従っているフリ
「おとなしく言う事を聞いている振りをして、皆さんを助けてあげてね♪」
〈うんっ♪
でもどーして? やっつけたらダメ?〉
「マディアは今どうなっているのか分かる?」
〈ん? あれれ? 僕……身体と離れてる?〉
「そうなのよね……」
〈でもいい♪
エーデ姉様に抱っこしてもらえるから~♪〉
「そうじゃなくて! あ~、えっと、身体に戻ってからも抱っこなら……その、、いつでも……ね?」
〈ん♪〉
「だから身体に戻らないといけないでしょ?
でもね、私達も一緒に閉じ込められているのよ。
まずは此処から出ないといけないの。
ただね、この封珠がある場所が問題なの。
アイツの中なのよ。縛られているの」
〈だから生かしておかないとダメなんだね。
で、封珠は破るの頑張るんだね♪〉
「マディアは両方だけど大丈夫?」
〈ぜ~んぜんへ~き♪
エーデ姉様と一緒だもん♪〉
エーデリリィにピトッとくっついて、嬉しそうに甘えてすりすりしていたが、他にも誰か居ると気付いて振り返った。らしい。
〈わわわわっ! ユーチャリス姉様!?
見てたの!? グレイさんも居る!!
え? 誰? アイツじゃないよね?
似てるけど……顔だけ?
クサくないもんね♪ 別神さんだねっ♪
ね、エーデ姉様。このヒトだぁれ?〉
「ダグラ――ルよ! ね、ダグラル♪」
「あっ! はいっ! ダグラルですっ!」
〈ダグラルさんも閉じ込められちゃったんだね~。
一緒に出ようねっ♪〉
「はいっ! マディア様っ!」
〈こんなチビッ子に『様』なんて付けちゃダメだよぉ。恥ずかしいよぉ〉
「ああ、いえ、でも……あのぉ……」
エーデリリィとユーチャリスに助けを求める視線を投げたが、ティングレイスも加わって3神は笑うばかりだった。
「あ、マディア、街は?」
〈ん♪ 2つ分、建物は壊したけど、み~んな助けたよ♪〉
「そう♪ やっぱりマディアは凄いわね♪
とっても素敵に格好いいわ♪」
〈や~ん〉照れ照れ真っ赤になった。
「可愛いわね♪」
〈も~ヤメてぇ~〉真っ赤っかっか。
―◦―
禍の滝にエメルドとユーリィが戻った。
「おい、マディアは?」
白銀龍が濃淡の緑龍達に迫った。
「僕達は街や村、全部回ってエーデラークの配下役してるだけですよぉ」
「シルバスノー兄様こそ、禍も無くなったのに何してたんですかぁ?」
「ゴルシャインに止められてたんだよ!」
「「ゴルシャイン兄様は?」」
「あの壁の上から神眼でマディア追ってるよ」
フンッと鼻先で差した。
「で、もうコッチなのか?」
「中間報告しに戻っただけです」
「オパール兄様にも手伝ってもらいたいし」
「何処行くんだよ?」
「都と大きな街がまだなんですよ」
「人神が多いから大変なんですよ」
「心話できない率も高いし~」
「伝えとかないとパニくるでしょ?」
「周りから壊してる間に伝えないと」
「また禍だらけになりますよ?」
「ったく~、人神ってヤツはバラバラバラバラ住みやがって!」
「「ソレ僕達に怒らないでくださいよぉ」」
〈お~いエメルド、ユーリィ〉
〈〈オパール兄様も手伝って~♪〉〉
現れた。「行っていいですか?」
「行けよ。禍なんか増やされたら堪んねぇからな。
エメルド ユーリィも気ィつけて行けよ」
「「「はいっ♪」」」
―・―*―・―
マディアは ゆっくりと飛んでいた。
「次の街に瞬移せよ」
頷いて瞬移したが、既に廃墟と化している街だった。
「次だ」
また廃墟。
「次だ」
またまた廃墟。
「破壊しておらぬ街に行け」
またまたまた廃墟。
「おい」
ぎゅ~す。
急降下!
「なっ――」
壊れずに残っていた建物を叩いて倒し、ふわりと上昇した。
ぎゅ~す♪
「ま、まぁよい。次だ」
次も廃墟の上だが、高度が違っていた。
とにかく高い。
「マ――」一瞬で地が迫った!「ヒィッ!!」
激突寸前で反転し、両足でチョチョンと建物を蹴り倒して上昇。ふわふわと浮かぶ。
「つ、次に行けっ」
今度は下に何が在るのかも判別できない高さだった。
カクンと下に――「待て!」
真っ直ぐ真下を向いたまま止まった。
「水平に――ヒッ!」
クルンと背を下に向けて水平に。
上になった腹をポンポン打っている。
「マディア? もう休みたいのか?」
鳴き返事もせずにポンポンポン♪
「ならば今朝の岩場に戻れ」
ぎゅ♪
瞬移して戻り、早く降りろと言わんばかりに伏せる。
ザブダクルが降りると単純回復光で包み、クルンと丸まって眠った(振りをした)。
―◦―
「マディア上手ね♪」〈えへへ~♪〉
マディアもティングレイスも視界を投影できるまでになっており、急降下はエーデリリィに見せたくてしていたのだった。
「でもマディアもグレイも、アイツは気絶させる術を使うから気をつけてね?」
〈うん♪〉〈はい♪〉
「それと……眠らないでね?
たくさんお話ししたいのよ。
それに修行も……ね?」
〈ずっと修行していたいので眠りませんよ♪〉
〈うんうん♪ 僕もガンバル~♪〉
目覚める度に記憶が消えているような気がしてならず、不安が降り積もっているエーデリリィだった。
―・―*―・―
サーブルは最初の街を再び訪れていた。
〈街長様、聞こえますか?〉
〈よ~く聞こえておるよ。見回りかな?〉
〈はい。
皆様、どのように過ごされていますか?〉
〈これまでと変わらぬよ。
建物の外枠だけを地上に残して、内側は全てそのまま地下に移してくれておるからな。
無いのは外壁と屋根だけじゃ〉はははっ♪
〈そうですか。良かった……〉
〈お前さんらがしとるんじゃなかったのかな?〉
〈いえ。伝えているだけなのです。
封じられていてもエーデラーク様が全てなさっているのです。
ただ……皆様とは話せず、見えないので心配なさっていたのです。それで……〉
〈そうかそうか。
皆、無事じゃと伝えてもらえるかの?〉
〈はい!♪ ありがとうございます!♪
壊した建物は後で元通りにしますので!〉
―・―*―・―
稲荷山に仮職域が完成した。
「浄化域、稼働させます!
死司の皆様、お預かりの魂を此方に!」
「観測と研究。神工天体、位置よろしいか?
では人工衛星、稼働させます!」
「魂生です!
新魂、出来上がりましたので、再生の皆様、お願い致します!」
水を得た魚となっている職神達は務めも修行も全力でするぞと意気込んでいた。
―◦―
「外……活気に満ちているね」
目を開けたドラグーナがラピスリに笑顔を向けた。
「何も儂の社を囲まずとも……」
同じく目を開けたオフォクスは、ラピスリに苦笑を向ける。
「父様、もう万全ですか?」
まだ父達に回復治癒を当てている。
「うん。すっかり元気だよ。
青生を返さないといけないね」くすっ♪
「ふむ。妻達の怒りを買う前に返してやれ」
「ドラグーナ父様はどちらがオモテでも構いませんが、報告等々はお聞きください」
両父親をチラリと睨んでから言った。
ロークスとエィムが仕事を中断して来たらしい衣のままで来た。
「「父様」!」各々の父の傍に。
「皆、忙しくしているのでな、集めはしなかったのだが父達に報告を頼む」
間で回復治癒を当てていたラピスリが立ち上がり、出て行こうとした。
「姉様も一緒に!」
「いや、早急に支配を解かねばならぬのでな」
背を向けたその時、上から光の道が降り――
「来れた~♪」「「きゃっ♪」」
――兎達が現れて、ぴょんぴょんぴょん♪
「オフォクス~♪」「「父様~♪」」ぴと♪
「イーリスタ様……」
「とうとう繋がったんですね。
元気に幸せそうで良かったよ」よしよし。
「イーリスタ様……あの声の!?
月の四獣神様の!?」
「ああそうか。エィムは初対面だな。
その通り、両四獣神様の長だ」「最年長者だ」
「ラピスリぃ、オフォクスぅ、言わなくていいからぁ~」
「それで「イーリスタ様は今後は人世で?」」
「月に戻るよ♪
手助け必要なら弟子軍団 連れて来るねっ♪
それより大変なんだよ~ん♪
ドラグーナ来てよ♪ 明後日でいいけど~♪
今日は疲れたから寝る~♪」
オフォクスの背でコロン♪
「儂の背で寝る気ですか!?」
「先に大変の内容を!」
「ん?」
「ちょうど此方の話もこれからですので、お聞きくださいね」
ドラグーナが笑いながら付け加えた。
そんな遣り取りを黙って見ていたエィムが最初に声を上げたのは、イーラスタとイーリスタが父子だと思い出した為で、静観し始めたのは、イーラスタとの約束も確かにあったのだが、イーリスタの態度は演技に違いない、器の大きな神様だと思った為だった。
「エィム?」
「あっ、はい!」
「最初にマディアの獣語を聞いた時の話を」
「はい!」
神世の破壊は続いていますが、仮職域が完成し、月からイーリスタ様が来た事は、人世に居る神達を明るくしました。




