誤審、制裁
「な…そ、そうか、それは良かったのう」
「よくないでしょ!あなたは何もわるいことしてない天使の力をとり上げちゃったんだよ!?」
(…使い慣れてないんだろうな、敬語諦めたか)
「それに、あなたがお昼寝してたって聞いたよ!」
「なっ…!お主は此度の件が神の所為じゃというのか!?」
(…自分が見張りだったんで慌ててた、ってとこか)
自分が怒られる前に事件を解決しちまえば、咎められないとでも考えたんだろーな。
(だとしたらとんだとばっちりじゃねーかよ…)
「力を取られるときって体も心もすごく痛いんだよ!ちゃんとこの子にあやまって!」
「我に指図するでない!我の行いこそが正しいのじゃ!!」
「犯人じゃなかった子にかなしい思いをさせるのが正しいわけないでしょ!!」
あいつは自分の事の様に怒ってくれた。
(自分に味方が居るのなんて何時振りだろーな)
あの頃の俺に味方なんて居なかったからな。珍しい事もあるもんだと、感動したもんだ。
「神さまでもわるいことはしちゃだめ!わるい子にはおしおきだよ!」
(お仕置き…?)
しみじみしてたら何故か雲行きが怪しくなってきた。
「ほう、神である我にお仕置きとな?随分と大きく出たものじゃのう」
(何でこいつ等やる気なんだよ…!?)
「先手は譲ってやるのじゃ、我は攻撃を1発受けてから動くぞ」
神が言いながら、自分の身を守る魔法を何重にも掛け、堂々と構えている。
「ありがと~、じゃあ私から行かせてもらうね!」
天使が背負っていた剣を抜くと、大剣が光り始めた。
(あの神に勝てる訳がない、止めねーと!)
やめとけ…と口から飛び出す前に、勝負は決していた。
「えいっ!」
「や…!?」
あいつは物凄い速さで神に接近し、一太刀で無数の魔法を砕いた。
更に、勢いはそのままに神を床ごと地に堕としやがった。
「お前何してんだ!?」
(神が声を発する暇も無かったぞ…!?)
「え?…あ!やっちゃった!」
(やっちゃった!って…そんなノリで神を堕とすなよ…)