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王の影ティングレイス



 ロークスを背に乗せて飛んで離れたサーブルは、オニキスを感じる小社に入った。


【マディアは魂だけにされて封じられてるんだ。

 グレイさんも。

 グレイさんの身体は破壊を傍観するだけのダメ王として玉座にただ座らされてるんだ。

 マディアの身体に悪神が支配込めて乗ってる。

 支配が凄く強いから真っ黒になってるんだ。

 今は街や村だけど最後には王都を破壊させるつもりなんだと思う。

 マディアはそれでも抗ってるんだ。

 街とかの人神を地下に避難させてるのはマディアなんだよ。

 破壊直前に地下に押し込めて蓋をしてるんだ。

 とても強くて、たぶん人神に見えない蓋だよ。

 その下も見えなくしてるって感じた。

 僕達はエーデリリィ姉様の指示で動いてる。

 マディアの状態も姉様から聞いたんだ】

とっても早口。


【ふむ。マディアならば抗い続けるだろう。

 支えてやってくれ。頼む。

 それで道が閉じるとは?】


【こっちでも物凄い衝撃があったよね?】


【あった。ドラグーナ様とトリノクス様と父様(オフォクス)は地震と津波を全て吸収した為に今は眠っている】


父様(ドラグーナ)が? 復活したの!?】


【ほぼ復活した】


【良かった……】


【戻る前に寝顔だけでも見て行け】


【うん♪ あ、続きだね。

 あの揺れで下空の一部が崩落したんだ】


【だから厚く曇っているのか……ふむ】


【エィムって弟が絶滅種保護区域を通る人世への道を開いてくれてたんだけど、落ちたのは その辺りだったんだ。

 保護区域側は不安定だから。


 自動発動して穴を塞いだ防護床にマヌルヌヌ様が僕が通れるギリギリを何度も開けてくれたんだけど、周りが不安定だから、どう工夫しても閉じてしまうんだ。

 もう最後の手段って開けてくれたよ。

 だから保ってくれてる間に戻らないと二度とは無理だって仰ったんだよ。

 僕もう戻らないと。

 滝の兄弟に聞いてもエーデリリィ姉様の声が聞けてるの僕だけみたいだから】


【マディアが鱗を剥がれた時、再生の為の種鱗(たねうろこ)を与えたのはサーブルだったな?】


【うん。淡い灰色って白よりも色が無いのに等しいから最適だって父様が。

 生まれて初めて灰色で良かったと思ったよ♪】


【その種鱗が特別な共鳴をしているのでは?】


【そっか♪ じゃあ帰らないとね♪

 マディアと特別に繋がってるんだから♪】


【先に――】

帰ろうと反転した尾を掴んで瞬移した。



――隠し社。

【父様……ちゃんと父様だね♪ 良かった~♪

 ありがとロークス♪】

父をそっと撫でて、笑顔で瞬移した。



 ロークスは、深く眠っていても互いに浄破邪を当て合っている父達を見て、つい笑みを溢してしまった。

「四獣神とは……とてつもなく偉大だな」

父を目指そうと決意を新たにし、ロークスは職神達の集まりに戻った。



―・―*―・―



 最果てに近い街や村を次々と破壊しているうちに陽が落ちた。

時差がある等とはザブダクルには思いが至っていないが、職域や王都、邦和は夜中に近くなっていた。


マディアがふらふらと上昇すると、宵闇に民家の灯りが集まっているのが見えた。

「マディア、次はあの――」

〈もういいでしょ。僕、寝る〉


「マディア……」


〈話し掛けないでよ。もう降りてよね。

 すっごく嫌なのに言うこと聞いたんだから約束通り首輪 外してよ。

 もうホント嫌なんだから〉



 神力射をザブダクルとマディアしか通れないものに変え、支配を強化した軍神(ぐんじん)達を見張りとして配置した直後、マディアは術を破って目覚めてしまった。


ザブダクルが声を掛けると、祖父(フィアラグーナ)(ザブダクル的にはウンディ)をザブダクルが飛ばした事は忘れているらしく攻撃してこなかったので、自分は(あるじ)だから指示に従えと襲撃に連れ出したのだった。


その際に、渋るマディアに指示に従えば首輪は外すと約束していたので、誠意を示す為にもと首輪を滅した。

「マディア――」


〈もうホントどっか行って。

 僕を術で眠らせて首輪したんでしょ。

 主だとかって勝手に言って。

 襲撃とか破壊とか、二度としないからね〉


 あの若返りの術の効果は100年程であったな。

 一度で従ってくれる程になったのならば

 もっと掛けて育て直すというのも――


〈キライだから二度と僕に近寄らないで〉


「ならば育て直すまでだ!

 若化仙華昇!!」


〈頭割れちゃう!!〉

〔イタイ苦しいーーーーーーーっ!!〕


思案中にまたキライだと言われて、ついカッとなってしまった。

苦し気な咆哮に動揺したが、放った術は止められない。


おろおろとしているうちに咆哮を上げていたマディアがパタンと伏せた。


「マディア?

 術で眠っただけ……であろうな?」


ザブダクルはマディアに寄り、その鼻先をそっと撫でた。



―◦―



「マディア! しっかりしてマディア!」


悶絶したマディアの魂を回復治癒全開で抱き締めるエーデリリィは、どうにか内に意識を向けられないかと呼び掛け続けていた。


〈ん?〉「マディア!♪」

唐突に内を向いたらしく光を帯びた。


〈ん~~~?〉

辺りを見回しているらしい。


〈あ♪ ユーチャリス姉様♪〉

飛んで行こうとした。

〈あれれ? 僕また動けない?〉


「マディア?」エーデリリィが覗き込む。


〈ん? 共鳴? 姉様? だぁれ?〉


「まだ記憶が混乱しているのかしら……?」


〈ん~~と……ユーチャリス姉様、こちらは?〉


「エーデリリィ姉様よ」


〈はじめましてエーデリリィ姉様♪

 えっと……治癒ありがとうございます♪

 それと~~~、恥ずかしいけどぉ、抱っこ、、嬉しいです♪〉


「ね、マディア。

 エーデリリィ姉様は好き?」


〈あ……〉ぽ♡〈えっと~、大好き、です……〉

魂が頬を染めたような色になった。


「姉様、大丈夫ですよ♪」「そうね……」

「混乱していても、一目惚れですよ♪」


「あら……そうね♪

 マディア、これからよろしくね♪」


〈よろしくお願いします♪

 エーデリリィ姉様♡〉


「エーデでいいわよ。エーデだけで♪」


〈ホントに!?♪ いいの!?♪〉


「私もマディアが大好きよ♪」


〈うっれし~な~♪

 ええっと~、、エーデ♡〉「はい♡」


マディアの魂は真っ赤っかだった。



―◦―



 マディアの身体が目覚めないまま夜が更けた。

ずっと撫で続けていたザブダクルも少し落ち着いてきた。


 マディアが反抗的なのは

 記憶を引き千切って消した為か?

 覚えておらずとも術者への

 嫌悪感を懐いたという事か?


 ならば王も反抗するやも知れぬな。

 先手を打ち、マディアと同じ術を

 掛けておくに越した事は無かろう。ふむ。


勝手に納得したザブダクルは、眠り続けるマディアを連れて神王殿へと瞬移した。



―◦―



 暗闇の中、玉座で虚ろな瞳を宙に漂わせているティングレイスの前に立つ。


王の瞳に光が宿り、ザブダクルを睨んだ。

〈誰? 人神は夜中には眠るものだよね?

 つまり刺客か何かなの?

 残念ながら僕は王ではなく王の影。

 易々とは倒されないからね〉

ゆらりと立ち上がり、少し浮いて剣を抜き、身構えた。


 やはり此奴もかっ!


間合いを取り――〈若化仙華昇!!〉


嘲笑うかのような笑みを浮かべて軽々と避けると、素早く剣を突き出し、

〈破邪雷連撃!!〉

切先から破邪の(いかずち)を続けざまに放った。


 こんなにも早く弱点を

 見破られてしまったのか!?

 ならばっ!!


必死のザブダクルが次々と術や禍を繰り出すが、全て躱され、滅されて、全く歯が立たなかった。


〈王妃を滅するぞ!!〉


〈何を言ってるの?

 王に妃なんていないよ。滅禍輝雷!!〉

躱して背後に溜め込んでいた禍を一気に滅した。

続けての攻撃も平然と躱し続けている。


〈王はお前であろうが!〉


〈影だと言ったよね? もう忘れたの?〉


〈グッ……〉こうなればっ!!


ザブダクルは首輪に繋がる見えない鎖を引くと同時に瞬移して迫り、破邪を浴びつつも術を放った。

〈若化仙華昇!!!!〉


〈っ……クッ――〉ピキッ――


至近距離で放たれた術を喉に受けたティングレイスが気絶して倒れる。


ザブダクルは急いで禍を纏い、へたり込んだ。



 此奴は千歳は越えておろうな。

 ならばマディアよりは

 多く掛けておかねばなるまいな。


 此奴……短期間でこれ程までも

 神力を高められるとは……侮れぬな。

 少し抜いておくべき――っ!?

 神力が浄破邪だと!?


 マディアの神力も触れる事すら

 出来なかった。

 まさか文通だけでなく

 同じ修行をしておったのか!?

 マディアと共に居られるのは儂だけだ!!


〈若化仙華昇!! 若化仙華昇!!

 若化仙華昇!! 若化仙華昇!!〉


 これでも姿が変わらぬだと!?

 若く見えるのは偽装なのか!?


 しかし偽装は獣神が得意とする術。

 まさか此奴……

 それもマディアから習ったのか!?

 許せぬ! 赦さぬからなっ!!


〈若化仙華昇!!!〉



―◦―



「グレイ!? どうしたの!?

 しっかりして!!」


誰かと戦い始めたと思ったら悶絶してしまったティングレイスの魂がビクン、ビクンと跳ねていた。


「止まった? でも……」


「大丈夫よ。グレイですもの」〈その声……〉


「ほら目覚めたわ♪」「ええ……」


〈エーデリリィ姉様!〉嬉しそうに光る。


「グレイもまだ混乱しているのね……」

「最初に呼ばれるのは逆になるのですね……」


妻達は寂しさやら不安やらが隠しようもない苦笑を交わし合った。







ザブダクルはまだ暴走しています。

呪を操るオーロザウラは?

たぶんザブダクルの魂内で笑っているでしょう。



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