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第25話 探り合い

 小鳥のさえずりが耳朶を打つ。明け方、やや日が顔を出した頃合いにスイは目を開ける。紛れもない自室であり、これといった異常はなし。強いて言えば、友であるコユキと会えないことが異常であるが、今更後ろ髪を引かれるつもりはない。スイは決めたのだ。友の選択を引き継ぎ、己も籠目島(かごめしま)の信仰を止めようと。

 嫌になるほど白い布団から体を起こし、顔を洗いに行く。次にこれまた目が痛む白さの冷蔵庫を開けて食材を吟味する。今日は朝はどうしようか。特に思い浮かばないので卵とベーコンを焼き、彼女特製のインスタント味噌汁へお湯を入れた。


 完成した物をひとりでちゃぶ台へ運び食べる。食卓にはひとりの咀嚼音のみが響き、時折ハトが規則正しく鳴く。

 

 「ごちそうさまでした。」


 手を合わせて、次の行動に移る。うかうかなどしていられないのだ。彼女にはやるべきことがある。

 Tシャツに短パンという軽装で目指すは『タチバナ荘』。タチバナに会いに行くのではない。そこに泊まっている少年のような少女のような人物がお目当てだ。彼、彼女は恐らくコユキが信頼したあるいは託した人物。であれば、協力するのが得策だろう。歩いていた筈の足は気付けば駆け足になっていた。いち早く協力を取り付けたいのだ。


 「はぁ。はぁ。ごめんくださーい!」


 沈黙が広がる。応答はない。まさか、探りを入れた彼、彼女がタチバナにやられてしまったのだろうか。嫌な予感に身を震わせてひたすら待つ。

 すると、後ろから声が聞こえた。スイにかけられたものではなく、会話のようだ。


 「そういうことだ。警戒は怠るな。」

 「………成る程。助かるよタチバナさん。……おや、早速のようだね。」


 意味ありげな視線が少年のような少女のような人物から向けられる。一体彼、彼女はタチバナと何を話していたのだろうか。単刀直入に聞くのは憚られる。スイは普段どうりの軽い笑顔で挨拶を交わす。


 「おはよー!2人とも。いやぁ昨日はゴメンね。うち、ナーバスになっちゃったみたい。でも、もう問題ナシ!」

 「……そうかい!そうかい!良かったよ!」


 少年のような少女のような人物、ミキはタチバナに一瞬視線を移してから大げさに安堵する仕草をとった。無論、スイが見逃さなかった訳では無いが、今はそれどころではない。


 「ね!ね!キミ、ここに来てあんまり経ってないでしょ?うちが案内してあげるよ!昨日運んでくれたお礼にさ!」


 回答を聞く前に、スイはタチバナとミキの間に割って入る。無理にでも手を引き、2人きりになるつもりだ。そんな彼女にタチバナの鋭い視線が突き刺さる。昨日の状態からこうなれば警戒するのも無理はない。が、スイはそれを加味してもミキと協力関係を結ぶべきだと思った。


 「タチバナくんちのお客サン、お借りしても良いよね?」

 「…………好きにしろ。」

 「ありがとー!」


 物言いたげではあったものの同意は得られた。スイは早速、ミキの手を引き話をしにいくのだった。


 

 

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