子弟、邂逅
その後、俺らはリビングに連れてかれた。
アトはここに来るまでの事をとうに話そうとしてたが、
「とうはまだ信用出来ない、無闇に話さない方が良いぞ」
と言って止めた。だが、
「パパはわるい子じゃないと思うよ?」
「…なら好きにしろよ」
アトがそう言うので、諦めて好きに話させることにした。
とうも真面目に聞いている様だった。
(まあ、こいつにちゃんと理解出来る頭があるのかはわかんねーが…)
「そんなことが…2人とも大変でしたね…」
アトが話し終えた後、とうは同情した表情で俺らを撫でてきた。
(こいつ、距離の詰め方も撫でるのも下手だな)
すると、不意にリビングのドアが開いて、ちっこいのが顔を見せた。
(誰だ、とうの子供か?)
「おはよ…あいかわらずおきるの早いね…」
「あ、清浄!おはようございます、1人で起きれて偉いですね!」
「こどもあつかいしないでよ。え、そのてんしとあくまっぽい人たちは…?」
予想通り、とうの子供だったらしい。
余談だが、とうが俺に用意した人形が悪魔をイメージして作られてた。
アトの方は天使だったから、何か意味があるのか…とは思ったが、あの馬鹿の事だ、特に意味は無いんだろーな。
「この子パパの子!?かわい~!」
「ふん…生意気そうなガキだな」
(アトはこーいう子供が好きなのか?)
「この子達はですねー、なんと僕が作った人形なんですよ!」
とうが何か説明し始めた。
「え?じゃあなんでうごいてるの…?」
「実は、姿を変えられる人形を作ってたんですけど、ようやく完成したんです!今日からこの子達はうちの子ですよ!仲良くしてくださいね!」
「へー…?」
(端折り過ぎて理解出来てねーと思うぞ…)
「ちなみに、この子達は清浄より年上ですよ」
「あ、そうなんだ?」
(そんなん見た目でわかるだろ)
と当時は思ったが、実際人間のこの見た目以上に長く生きてるしな。
天使の寿命は人間のそれとは比べもんにならねー程らしいし、説明が必要なのも頷ける。
「私はアトだよ~、よろしくね!」
「俺はヨクト、宜しくなクソガキ」
「ちょっとヨクトちゃん!クソガキって呼んじゃダメでしょ~?」
「…わーったよ…宜しくなゼプト」
「あれ?パパが1回しか呼んでないのにもう名前おぼえたの?…あ!もしかして、弟ができてうれしいんじゃ」
「うるせぇ偶然だよ」
それ以上は何もねーからな?
「よろしくね、アトねぇ、ヨクトにぃ!」
「あー、清浄…そのですね…2人に性別は無いんですよ…」
「え?そうなの!?」
(元々天使は両性だったが、今は人形だからな)
人間からしたら、こういうのは不思議なのかもしれねーな。
「アトねぇでいいよ~!えへへ、ゼプトくんのお姉ちゃんになれちゃった!」
「俺もまあ、アトが良いなら」
こうして俺らはゼプトにも家族として受け入れられた。
大体こんな感じだ。これである程度は話せたはず。
よくここまで聞いてくれたな、ご苦労さん。気になってた事がわかったんなら良かったわ。
また度々話すかもしれねーから、そん時は時間があったら来てくれ。