くしてサイオンジが現れた。

「ナンだぁよぉ、改まってよぉ」


「近い内に神世は再度、災厄に見舞われる。

 しかし今、神は神世に行けぬのだ」


「つまりオイラ達ユーレイが行きゃあいいんだなぁ?」


「欠片が大きいサイは行けぬ。

 神と同等だからな。

 適任者を選んでもらいたい」


「そんじゃあ……」【おい、俺を引っ張り出せ】


「父様(フィアラグーナ)、そんな簡単に出せと仰られましても――」


【方法は考えたんだよ。

 イーリスタも居るんなら出来る。

 サイが元々持ってたプラティーナは保護珠の中だ。猫の手も俺が腹に持ってる。

 どっちもを後で入った俺が持ったまま出りゃあいいだけの話だ。

 サイが行くのがイチバンだろーがよ♪】


「「確かに……」」「やってみよ~♪」

【ガイアルフ様どこに!?】「わわっ!?」

【来てやったぞ♪】【ヨォ、ガイ♪】

ガイアルフがソラを瞬移させて来た。


「ソラ、大丈夫かな?」「はい。なんとか……」


【フィアラグーナだけ出すとかフェアじゃねぇだろ。俺も出せ】


父様(ガイアルフ)の場合は堕神魂として包まれております故、難しいかと――」


【【ナンとかなるなる♪ 早くしろ】】


「さっすが お師匠様達だぁ~♪

 やってみよ~♪」


「ふむ……」

【ラナクス、手伝ってくれ】【はい父様】


【【それならラピスラズリも呼べ♪】】


【【ラピスリです】よ】息子達、苦笑。


 保魂最高司補なので堕神魂には詳しいラナクスと、何だかんだで呼ばれるラピスリと、ラピスリと話していたらしいエィムが加わって、ガイアルフとフィアラグーナを出す為に、案からの術の組み立てが始まった。



―・―*―・―



 ぎゅ~るる♪


ずっと楽し気に瓦礫を並べていたマディアが完成を喜んでいるらしく軽やかに吼えた。


少し浮いて上をくるくる飛ぶ。

下を指してザブダクルを見た。


「見せてくれるのか?」


ぎゃ~す。


「ならば」

ザブダクルも嬉しさを隠さずに近寄った。


「ん? 住神が壁に絵を描いていたのか?」


欠けている箇所もあるので上下がすぐには判らなかったが、周りを歩いているうちに浮き上がるように正解が見えた。


「ピュアリラ様……何故、壁なんぞに……?」


呟きつつ、ピュアリラの足元に跪き、祈りの姿勢を取った。


「無益な破壊をさせた儂を諌めておるのか?

 マディアよ……」



―◦―



〈ね、エーデみたいに真っ白な女神様♪〉


「ピュアリラ様じゃないの!?」


〈知ってる女神様?〉


「神世をお救いくださった伝説の龍狐神様よ。

 隠れ信奉者のお家だったのね……」

エーデリリィが封じられる前の話ではあるが、その時点でも尚、隠れてまでも信奉している人神が多く居るとだけはマディアが調べ上げていた。

既にピュアリラ信奉は解禁されているのだが、封じられていたエーデリリィ達は知らない。

マディアとティングレイスにも記憶は無い。


〈オジサンも祈ってるよ?〉


「そうね。

 これで改心してくれればいいのだけれど……」


〈また見つけたらパズルしよ~♪

 オジサンにも見せるねっ♪〉「グレイ!!」

静かにティングレイスと心話していたユーチャリスが声を上げた。


「ユーチャ、またなの?」「ええ……」


〈グレイさんシッカリ~〉ぴと。

マディアが寄り添って碧光を帯びた。

〈コレって禍に触れたから?〉


「そうなのかも……」


〈だったら破邪だね〉

綺桜光に変わった。

〈グレイさん頑張って~〉


 エーデリリィは必死で命の欠片を込めているユーチャリスの肩を抱いた。

(泣かないでユーチャ。

 前回の気絶から目覚めて以降、これまでの記憶を写しておきましょう。

 また目覚めたら、それを解けばいいわ)


(あっ、そうですね)



―・―*―・―



〈ソラ? 急に消えたけど、今どこ?

 もうっ、返事くらいしてよね〉


 隠し社でソラからガイアルフを出そうとしている神達にも響の声は聞こえていた。

しかし神達もソラも返事する余裕すらも無かった。


詠唱している鳳凰イーリスタもまた真剣で、1句1句に神力を込めているかのように高めているので、炎と化した気を全ての羽根から立ち昇らせていた。


〈ソラってば――〉「――ええっ!?」

声を上げたのは、ソラの気に瞬移して来た響だった。

「ソラに何してるんですかっ!?」

響には、うつ伏せに横たわったソラの両手と両足を掴んで綱引きのように引いて胴を伸ばしているとしか見えなかった。

「ソラを引きちぎる気ですか!?

 それとも燃やすつもりなの!?

 ソラが何したって言うのよ!!」


「よく見よ。ソラの頭は下だ。

 それに無理はしておらぬ。

 儂の父を出そうとしておるだけだ。

 静かに見ておれ」

響の方は見ようともせずに言った。


「でもキツネ様――あ、いえ、後でいいです」

気圧されたらしい響は少し離れて座り、観察し始めた。



【キツネ殿よぉ、ちぃとヒビキチャンと話してくらぁよ】

【ふむ。心配ではあろうな】

【そりゃあ当然だぁよ】

【サイの番となる迄、付いていてくれ】

【おぅよぉ】


と、術の輪から離れたサイオンジは響と並んで座り、話し始めた。

〈心配なんざ要らねぇよぉ。

 次はオイラだぁ。

 力は写しが入るんだとよぉ。

 響チャンやカケルと おんなじだぁよ。

 神様とも話せるらしいしなぁ。

 なぁんも変わりゃあしねぇよ〉


〈でも どうして今?〉


〈神世になぁ、ま~た災厄が降るらしいんだぁ。

 此処にゃあ大勢 神様がいらっしゃるんだがよぉ、今は神様は上に行けねぇらしいんだぁ。

 だからオイラとソラが行こうかと――〉


〈それならユーレイ探偵団が行くわ!〉


〈そぉかぁ。響チャンとカケルなら確かに写しだから行けるなぁよ。モグもなぁ。

 だ~が、ショウと力丸は神様だぁ。

 行けねぇぞぉ?〉


「あ……抜けた……」「だなぁよ♪」


 ソラに瓜二つだが少し歳嵩に見える男神が抜け出ると黒い狐に変わり、青火を纏ってニヤリとした。

「サイ、ショウと力丸は通れるやも知れぬ。

 その設定に気付かれていなければ、だがな。

 要領は得た。次はサイだ」「おぅよ♪」

ソラが居る場所へ。


 ソラと黒狐神も加わって分離が始まったので、響は今度こそ静かに見ようと決めた。







神世の災厄は終わっていない。

確かに破壊が続いていますが、マディアが身体を動かせられなくなるって、つまり……?

そうならないようにユーレイ探偵団が神世に行くと決まりました。



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