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第二章 6 洋菓子店
よろしくお願いします。
週の初めは、仕事に行くのが誰しも億劫なものである。
其れでも杉浦美咲は此の仕事が楽しい。
自分のような若い者は少ないが、話し相手がいる。
話し相手の殆どがおばさん達だ。
其れが気に入っている。
生活に疲れているようで何故か元気発剌。
悩みがないようで何かを背負っているような話ぶり。
そんなおばさん達とおしゃべり出来る時間が楽しい。
工場の仕事を終えると真っ直ぐに家に帰ろうとしたが、弟の誕生日がもうすぐである事を思い出した。
「ケーキでも買って帰ろうか」そう思った。
家には生活費を入れている。
というよりも給料が振り込まれる銀行通帳は母親が所持している。
その銀行通帳から母親が引き出したお金が美咲に渡される。
働き出してやっとお小遣いをもらえるようになったようなものである。
弟は今、中学を卒業して小料理店の見習いで下宿生活をしている。
所謂、住み込みである。
親戚でカウンターだけの寿司屋を営んでいる叔父さんがいる。
その叔父が杉浦家の状態を見かねて紹介してくれた。
勿論、相談に行ったのは彼からである。
ありがとうございました。