虚言、冤罪
「ちょっと待ってください!俺はそんな事してません!!」
(急展開過ぎねーか!?)
「黙れ。お主がやったと皆が証言しておるじゃろうが」
「一旦落ち着いてください!俺がやったという証拠は何処にも無いでしょう!?」
根も葉も無い噂だけで俺を犯人扱い。笑えるよな。
「間違いを犯した者は皆そう言うのじゃ。さっさと認めればよかろう」
「そうかもしれませんが…!」
「罪を認めぬというのなら仕方ないのう。お主の力を全て剥奪し、地に堕とすまでじゃ」
「剥奪!?急に罰を重くし過ぎです!!」
(この老いぼれ…話が全く通じねーぞ)
「仮に俺が犯人だとしても、貴方の独断で裁いたら不味いでしょう!!」
神も1柱だけじゃない。力を剥奪する程なら尚更、神の奴等が話し合うのが妥当だろう。
「ちゃんとした議論を行うべきです!」
「う、煩いのじゃ!!お主、口が過ぎておるぞ!」
(頑なに自分の考えを改めようとしねーな…てか、何か焦ってるのか?)
普段は落ち着いた態度で俯瞰してくる神が、ここまで冷静さを欠いてるのは初めて見た。
「もう我慢ならん!この場で即刻奪ってやるのじゃ!!」
(まじかよ、考えてる場合じゃねー!)
近づいて来る神から逃れようと、建物の出口に向かって走り出した。
「逃げられると思うたか!?」
だが、相手は2番隊の神。お得意の魔法で出口を封じられ、更に拘束までされちまった。
「くっ…強すぎだろ…」
ゆっくりと距離を詰める神を睨み付け、最後まで抵抗の意思を見せたんだが…
「無駄に手間をかけさせてくれたのう…」
それも虚しく、頭を掴まれて一瞬で能力を奪われた。全身に激痛が走り、意識が飛びそうになった。
あの痛みは今でも覚えてる、二度と御免だわ。
「…さらばじゃ」
神が俺を地上に堕とそうと手を翳したその時。
「な、何事じゃ!?」
1柱の天使が俺と神の間に割って入り、神の力を押し返した。
俺は朦朧とした意識のまま、その天使に目をやった。背中には自分自身より大きな剣を背負っている。
(派手な大剣…1番隊の天使か)
「神さま、聞いてください。さっき、別の子が犯人としてつかまえられました」
俺に罪を擦り付けた奴等が見つかったらしい。