第二章 7 誕生日ケーキ
よろしくお願いします。
「あら、美咲ちゃんじゃないの。いらっしゃい」
「こんばんは、ご主人さんは奥でケーキ作りですか?」
「ううん、もう夜でしょ。旦那はね朝は早いけど、夕方には仕事終わって、そうねぇ、今頃はお風呂にでも入っているんじゃないかしら。そうそう、どれにする?」
「どれにしようかしら?」
「ごめんね、この時間だと選ぶ程残って無いよねぇ」
「あっ、此れ、ください」
「ロールケーキね、珍しいわね、いつもはショートケーキなのに」
「はい、それと、」
ローソクも買おうとしたが、恥ずかしがり屋の弟のことだ、きっと嫌がるに違いない。そう思うとローソクやチョコレートで出来たメッセージプレートなどはやめることにした。
「やっぱりいいです」
「そう、わかった。で、この前の話、考えといてね」
「はい、ありがとうございます」
どう言う訳か、この店の女主人とは気が合う。
いつの間にか、人生相談までしてくれるようになった。
美咲の家庭事情も知っている。
無口な旦那も彼女のことが気になってならない様子だ。
自然とこの店で働くように勧める形になっていた。
そして美咲も自然とこの店で働くようになって行った。
ありがとうございました。