第12話 新たな協力者
浜辺から離れたコウガは途方に暮れる。行方知らずのヤナキについて、めぼしい収穫がなかったからだ。これから何処を探すか、おおよその見当すらつかない。どうすべきか分からないまま、宿へ戻る。行きと同様にくたびれた看板と共に、宿は建っていた。
「はぁ。」
徒労に終わった調査。つい溜息が口から出てしまう。
そんなコウガの横を、箒片手にコユキが通りかかった。室内の掃除をしているのだろう彼女は、コウガを見つけて話しかけるか迷った後、決心をして彼の肩に触れた。
「………あの、まだヤナキ様をお探しなのですか。」
小さな声でヒソヒソと聞く。
「勿論でござる!もしかして、見かけたでござるか?」
「………いいえ。ただ、その、お手伝いをしようと思いまして…。」
「一緒に探してくれるでござるか!?」
思わぬ協力に喜ぶコウガ。この土地に住む人に手伝ってもらえるのならば、案外すぐにでも見つかるかもしれない。が、跳ね上がる気持ちとは裏腹に島に対する疑念が僅かに心へ生じていたのを思い出す。
この島は何処かおかしい。それはヤナキが居なくなる前に言っていた言葉。今となっては、コウガも共感できる。確かにこの島や住民は何処か不気味だ。目前の少女とてそうだ。後ろめたさか隠し事か、コウガには定かでないものの、彼女の言葉全てが意思に直結しているとは思えない。
それでも、協力者が増えるのはメリットだろう。なにせ、ヤナキの調査は手詰まりになっていたのだ。
「……その、ヤナキ様はもしかするとこのあたりにはいらっしゃらないかもしれません…。なので…少し遠出をして探しませんか。」
「そうでござるね…。確かにここらへんでは情報も無かったでござるし…。」
コウガは頷き、コユキの提案をのむ。彼女はほっと安堵したように体の力を抜いて表情を自然なものへとさせた。箒を付近の壁に立てかけて言う。
「それでは早速行ってみましょう…。」
「了解でござる!…そうだ!名前を聞いてもいいでござるか?」
思わぬ質問に驚きつつ、答える。
「コユキです…。よろしくお願いいたします。コウガ様。」
「よろしくでござる!」
こうして新たな協力者コユキと共にヤナキの捜査が再開した。




