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放置してはならなかった事



 ジョーヌと心咲(みさき)の結婚披露宴会場はソラと響の時と同様に丸テーブルがジグザグに配置されている。

心咲にも呼べる友人は きりゅう動物病院のトリミング室スタッフだけなので、新婦側は親族席、新郎側が友人席になっていた。


その友人席には輝竜(きりゅう)家とアルベール家(ジョーヌに戸籍をくれた祓い屋ユーレイ・ジュールと家族)、花竜(かりゅう)夫妻(龍神ウィスタリアとナスタチウム)と人姿の馬神ルルクルとウィンローズが居た。

輝竜家にはイトコの(シィァン)兄弟も狐松(こまつ)白儀(しらぎ)家も居て、(すず)飛鳥(あすか)彩桜(さくら)と一緒に居る。

彩桜のテーブルには同級生の(さとる)竜騎(りゅうき)も彼女と一緒に居る。


【俺達は人数合わせか?】悟から彩桜へ。


【違うよ♪ マーズだから♪

 (とう)と白、(きぃ)マーズと仲良しさんでしょ♪】

橙マーズ=悟、白マーズ=竜騎、黄マーズ=ジョーヌ。


黄緑(わかば)達は?】


【コッチが多くなっちゃうもん。

 それにまだ正規メンバーじゃにゃいしぃ】


【チビッ子マーズ揃ってるのに?】


【ラン(紗の愛称)は俺のパートナー♪

 飛鳥リングボーイするの♪

 ランも一緒にリングガール♪

 ドレス着替えてから指輪交換なの~♪

 ユーロン従弟(いとこ)だも~ん♪】


【そうか。呼んでくれて ありがとな】


【呼んだのジョーヌ師匠だからぁ】


【あ~そうだよな♪】あははっ♪


悟が笑ったところで彩桜は親族席の方を見た。

意気投合したらしい心太(ここた)(かける)が談笑しているのを見て安心したところにアナウンスが入り、暗くなった。


扉にスポットライト。

新郎新婦入場で披露宴が始まった。



―◦―



 輝竜兄弟はロックバンドSo-χ(ソーカイ)のサポートメンバーズとして演奏し、お色直し後はクラシック界の超新星キリュウ兄弟としてBGM係を務めた。


その演奏は、ジョーヌの紹介と、スピーチをした金錦と青生の肩書きと、超有名人メーアの登場とで驚き続けた心咲の親族達を落ち着かせる為でもあった。



―◦―



 帰宅した彩桜が動物病院で青生と一緒に瞑想していると、ソラに呼ばれた。

ソラへと瞬移(しゅんい)すると響と一緒だった。

【どしたのソラ兄?

 西海(にしみ)村のお家だね♪ 探偵団?】

ソラの分身シドが楽しそうに祖母と話しているのを神眼で確かめてニッコリ♪

しかし今 居るのは隣家前で、しかも(わざわい)(神の負の感情が凝り固まった凶悪なもの)を感じたので神眼をそちらに向けて探り始めた。


「彩桜くん、この郵便受けの名前、読める?」

響が郵便受けを指して小首を傾げた。


「ん♪ 大きく書いてるのが姓で磯前(いさき)さん。

 爺ちゃん波輝(なみき)さん、婆ちゃん美海(はるみ)さん。

 父ちゃん勝士(かつお)さん、母ちゃん沙由(さより)さん。

 息子さん勝士喜(かじき)くん。お魚い~っぱい♪

 俺、読むだけ?」


「他にも何か拾知(しゅうち)(情報収集能力)できた?」


「爺ちゃんと婆ちゃん、亡くなったんだね……」

【ソラ兄、響お姉ちゃんと一緒してね。

 俺、調べるから。ライブより早く呼ぶからね】


【やっぱり何かあるんだね?

 この禍の残り香みたいなのを調べるんだよね?】


【うん。危険だから響お姉ちゃんを離してね】


【解ったよ】

「彩桜、そんなに悲しそうな顔しないでね。

 響 行こう。彩桜は気持ちとかを拾ってしまうから」


「そっか。ごめんね彩桜くん」


「気にしにゃいでぇ。俺、帰るねっ」瞬移。



――彩桜が移動した先は磯前(いさき)家の中。

念の為にと浄破邪(じょうはじゃ)(まと)い、拾知を拡げていく。


 この禍の残気、悪神と一緒してる魔女のだねぇ。

 その前に漢中国の双子オバサン来てるね。

 だったら一緒してる悪神と魔女、悪霊のかな?

 コレって……うん。狐儀(こぎ)師匠トコ行こ。



――奥ノ山(おくのやま)の社。

狐儀(こぎ)師匠 来て! 急ぎなのっ!】


【はい、急ぎとは?】現れた。


【俺、大失敗! 早く動かなきゃだったの!

 キツネの里、連れてってなのっ!】


【そうですか。では】彩桜に触れて術移(じゅつい)



――20人程が横たわるベッドが並ぶ部屋。

此方(こちら)なのでしょう?】

彩桜に触れた時に伝わってきた思いから、狐儀は この部屋を選んだのだった。


【うん……やっぱり来ておかなきゃいけなかったんだ……】

躊躇(ためら)いも無く真っ直ぐ進み、眠る女性に大きく頷いた。

勝士喜(かじき)くん、必ず見つけます」


【彩桜様?】


【うん。狐儀師匠、白久兄と藤慈兄お願い。

 此処、術移じゃないと入れないんでしょ?】

術移は狐神のみの特殊な移動術だ。


【はい。間違っても(よこしま)人神(ひとかみ)に入られぬよう、そうしております。

 お連れ致しますね】



 狐儀が兄達を連れて戻る迄、彩桜は拾知を使って眠っている人達と話していた。


【彩桜様、皆様どうしてもと……】


【うん。一緒にお願い】



【彩桜っ】藤慈が駆け寄って抱き締めた。

【すみません、私が話さなかったばかりに……】


【ううん、藤慈兄 悪くないもん。

 あのね、こゆ薬 作ってもらいたいの。

 俺、浄化 足すから】藤慈の手に伝えた。


【はい、すぐに作りますね】


【うるうるしにゃいでぇ】ハグ。


【彩桜……最適な薬を調合しますので。

 急ぐのでしょう? 早く白久兄様に】


【ありがと藤慈兄。

 白久兄、フレブラン様は? 起きてる?】


【ああ。驚いて起きたよ。

 俺も忘れちまってた。すまねぇ】


【だからぁ、いいの。

 兄貴達だ~れも悪くないのぉ。

 あのね、バラバラなってるフレブラン様とお話ししてもらいたいの】


【目覚めさせろ、って意味だな?】


少し考えて【うん、お願いね】


他の兄達にも順に微笑む。

【青生兄、瑠璃姉に最高司補(さいこうしほ)様達と補填用魂材(こんざい)の人のと人神様の、お願いして】


【一緒に行ってくるよ。

 狐儀殿、外に出れば呼び掛けられるよね?】

【はい、此方です】部屋から出た。


【黒瑯兄、藤慈兄の薬で10人くらい起き上がれるから神様用お粥お願い】


【おう。狐儀、調理場あるのか?】

【勿論ですよ】

外から戻った狐儀が今度は黒瑯を連れて行った。


金錦は既に領域昇華(神力増強能力)していた。

【金錦兄、黒瑯兄の供与(神力付与能力)分もお願いなの。

 それと紅火兄のお手伝いも大丈夫?】


【ふむ。何事も全力で、だな】


【うん。お願いね。

 あのね紅火兄】手を繋ぐ。【出来るよね?】


【ふむ、可能だ】金錦と手を繋ぐ。


【そうか。叶えよう】

金錦と紅火も動き始めた。


彩桜は藤慈に寄って話し、薬に浄化を込めた。



【彩桜様、どちらへ?】彩桜が尾に触れたので。


沙由(さより)さんと約束したの。

 勝士喜(かじき)くん見つけるの。

 他にも どんどん行かなきゃなの。

 最初は……お願い】手から尾へと伝えた。



――古めかしいが総合病院らしい建物の裏。

【不穏が漂っておりますね】


【うん。アレコレ末期なヒトばっかりなの】


【そうですか。少年は居りますか?】


【これから探すの。

 意識ない。フレブラン様すっかり抜かれてる。

 だから探すの大変なの。


 もぉ災厄近い主張みたい。

 今朝からずっと拾知妨害されてるの。

 災厄に関係あるのも ないのも妨害サマが拾知ギュッて押さえつけてるの】

それでも目一杯 拡げている。


【彩桜様……】

少しでも元気になってもらいたいと、狐儀はサーロンを呼んだ。



 彩桜は目を閉じて拾知に集中している。

【んもぉ。違うのテンコ盛り盛りヤメてぇ】

と呟いて、少し考え、話し始めた。

【たぶんね、拾知(しゅうち)異界(いかい)神力(じんりょく)なの。

 混沌神(こんとんしん)様、感情要素と能力的神力1コ1コ分けて人神(ひとかみ)様と獣神(けものかみ)様いろいろに込めたの。

 だから『探り』は地星(ちせい)のなの。

 拾知、たぶん闇禍(あんか)が運んで来たの。


 人神様には『欲』が入ってる。

 欲て悪いばかりじゃないでしょ。意欲とか。

 でも人神様は悪い方に傾き易かったの。

 混沌神様、いろいろ感情要素と欲とでバランスとれてたの。

 バラバラなったから闇禍(あんか)好みに傾いちゃったの。

 拾知、欲と一緒なったら……ある意味、最強。

 そゆ良くない始まりだと思うの】


【彩桜、それでも使い方次第だよ。

 刃物と同じだよ】


【あれれ? サーロン来てたの?

 どこから聞いてた?】目を開けた。


【拾知、異界の神力ってトコから】


【最初からだぁ~。

 でもサーロンと一緒、嬉しいからいい~♪】


【ねぇ彩桜。

 獣神様は何種類もいらっしゃるのに、どうして人神様は1種類なの?】


【最初は正反対だけを集めた2種類だったの。

 そしたら『どっちでもない』が いっぱい見つかったの。

 だから獣神様いろいろなったのチョイ後なの。


 人神様、能力的神力グループ1で(まと)まり良かったの。

 それと姿がね……いろいろすると少数のを仲間外れしちゃうの。

 ソレ、欲の悪い作用なの。

 ギリギリちょっと変えて再分配して、でもトータル人神様てコトにしたの。

 それでも戦したりね~、困ったちゃん。

 だから能力的神力グループ2と、どっちでもない群ぜ~んぶ獣神様なったの】


【ね、その情報どこから?】


【災厄近くなって拾知 邪魔されてるの。

 超越者様が押さえつけてるの。

 拡げてガサッて取ってこよぉとしたら、違う情報テンコ盛り盛り入ってきちゃったのぉ】


【さっきのイサキさん家で名前読んだ時じゃないよね?】


【その後。ついさっき。

 今ね、勝士喜(かじき)くん探してるの。

 そゆのも妨害されるからガツンて拡げたら、お邪魔情報テンコ盛り盛りされちゃった。

 でも、せっかく教えてくれたんだから喋っちゃお~なの~♪】


【心配してしまいましたよ】【ボクも】


【えへへ~。続きね。

 獣神様の人姿も人神様と協神力(きょうりょく)する為だったの。

 姿で差別しちゃう人神様だから。


 でも人神様、欲で上なりたいの。誰よりも上。

 だから獣神様とも協神力したくなくて子孫に伝えなかったから忘れてっちゃったの。

 神世の歴史と同じなの。

 都合悪いの隠しちゃう。で、忘れるの。


 人神様、獣神様の人姿ナマイキて攻撃したの。

 獣神様、もぉ協神力ムリだよねって、人神様に人姿 見せなくなったの。

 そやって離れちゃったから闇禍が来たの。

 シメシメニヤリなの。

 地星オイシイて何度も来てるの。

 だから何度も何度も災厄なの】


【第1世期(せいき)の事なのですよね?

 混沌神様は調整しなかったのですか?】


【混沌神様、寿命あるの。1万年くらい。

 だから初期の混沌神様いなくなった後なの。

 名残ある神様いたけど隠れてたの。

 ピュアリラ様とかが最後の頃なの。

 第2世期には居なくなっちゃうの。

 でも……今も生きてるのかにゃ?

 隠れてるみたいだねぇ】


【その世期って?】世紀じゃなくて?


【神世の歴史区分。大区分なの。

 今は第3世期。

 ()っき災厄で区切れてるの。

 だから世期の終わりに人世崩壊消滅なの。

 人神様の神世的にはオマケなんだけどね。

 でも……今回のは崩壊消滅阻止するの。

 頑張るの。みんなで頑張るの。

 第3世期、続けるの】


【そうだよね。頑張ろうね】

【はい、第3世期は続けなければなりません】


【うんっ♪ ね、狐儀師匠。

 こゆ病院、他にもあるよね?

 俺、前 来たトキ見た此処かにゃ思ったけど違うみたい】


【此処って?】【(シィァン)さん家の近く】


薄青い狐神が現れた。狐儀が呼んだようだ。

【狐儀様、ご案内致します】


【お願い致しますね。参りましょう】







彩桜達の惑星・地星(ちせい)には神世と人世が在ります。

神世はその名の通り神様が暮らしている場所で人世を覆っていますが、普通の人には見えません。

人工衛星にも飛行機にも何等の影響もありません。

人世の地からは()(主星:陽輝星(ようきせい))も月も星も神世に遮られることなく見えます。


その地星が崩壊消滅するくらいの大きな事が『災厄』です。

戦争や自然災害(と人が認識する神事も含む)などの大災害が主です。

それが間近に迫っている今、災厄を最小限に留められるか否かを決める『鍵』が、人知の及ばないところで設定されているんです。

その鍵の1つを見つけた彩桜が仲間(マーズ)と共に動き始めました。



―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―



〈マーズ(馬頭(マーズ)雑技団(ざつぎだん))〉メンバー

(きん)マーズ:金錦(きん)    (おさ)(リーダー)

(ぎん)マーズ:白久(はく)    副長(ふくおさ)(サブリーダー)

(あお)マーズ:青生(あお)    参謀

(くろ)マーズ:黒瑯(くろ)    忍者飯(にんじゃめし)

(あか)マーズ:紅火(あか)    工作師(こうさくし)

(ふじ)マーズ:藤慈(ふじ)    薬師(くすし)

桜マ(さくら )ーズ:彩桜(さくら)    子供マーズ

(みど)マーズ:慎介(しんすけ)    狐神

(るり)マーズ:瑠璃之助(るりのすけ)  龍神

(そら)マーズ:サーロン  子供マーズ

(むら)マーズ:慎也(しんや)    狐神・工作師(こうさくし)

(かい)マーズ:リーロン  龍神・忍者飯(にんじゃめし)

(きぃ)マーズ:ジョーヌ  龍神

(とう)マーズ:(さとる)     子供マーズ

(しろ)マーズ:竜騎(りゅうき)    子供マーズ


黄緑(わかば)マーズ

ルイ レオ メグル サイト


チビッ子マーズ

紗蘭(すずらん) 飛鳥(ひちょう) 羽龍(うりゅう)



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