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子猫ちゃん達ガツンと成長



 夕方。

夕闇が濃くなった頃に目を覚ました黄緑(わかば)達に、悟と竜騎は同じ話を繰り返した。

「災厄は近い。

 起こったなら黄緑(わかば)マーズは、その足を活かして救護活動に専念しろ」


「「「「はい!」」」」


「今は修行に専念するのみ。始めろ」


「「「「はい!」」」」瞑想!×4。



【大違いだね♪】【マジで子猫だったんだな】

呆れつつも、正義感がオモテに出て頼もしく変わった黄緑(わかば)達に安堵の微笑みを向ける悟と竜騎だった。


ふわりと現れたものが、ふよよよよ~ピトッと悟の手の甲に。

【何だこれ?】【小さなヒトデ?】


【ありがとなの~♪】


【え?【彩桜?】】


【俺、寝てるの~♪】ふよよよ~フッと消えた。


 自室でソラ達を見守り続けていた彩桜の寝掌握(ちっちゃヒトデ)が役目を終えて帰る途中で、悟と竜騎に礼を言おうと寄った――なんて知る由もない二人だった。



―◦―



 キツネの隠し社では、再びトシが目を開けた。

心配そうな桜ドラグーナが覗き込む。


「浄化の父様だ……アーマルは!?」ガバッ!


「何処の続きかな? 心配している訳は?」


「俺が大馬鹿野郎な人神を追っちまったからアーマルが来てくれて……どーなったんだ?

 けど父様が助けてくれたんだな?」


「それは随分と前の話だよ。

 アーマルも無事だよ。

 利幸としての記憶は消えたのかな?」


「利幸……そーだよ、俺は利幸だよな。

 アーマルが飛翔(タカシ)でラピスリが瑠璃で。

 美人の澪さんも居たよな。うん」


「十分みたいだね。

 その流れでウンディは利幸だったんだよ」


「そうか……うん、だよな。飲み込めた。

 俺はウンディで利幸だ♪」


「じゃあ次だね。龍に戻れるかな?」


「あ~俺、人姿だな。ヨーシ!!

 ゥオオオオオーーーーーッ!!」フンヌッ!!


『ウルサイ!! この馬鹿ウンディ!!』

「でも龍に戻れましたよ♪」くすくす♪


「んあ? 爺様の声?」キョロキョロ。

銅ピカの大きな龍神が祖父を探してウロウロ。

「お~い爺様どこだぁ?

 バッチリ共鳴してるから隠れてもムダだぞ~♪」



〖サイ、いいから離れるぞ。

 ガイアルフと話したいからな〗


【いいのかよぉ?】ドラグーナに。


【もう大丈夫だと思います。

 呪も解けたでしょう】『どうぞ』と微笑む。


〖思い付いたんだよ。

 せめてドラグーナくらいには離れられねぇとサイを振り回しちまうからな〗

【そんじゃあ行くよぉ】


【ありがとうございました♪】



「んん? 爺様が消えた?」


「ウンディは呪を受けていたから父様と一緒に解呪したんだよ。

 終わったから帰ってしまったけどね。

 それで、ウンディは大暴れして大勢の女神様に怪我をさせてしまったんだ」


「うわあ……ナンて事したんだよ俺……」


「だから謝りに行こうね」「おう!」




 オモテの社に行くと、姿は違えど夫だと気付いた寿(ヨシ)が飛んで来て押し戻そうとした。

「ヨシちゃんにも迷惑かけたよなぁ。スマン!

 何したのかは覚えてねぇが、謝って治癒しねぇとだから通してくれ」


「ちゃんとウンディ様なのね?」


「俺はウンディで利幸でヨシちゃんの夫だ♪

 治癒も神としての基本だからな♪」


「良かった……」



 通してもらったウンディは横たわる女神達に深々と頭を下げた。

「大馬鹿になっちまってた俺がトンデモナイ事しちまって申し訳ありません!」


「戻れたのなら、もういいよ。

 向こう半分の皆様に治癒を頼むよ」


「はい!」



―◦―



 宵闇に包まれると稲荷堂の作業部屋では狐儀と理俱からの話が始まった。


屋根の上に落ち着いたサイオンジがソラに声を掛け、ガイアルフを起こしてもらうとフィアラグーナは話し始めた。

〖ドラグーナは随分と器から離れられるらしい。

 各々が活動してやがるんだよ〗


〖同じ事をしようってか?

 ドラグーナは特別だ。

 (トンビ)(タカ)なんだから真似しようったって無理も甚だしいだろーがよ〗


〖鳶でも鷹でもなくて龍だからなっ!〗


〖そ~ゆ~トコだよバ~カ。

 けどまぁ考えておくべきだな。

 災厄間近なんだからな〗


〖だろ♪〗


こうしてコソコソ話は続くのだった。



―◦―



 ソラから響への活動報告が終わると、彩桜は急いで青生の所に行った。

【あのね あのねっ!

 闇禍が来てるみたいなのっ!】


【そうみたいだね。

 彩桜にもブルー様の声が聞こえた?】

青生は彩桜が来ると予想してか、動物病院の事務室に居た。


【寝てた夢の中だったしノイズだらけだったけど来てる言ったの!】


【やっぱりね。俺も治癒を浴びても眠くて仮眠していたんだよ】


【ブルー様、俺達に伝えたくて眠らせた?】


【その方が伝え易かったんだろうね。

 闇禍を呼んだのは悪神の最後の欠片だろうね。

 そうなると俺達は近寄れない。

 もう間近だと覚悟しておくしか出来ないよね】


【ブルー様、来てくれないのかな……】


【頼ってばかりではいけないと試練を与えられたと考えようよ。

 地星を護るのは地星の者でないといけないんだよ。きっとね】


【ん。俺、頑張るもん】【ほらよ晩メシ】黒瑯が来た。


【黒瑯の方は?】


【サンプル料理作ったらウケモチ様がガンガン複製してくれてるよ♪

 藤慈の栄養補助サプリもなっ♪

 んで、シンキ様が保護なら任せろって特殊な色チ保護珠を作ってくれてな♪

 戒律食とアレルギー対応のは分けてくれてるんだ♪】


【じゃあ順調なんだね?】


【おう♪ 余裕だ♪

 最低でも世界中に3日分は配りたいからな。

 あ、そーだ。アレルギー持ちなヤツを青生に見極めてもらいたいんだよ。

 ソレだけは医者の神眼じゃねぇとなぁ】


【うん。なら白久兄さんと瑠璃にも伝えておくよ。

 最低限の治癒と薬の配布を一気にしないといけないから、その最初の診断項目にアレルギーも加えるね】


【ありがとなっ♪】瞬移♪


【黒瑯兄イキイキ~♪】


【あのくらい陽の気でないとね♪】【うんうん♪】



―◦―



 その後も青生と話した彩桜が部屋に戻ると、磯前一家は拡張部屋に移っていた。


【彩桜、行っていいか?】【うん♪】


帰宅していた悟と竜騎が瞬移して来た。

【舞神の称号に鳥忍も重ねてもらったんだ】

【飛べるようになったから救護活動で利用するからね】

翼を広げた。


【うんうん♪ 邦和をお願いね?】


【任せろよな】【これでも上忍なんだからね♪】


【うん♪】


【祐斗達は自転車で声を掛けて回ると言ってた】

【外に出てアウトレットパークへ、って呼び掛けるって。

 僕達は動けない人を運ぶつもり。黄緑達もね】


【うんうん】うるうる。


【彩桜?】【ナンで泣いてるんだよ?】


【嬉しいから~♪】えへへっ♪


【明日は午前中 早くに下校するんだよな?】


【うん。昼にはヨーロッパに居たいから。

 なんとな~くなんだけどね~】


【彩桜が『にゃんにゃん』言わないと怖いだろ】

【うん……起こりそうなんだね? 明日……】


【わっかんにゃ~い♪】


【【カラ元気】バレバレだろ】


【ふにゃ~ん。

 だ~ってぇホントわっかんにゃいんだもん。

 拾知、妨害情報てんこ盛り盛りされちゃうのぉ。

 頑張ってたら攻撃されちゃうしぃ~】


【そうか。それなら彩桜の『なんとなく』を俺は信じる】

【僕も。その心づもりで居るからね】


【まずは自分の命だからね?】


【おう】【うん】




【そんじゃあ、また明日な】【うん、また明日】


【うんうん、また明日ね~♪】



去ってしまうと途端に寂しくて、少し怖かった。

お互い、本当に言いたかった言葉は不吉な気がして言えずに呑み込んでしまった。


兄達は家に居ない。

行けば、子供は寝ろと言われるに決まっている。


サーロンも呼べない。

彩桜は明日に備えようと、日課の就寝前の瞑想を始めた。



―・―*―・―



何時(いつ)まで待たせる気だ!?》


《朝にならねば動けませぬ故!!》


《朝か……それ以上は待たぬからな!!》


《はっ!!》


そう答えたものの、まだまだ思案中なオーロザウラだった。







子猫ちゃんな黄緑マーズ達は落ち着きました。

トシも龍神ウンディとして自覚しました。

カケルは? 解呪成功した後は?


朝になれば悪神が動いてしまうようですが……。



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