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男が目を覚ましたのは小さなアパートの一室だった。
部屋には物が散乱しているが、自身の着衣が洗濯された清潔なものに
替えられている事に気付いた。
しばらくしてから、不良風の少年が入って来て、「なぜ俺がこんな事を」と
悪態をつきながらも彼に食事の手配をしてくれた。
「そうだ、あんた名前は?」
質問に対して男は自分の名前を答えた。
取り立てて特徴のない平凡な名前だ。
その後も二三やり取りを続ける中、マリと杏奈はやって来た。
「お、少しは顔色良くなったんじゃない? ねぇ杏奈」
問い掛けに杏奈は憮然とした表情をしたままで彼に問いかけた。
「あんた、行く所あんの?」