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転生から世界平和までの物語

作者: こー

あー本当によい人生だった。

心の底からそう思えた。

私の人生はそんな思いで終わった。


私はこの国に転生した。

日本人だった。

最初は言葉もわからない、自国と違う特徴の人たちにびびってばかりだった。

そんな私でも優しく言葉を教えてくれて、愛してくれたのが王様だった。

その国は隣の帝国と戦争をしていた。

幸せだった日々が壊れたのはいつも通りの日々を過ごしていた日だった。


幸せが壊れた日に、私は帝国民に拉致された。

海外旅行なんて数回しか行ったことなかったのに、

なんでこんなに移動しているのかなと思う。

帝国民に手荒く扱われるかとおもっていたが、帝国では丁重に扱われた。

皇帝が毎日やってくる。毎晩話をしては帰っていくが、暇なのだろうか。

戦争で忙しいはずだが。

そんなある日、部屋の匂いがいやに気になる。いつもはそんなに感じないのに。

吐き気もする。医者を呼んでくれた。

医者からは、「懐妊」だと言われた。

愛していた国王との子供なので、とてもうれしかった。

だが、いるのは敵国。この子を産んでよいのだろうか。見せしめで殺されるなどは

ないのだろうか。

皇帝と話したが、そんなことはしないと言われた。思ったよりもよい人なのかもしれない。

そんなこんな思ったよりも快適な拉致生活を送っていると妊娠予定日も近づいてきた。


バーン。

そんな音で私の拉致生活に終わりが訪れた。

王国民が攻めてきたらしい。

重い体を引きずりながら、玉座へ行く。

ここまで攻めてきたということは頭を取りにいくのは、玉座なはず。

ようやくたどり着くと、皇帝と国王が殺りあっている。

まっすぐな性格のあの人らしい。でも、だからこそ、あんな子に攻撃されそうになっているのよ。

国王の後ろには、5歳くらいの男の子。殺気がないからか、彼は気づかない。

重い体をひきずって、男の子の攻撃からかばう。

戦争だものね。こんなに小さな子も戦争に駆り出されていたのかと今更ながら、

悲しく思う。

あー。痛い。暖かい液体も出ている。破水かしら?

こんなに良い機会なのに、皇帝も国王に攻撃をせず、目を大きく見開きながら

私をみている。

「なぜ」国王と皇帝が同時につぶやく。

頭が働かない。何に対してのなぜなのかがわからない。

だが、私はしんどい体に鞭を打って、話す。多分私はもう長くない。

どうしても伝えたい。

「どうか、どうかこの子に平和の世界を見せたいの。

あなたとの子よ。

私は帝国でとてもとても良くしてもらったの。

あなたと離れ離れの間も、ずっと皇帝がそばにいてくれたの。

もしかするとこの子は助からないかもしれないけれど、

もし助かればこの子を帝国でこの皇帝に育ててほしいの。

代わりにこの男の子を育ててほしいの。戦争の被害者のこの子を」と国王を

殺そうとしていた男の子の手を握りながら、国王にいう。

次に皇帝に

「あなたはこの子にとって二人目のお父さんだと思うの。

そして良い父親になると思うわ。これまで過ごした日々で少しでも

情が沸いたのならこの子に幸せな世界を見せてほしいの」と話す。


泣いている人がたくさん。いつの間にこんなに人が集まっていたのか。

誰も手を出そうとしていない。思ったよりも両国民から気にかけてもらえていたのかしら。

もう寒い。目を開けているのがつかれた。

そして私の人生に幕を閉じた。


これは私の死後のお話。

両国は、私の死をもって、和平を結んだ。

両国で私の像が建ったらしい。恥ずかしい。なぜか聖女とあがめられている。

なぜ。

それぞれ、国王と皇帝は子供たちを育ててくれている。

自国の民と自分の子供が相手国にいるのだから、下手なことはしないだろう。

良かった。私は戦争が嫌いだった。

だって、日本に戦争がなかったから。


そんな世界平和までのお話。


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